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184話 出陣

 あれから訓練を終え、俺達リア様部隊はとうとう戦場へと駆り出されることとなった。この隊の役割として基本的には公爵様の部隊とともに行動し、必要時には別行動をして戦う事となる。


「カリンが居るのはここだから私達は南から攻めていくわよ」


 今俺達は、ある程度の道を切り開くために公爵様の部隊から先行して入り、地図を広げてどこから攻めていくのかを思案していた。敵は思ったよりも大規模であった。特に魔物達の数と質が半端ではない。大体がAランクを超えており、Sランクの魔物も少なからず存在していた。


 魔神族との戦いのように上級魔神族やら魔王やらが居るわけではないからそこまでではないが、それにしても戦力としては十分巨大国家と同等、いやそれ以上の力を有していた。


「冒険者たちと合流する形ですね?」


「レイ、その通りよ」


 現在、南側の戦力が思っていたよりも足りていないらしく、こうしてアークライト家を含む大貴族たちが出陣することとなった。


 北側はSランク冒険者やカリンといった実力者たちが存在するから問題ないだろう。そういえば一応、カリンにも黒の執行者について聞いてみたが、北側では見たことがないらしい。てことはいずれこっち側に現れてくれるかもしれないな。


「よし、行くわよ」


 リア様の言葉に俺達は一斉に走り出す。少し走って、前方に冒険者達らしい人達の姿が何かと戦っているのが見えてくる。


 どうやら目の前の魔物の軍勢に手こずっているらしい。先頭に居た冒険者の剣が弾かれているのが見える。


「レイ、助けてあげて!」


「承知!」


 そう言って走りながら分身を繰り出し、魔物達へと飛び掛かっていく。分身の数は驚異の10体。訓練の過程でメキメキと力を伸ばしていたのだ。


「俺達も負けてらんねえぜ!」


「公女様~」


「良いわよ! 思う存分、やってきなさい」


「「「承知しました!」」」


 リア様の許しが出た瞬間に三人ともがレイに続いていく。俺とリア様は冒険者たちの様子をうかがうために、魔物たちを抑えている4人を尻目に足を止める。


「ご無事ですか?」


「ああ、ああ、天使様だ。天使様が居られるぞ」


 リア様が声を掛けるとそのあまりの美貌に驚愕したのか目を見開き、崇め始める。余程追い詰められていたようだ。リア様も突然のその態度に困惑なさっている。


「ど、どうなっているの?」


「まあこの苦しい戦場にリア様の様な女神さまが現れたのですから当然のことですよ」


「め、女神だなんて大袈裟な」


 リア様が恥ずかしそうに顔を赤くしてそっぽを向く。その様子を見た冒険者たちの間で更なる歓声が聞こえる。


「終わりましたよ」


 持っていた双剣をしまいながらこちらへ歩いてくるレイ。その後ろには誇らしげにこちらへブイサインを送ってくるアスナの姿があった。


「早かったわね」


「まあそれほど強い魔物は居なかったので」


 レイは何でもないと言いたげに淡々とそう告げる。一方で冒険者たちはその光景を見て何を思ったのか、ポカンと口を開けて呆けていた。


「俺達が苦労した奴等をこうもあっさり……」


 どうやらレイたちが一瞬で魔物たちを葬り去ったのが理解できなかったらしい。見た感じ、レイ達ほど冒険者ランクが高そうに思えない。だとしたら上級冒険者であるレイ達の戦闘はさぞ驚異的に感じたことだろう――いや、こいつらリア様ばっか見てて戦闘なんて見向きもしてなかったか。


「状況を教えてもらえますか?」


 そんな冒険者たちにリア様は優しく問いかける。事前情報では南の戦績はあまりよろしくなかったとのことだ。何でも北に魔神教団の幹部が一人出現したという事で、バランスよく振り分けていた戦力もいったん北に集中したらしい。


「南は幹部らしい奴は出てきてないが、なにせCランク冒険者達ばかりだ。黒の執行者様がいなけりゃとうの昔に崩れ去っていただろうさ」


 黒の執行者。またこの名前が飛び出してきたか。無論、俺は何も関与していない。


「その黒の執行者はどこに?」


「敵を倒しながら随分と奥へ向かった。あの強さなら本拠地まで着いてるかもな」


 それを聞いたリア様は俺に視線を合わせてくる。俺がその意図を察して頷くと、リア様は残りの四人に向かって告げる。


「皆! 今から黒の執行者が居るところまで戦線を上げるわ! お父様の軍と合流するのはその後よ!」


「「「「「了解!」」」」」


 息を合わせた返事に納得したように頷くと、リア様は駆け出していく。俺達はその後を追うのであった。


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