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204話 美少女コンテスト

「あっ来た来た。リアだよ!」


 関係者席から真っ先にカリンがリア様の姿を見つけ、そう言う。カリンが指差す方を見ると、そこには目を見張るほど綺麗な女性が恥ずかしそうにステージの上で立っていた。


「……綺麗」


 ガウシアが普段の敬語すら忘れるほどの圧巻ぶりである。俺に至ってはそのガウシアの言葉が聞こえるまで全ての感覚が視覚へ集中し、呆然と見入っていたほど。


「ふむ、人間なのに女神と遜色ない、いやむしろ優っている。どうなっているのか?」


 そんな世界樹の呟きも意味を成さないただの音声として耳に入ってくる。


 当然、それほど綺麗なリア様を見た観客達は最初誰も声を発さない無音状態が一瞬あった後に会場全体を揺るがすほどの歓声がリア様の美しさを讃える。


 その声の大きさは今までのどんな出場者にも与えられなかったほどの大きな賛辞。最早優勝は決まったようなものであった。


「綺麗だね〜、ってリアが最後だったんだね。まあ、あんなに綺麗だったらそうなるか」


「だな」


 カリンの意見に俺は激しく同意する。運営スタッフも思った事だろう。あっ、これ最後にしないとコンテストの盛り上がりが薄れる、と。


 リア様が出たことにより、全員が軽く自己紹介をし始める。それから一旦、全員がステージの上からはけていき、1人ずつ出し物を披露していく。


 そのどれもがダンスや歌唱などの美しい容姿に付加価値を付けるものだ。


「そういえばリアって突然連れていかれたんだよね。あんな出し物できるのかな?」


「確かに」


 酷な話である。他の出場者達は事前に練習したであろう技を披露できるまたは元々持っていた技を披露できるが、リア様はそういった特技をお持ちではない。


「リアだったらあれだけで十分」


「ライカさんの言う通りです。最初の登場だけであれほどの衝撃を与えたのですから」


「いや、最初にあれだけのインパクトを与えたからこそ注目されるんじゃないかって考えると怖い」


 そう、あれほどの美貌の持ち主が次はどれほど綺麗な物を披露するのだろうかと皆が注目する。だからこそ下手にできないことをすれば、羨望と失望の落差が激しいのだ。


 そう心配していたが、それらは全て次のリア様の番になると拭い去られた。


 俺とファーブルさんの合作であるガイアの剣を携えて現れたリア様はゆっくりと動き始める。


「あれって……」


「演武」


 カリンの呟きにライカが即答する。以前、ライカが演武をやりたかった欲を発散するために俺達を誘ってやっていたのだ。


 それが今、こうしてステージ上で発揮されている。


 緩慢な動作の中の節々に光る洗練された繊細な動き。アークライト家で独自に積み上げられた武道の経験と剣技が組み合わせられ、リア様にしか出来ない演武が披露される。


 誰も音を立てる事は許されない。会場が満杯になるほど人がいるというのに無音の状態が続く。


 そうして終わった時にはいつまでも鳴り止まない拍手が送られるのであった。


 あぁ、俺はこれでもまだこの人のことを過小評価していたというのか。二年で全てを分かった気でいた自分を恥ずかしく思う、それほどの衝撃であった。


「凄かったね。息を止めてるのにも気が付かなかったよ」


 感情に浸っていると隣からそう言うカリンの声が聞こえる。


「ああ。つい見入ってしまった」


「あの時の遊びを覚えてたんだ」


「驚きましたね。まさかライカさんに付き合わされた演武の練習がこんな所で役立つなんて」


「付き合わされた? ガウシア、嫌々付き合ってたってこと?」


「いえいえそんな事ありませんよ。寧ろ楽しかったですとも。単にリアさんの臨機応変な態度に驚いたということを伝えたかっただけです」


「そ。なら良かった」


 一瞬、ショボンとしかけたライカをガウシアが宥める。流石はいつも一緒にあるだけあって扱いに慣れが見える。


「あっ、全員の自己アピールが終わったから投票が始まるみたいだよ。コミュニティカードからこの番号に送信するんだって」


 そういってカリンが一枚の紙切れを見せてくる。


「ありがとう」


 礼を言って即刻、リーンフィリアさまと打って送信する。


「集計まで結構時間かかりそうだね〜」


「そうだな」


 これだけ人数がいる訳だしな。そうしてリア様の優勝を願いながら結果を待つのであった。

ご覧いただきありがとうございます!


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