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216話 訪問

「お戻りになりましたか、クロノ様」


「おい。何勝手に入ってんだ」


 俺が部屋へと戻ると、なぜだかセレンが椅子に座り茶を啜っていた。俺の部屋に茶葉もお菓子もなかったことから恐らくあれは外から持ってきたものであろう。てか勝手に入ってきて勝手に寛いでいるんですけど、この人。


「お伝えしたいことがありまして。ですが、どうやらお取込み中のようでしたのでこうしてお部屋で待たせていただいておりました」


 そう言いながら皿に出された菓子を頬張る。あの時は俺の事を滅茶苦茶怖がっていたってのに変わったな。


「別にいいけどさ。というかお茶、俺も貰っていいか?」


「どうぞどうぞ」


 そう言ってティーポットと新たにティーカップを取り出し、お茶を注いでくれる。


「ありがとう」


 仄かに甘い香りがする。何だろう、この香り。嗅いだことのない匂いを味わいながら茶を啜る。


「どうです? 最近はまっているお茶なんですけど」


「旨いな。何の葉っぱなんだ?」


「ゼルン王国で採れるスイートティーと呼ばれる品種の茶葉です。ふんわりとした甘い香りが特徴的なお茶ですね」


「なるほどゼルン王国か」


 スイーツだけでなく遂にお茶にも手を出し始めたのか。まあ確かに菓子と茶はよく合う。その関連で手を出すのも必然なのかもしれないな。


「それで伝えたいことって何だったんだ? いかにも急を要するみたいな事を言いながらだいぶ寛いでるけど」


「お茶でも飲みながらお伝えしようかと思いまして。こう見えて最近、色々な茶葉を試すのにはまっているのですよ」


 ほら、と自前のバスケットの中を見せてくる。青々しい黄緑の葉っぱであったり、逆に茶色っぽい葉っぱであったりとその種類は数えきれない程だ。


「スイートティーはこちらの葉っぱですね」


 そう言って取り出してきたのは濃い緑の茶葉である。これからあんなに花の匂いが香ってくるなんて思わないよな。セレンがはまるのも分かる。


「それでお伝えしたいことなんですが、とうとう魔神教団がドリューゲンを侵攻し始めたらしいです」


「何?」


 ドリューゲンというのは以前クリスから聞いた伝説の魔物ドラゴンたちの住処。人間とドラゴンとの間で相互不可侵の契約を結び、人間が入ることの許されていない禁忌の地である。そこに攻め入るなんて奴らは一体何を考えているんだ?


「目的は能力強度の収集のようですね。どうやらドラゴンからは途方もない程の能力強度が集められるみたいです」


「その能力強度を集めるって言うのはどういう事なんだ? たびたび耳にしているが、いまいちピンと来ていない」


「能力強度というのは文字通り能力の強さを表す数値です。つまり、その能力が保有している力をどんどん蓄えているという認識で大丈夫です。何でも魔神教団の教祖であるレヴィが能力自体をエネルギーへと変換させることができるらしく、それを集めているみたいですね」


「てことはそのエネルギーを集めた先にある狙いってのは」


「お察しの通り、魔神の復活でございます。どうやら魔神を封印したヒルトン皇后陛下によって作り出された結晶の塊は物理的な攻撃で取り除くのは不可能なようです。ただ魔神へ力を送るのはできるようであなた様との戦いで失った力を違う形で集めて魔神へ渡すことで自ら封印を解いてもらおうとしているようですね」


 魔神の復活……そんなことが起こるとするのならヒルトン様が魔神教団の手に渡り、封印することが出来ない今、どうすれば良いというのか。そんなことを考えていた時、ふと俺の頭にある人物の姿が過る。封印ではなくやけに魔神を消滅させることに固執している彼女。


「セレン、調べてみてほしいことがあるんだが」


「フィーさんの事でしょうか?」


「凄いな。まだ名前すら言ったことないのに」


「最近、クロノ様の周りに生じた変化というものが彼女という存在しかありませんので。ただ、彼女については私ですら分からないんですよね」


「セレンでも分からない?」


「はい。私の千里眼でもあの方の姿を追う事は不可能なんです。アンディのように空間を移動するだけでしたら痕跡が残りますので追う事は可能なのですが」


「転移系の能力じゃないのか」


 だったら何の能力だというのか。その場に擬態する能力? それならばセレンの千里眼で追えないはずがない。


「あらあら、な~に隠れてお姉さんの話してるのよ」


 俺とセレンしか居ないはずのこの部屋に突如として聞こえるわけもない人物の声が聞こえる。声のした方に顔を向けると、そこにはニコニコと手を振りながら立っているフィーの姿があった。


「よっ」 

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