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201話 謎の手紙

「あの~、すみません。少しよろしいでしょうか?」


 食事をとり終わり、屋台もとい店から出てきた俺とリア様の前に数名の女子生徒がそうやって話しかけてくる。


「どうされました?」


「突然で申し訳ありません。私、メルディン美少女コンテストを開催している者なんですが」


「美少女コンテスト? 知ってる? クロノ」


 そう言うとリア様がこちらを向いてくる。当然、俺は知らなかったため首を横に振る。


「美少女コンテストというのは字の通り、メルディン王立学園で最も美しい女性を選ぶコンテストになります。よろしければ学園でも際立って美人なあなた様にご出演していただきたいのですが……」


「際立って美人だなんて、そんな。ねえ、クロノ」


 恥ずかしそうにこちらを振り返るリア様。そりゃあそうだろう。際立って美人だなんて言われたら恥ずかしいに決まっている。


「はい。際立って美人だなんてありえません。この世に存在する全ての者の中で最も美しい存在です。そんな形容詞ではまだまだ足りませんよ」


「ちょちょちょっと。何言ってるのよ」


 リア様がそう言って俺の肩を叩く。俺に聞いてきたのが間違いだと思うのだが。


「そうですよね! お美しいですよね」


「誰から見ても明白だ」


「なら勿論、この美少女コンテストで一位なんて余裕で取れますよね?」


「当たり前だ。この方を誰だと思っている」


「だったら出ていただけますか?」


「それはリア様が判断することだ」


 そうしてチラリとリア様の方を見る。リア様はどういう訳か顔を赤らめたままボーっとしていたのだが、全員の視線が集中していることに気が付き、我に返ったようにハッとした顔をする。


「はい! へ?」


「ありがとうございます。ではこちらへ来ていただけますか?」


「え? あれ? ちょっと、どういう話~?」


 そうしてリア様が美少女コンテストの運営達に連れていかれる。何か最後の方リア様が話を聞いてないまま、はいって返事をしただけに見えたんだが。


「というか置いていかれたんだが」


 黙って見送ってはいたが、俺はリア様の付き人だ。急いで行かなければ。そう思った矢先に俺の頭をコンっと何かがぶつかる感触がした。下を見ると、丸められた紙がそこに落ちていた。


 何だこれ? 俺を狙って誰かが投げたのだろうか? 不思議に思いながらも紙を拾い上げて、中身を読む。


『12時ちょうど、噴水前にて待つ。正体をバラされたくなければ来い。 黒の執行者より』


 最後の文字を読んだ俺は急いで辺りを見回す。しかし、近くにそれらしい奴は居ない。


「リア様も気になるが、これも気になるな」


 あと少しで12時になる。それを済ませてからリア様の方へと向かっても大丈夫か?


 どこのどいつかは知らないが、まあ向かってみよう。黒の執行者って文字が気になるからな。そう思った俺は学園の中庭にある噴水へと向かうのであった。



 ♢



 中庭に到着するも、辺りにそれらしい人物はいない。仕方ない、待っておくか。そう思って、噴水の前にあるベンチへと腰掛ける。


「遅かったな」


 待っていると突然、真横から声がかかり、思わずベンチから飛びのく。


「……いつの間に」


 そこには暴食の魔王の時に見た偽物の黒の執行者が居た。


「黒の執行者とはいえまだまだだな」


 そう言って頭を両手で持つとスポッと取れ、中から水色の髪の少女の顔が出てくる。見たことがない筈なのにその顔はどこか懐かしい気持ちに駆られる。


「ふん、暴食の魔王に負けていた奴に言われたくない」


「あ、あれはスーツを改造した時に不備が出来たせいで!」


 俺が煽ると今までの態度とは打って変わった態度になる。それに気が付いたのか、慌てたようにコホンと咳払いをして元の態度に戻る。


「聞きたいことは山ほどあるが、取り敢えずどうして俺を呼んだのか聞かせてもらおうか?」


 俺の問いに意味深な笑みを浮かべると、目の前の水色の少女が次のように述べる。


「魔神を滅ぼす手段を知りたくはないか?」

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