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198話 学園祭の出し物

 今日も今日とて学園祭で行う演劇の練習があるらしい。だが、今回は魔神である俺の戦闘シーンの練習はしないらしく出番はない。というか魔神の戦闘シーンなんて最後にチョロっとあるくらいで基本的には語りだけなんだよな。


 まあ、リア様が行くのであれば俺が暇であろうと行くのではあるが。


「あっ、そういえばEクラスの子達があなたの事を探していたわよ。今日どうせ暇なんだし行ってあげたら?」


「そうなのですか? 分かりました」


 リア様と共に教室を出ようとしたところで不意にそんなことを言われる。確か一度だけリア様から離れたことがあったからその時に見つけられたのだろう。


 それにしても俺に用事とは一体何なのだろう? クリスやリア様、カリンにガウシアは他のクラスの生徒達とも仲が良いらしいからそこらへんが呼ばれても何の違和感もないのだが、全くかかわりのない俺を呼んで何をするというのだろう?


 不思議に思いながらもSクラスから遠く離れたEクラスの教室へと向かう。


「失礼します。私を呼んでいる人がいらっしゃると聞いて来たのですが?」


 Eクラスの教室の扉をガラッと開き、中に入ってそう言う。すると、教室の真ん中の方でひと固まりになって居た集団の目が一気にこちらに集中する。


「く、クロノ様!? 来てくれたのですね!」


 集団の真ん中に居た女子生徒がそう言いながらこちらへと駆け寄ってくる。ていうかちょっと待て。様子がおかしいぞ。


「ま、まあ一応」


「ねえ、皆! 本物よ! 本物のクロノ様よ!」


 女子生徒が近づいて全身を嘗めまわすかのように見た後、集団が居る方へ振り返ってそう言うと、クラス中でよくわからない歓声が湧く。なんか、この風景、既視感があるな。


「ささ、平民の星、クロノ様。どうぞこちらへいらしてください」


「わ、分かりました」


 そういえば平民達からそんな名前で呼ばれていたことがあったな。それにしてもEクラスの仲にも貴族は居るだろうに、見た感じ割合的には少ない筈の平民達に取り込まれてるっぽいな。


 若干押され気味になりながらも女子生徒の後ろを付いていく。


「早速なのですが、何故今回、クロノ様に足を運んでいただいたかというと……」


 そこまで言うと、女子生徒は近くに居た男子生徒に目配せをする。すると、男子生徒は教室の後ろから何やらでかい紙の様な物を取り出し、それを一気に広げる。


 そこに書かれた文字は「平民の星、クロノ様の偉業」であった。


「私達の今回の出し物がクロノ様の偉業をまとめたいというものでして。それでご協力いただけないかと」


「ま、マジですか……」


 思ってもいないことであったのでどういう反応をするのが正解か分からないんだが。確かに嬉しいは嬉しいが、何とも言えない恥ずかしさすらある。


「ですが未だに私は貴族の人達からは嫌われていると感じるのですが」


「貴族の皆もこのクラスの人達みたいにきっとわかってくれます。今はまだ平民の星ではありますが、ゆくゆくは人類の星にしたいと思う所存です」


 いやそれはないだろ、とは軽々しく言えない雰囲気があたりに漂っている。こうも期待が籠った眼差しで見つめられると、何が正解で何が間違いなのか分からない。たまにあるだろう? 好意を向けられ過ぎると逆に何をしたらよいのか分からなくなる感じ。まさにあれだ。


「えっと、別にやるのは構わないのですが、私は何をすれば……」


「えっ!? 本当に良いのですか!? 目立つのがあまりお好きではないような印象だったのですが!?」


「いやまあ多少抑えてくれるとありがたいですけれど」


 元々、目立つのを極力避けていたのは正体がバレると困るから、ただそれだけであった。リア様にバレた今となっては最早どうでもいいと言えばどうでもいい。まあ、隣にいらっしゃる方が偉大過ぎて付き人である俺の姿は霞んでいるわけだが。


「ありがとうございます! みんな、やったわよ!」


 その女子生徒の言葉でまたもやクラスで歓声が上がる。


「それで、私は何をすればよろしいのでしょうか?」


「あっ! クロノ様に特別やっていただくことは簡単な能力を使っているところさえ見せて頂ければ良いので。今回は主に許可を取るのがメインなのです」


「簡単な能力を見せる? それで分析とかをなさるのですか?」


「いえいえ、そんなクロノ様の能力を分析など出来る筈もありませんよ! そうではなくてこちらに居る青の帽子をかぶった子の能力が『立体記憶』というものでして。クロノ様の瞬間的な動きですら記憶して立体画像を作り出すことができるのです」


 女子生徒にそう言われ、青の帽子をかぶった男子生徒がピョコリと頭を下げる。それって結構有用な能力だよな。やはりメルディン王立学園に入るだけあってEクラスと言えど才能に溢れている。


「承知しました。では」


 それから俺はEクラスの子達に言われるがまま、力を披露したのであった。


ご覧いただきありがとうございます!


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