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177話 リアの相手

 それから試合は順調に進んでいき、リア様は勝ち続け、決勝へ。アスナは二回戦目で敗退、ゼールは4回戦目で敗退してしまった。


「公女様って強いんだねー。決勝に行けるなんて羨ましいよ」


「伊達にメルディン王立学園に行ってないからね」


 メルディン王立学園は貴族が多いことは確かだが、それは貴族を優遇しているわけではなく、単に貴族の中に強いものが多いからそうなっている。学園内では貴族からの平民への差別はあるものの学園自体はそれをしていない完全実力主義の学校だ。


 つまり何が言いたいかというとリア様はそんな学校で主席合格をなさっているのだ。そんじょそこらの冒険者では敵う筈もない。


「あっ、次の試合。ジンが負けた人だ」


「おいおい改めて言うなよ。思い出すだけで恥ずかしいんだからよ」


 ジンはあれから自分だけ一回戦で敗退したことを恥ずかしがりことあるごとに良いなー、とぼやいている。そんな傷口を知ってかアスナは度々その話題を出すのだ。


「私はあっちに負けちゃったからな~」


 ゼールが言っているのはガロウの準決勝の相手である赤髪の女性の事である。今までの戦いで二人に分身し、青い双剣を振り回して戦っていたのが印象的であった。


 どちらもA級冒険者の中でも群を抜いて強いらしく、かなり有名だとか。赤髪の女性の方はレイというらしい。


「こんなに強い人達が仲間になるなんて心強いな」


 あの二人が強いだけで他の人達もかなりの練度であった。それこそどの人もB級上位勢~A級冒険者の実力はありそうな気がする。


「そうね。まだ私が行けるかは分からないけれど」


「リア様の場合は他の者とは基準が違いそうですからね」


 普通の者であれば決勝まで行けている時点で既に確定はしているはずだが、リア様を戦場に向かわせたくない公爵様が選別すると考えればこれでもまだ安心はできない。 


「そうなの?」


「リア様は公爵様から魔神教団との戦いに向かうのを渋られておられたからな。本来であればこのトーナメントですら出場することは出来なかったかもしれなかったんだ」


「そりゃあそうだよな。だってまだ15なんだろ? 俺達は貧乏だったからそんくらいから冒険者やってたけど、貴族だったら普通手元に置いておきたい年頃だもんな」


「でもお父様を一人で行かせるのは嫌だもの」


 リア様はある時から突然、戦い方が知りたいと言って能力の特訓を始めたらしい。公爵様曰く、誰かに命を救われたかららしい。そんなリア様だからこそ公爵様が危険なところへ向かうのに居ても立っても居られないのだろう。


「ハハッ、何か変わったお姫様だな」


「一回戦敗退の男に言われても嬉しくないと思うよー」


「うおい! だからそれを言うなって」


 可哀想に。アスナにいつまでも擦られている。まあでもあれは相手が悪すぎた。だってあのガロウとかいう奴今までも大した能力を見せないまま決勝まで勝ち上がってきてるからな。


「あ、始まるわね」


 執事のゴードンさんが開始の合図をする。その直後、今までは感じられなかった威圧感が会場を取り囲む。


 前方からビリビリと痺れるような力の波動。どうやら二人とも今までは本気で戦ってこなかったらしい。


「なに、この強さ」


 それから繰り広げられたのは今までとはまるで格の違う戦いであった。宙に舞う通常時よりも巨大化した大剣と数人に分身したレイによって繰り出される無数の斬撃。その激しさは会場の地面がその余波で深く抉れるほどであった。


「私の時は手加減してたんだ」


「ゼールの時もかなり強かったと思ったけどね」


 ゼールの時は二人にしか分身していなかったのに、今では4人にまで分身して相手に斬りかかっている。


 そんな二つの強大な力がぶつかり合って数十分が経とうとする時、とうとう片方の対戦者が床に膝をつく。先に膝をついたのはガロウであった。


 そんなガロウに4人のレイが取り囲み、双剣を向ける。そこで試合は終了した。


「勝者、冒険者レイ!」


 ゴードンさんのその言葉の後、二人の戦いへ称賛を送るように今までで一番大きな拍手が起こった。かくしてリア様の決勝戦の相手が決まるのであった。


ご覧いただきありがとうございます!


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