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168話 ヘルメラの剣

 結局寝れなかったな。ぼんやりとした頭のまま、取り敢えずコミュニティカードで皆を呼んでそれぞれの武器を見てもらう。リア様は光を湛えた自分で言うのもなんだが美しいヘルメラの剣。ライカ、カリン、ヘルミーネの武具は余ったヘルメラを使ってとことんまで強化した。


 お陰でどれも以前より力が伝わりやすくかつ強度も上がった仕上がりとなった。


「凄い! 何でか分かんないけど軽くなったよ!」


「中に入っていた不純物を取り除いたからな。それにそもそもヘルメラが強度も高くて軽い素材なのもあるが」


 カリンの剣は元々重い材質で作られていたためなおさらだろう。


「軽い。振りやすそう」


「だからと言ってここで振るなよ? お前の槌はかなり破壊力が高いからな?」


「流石にしない」


 嘘つけ。滅茶苦茶振るモーションになってただろうが。


「殿下。いつの間に私の剣の強化を頼んでいたのですか」


「だってヘルミーネがしてほしそうにしていたんですもの。それに未来の近衛隊隊長には強くなっておいてほしいではないですか」


「ま、まあ。それは確かに一理ありますね。うんうん」


 なんかすごい簡単に言いくるめられてる。最初はあんなに険悪なムードを駄々洩れにしていたというのに。


「取り敢えず一回地上に出ましょう。試すのはそれからです」



 ♢



「振ってみるわね」


「どうぞ」


 宿から少し離れた荒野にてリア様がヘルメラの剣を構える。力を全開放し、武具へと力を注ぎこみ終わった今、その力は解き放たれる。


「はあああっ!!!!」


 全力で振り下ろされるその力は絶大で、大地を削り、衝突した岩をも粉砕していく。これは予想以上の威力だな。


「う、嘘」


「ヘルメラの剣はリア様の力を劇的に増幅させる力があります。ですのでこうして威力が絶大になるのです」


「これは、やり過ぎね」


「そうですね。いざ使う際には十分周りにお気を付けください。使い方を間違えれば軽く数百人単位で消し飛びます」


「怖いわよ! でもありがと。これで私も強くなれる」


 強くなれる、か。武具一つではたとえそれが史上最強の武具であったとしても本来そこまでの強化にはならない。その武具を扱えるほどの力を持っているからこそのこれほどまでの強化なのだから。


「うん。悪くない」


 ライカはライカで片腕で大槌を振り回しながら一人納得している。今回の武具製作で分かったが、ヘルメラはほかのどの鉱石よりも能力を増幅させる効果が高い。


 それをつぎ込んだライカの大槌には激しい雷が迸っている。ひとたび解放されればここら一帯は消し飛んでしまう事だろう。


「それとリア様の武具には他の効果も付けておきました。それは……」


 そうしてリア様に耳打ちをする。少し説明して理解したようにリア様が頷く。


「ちょっとやってみるわね」


 スウッと剣を天へと掲げる。


充光(チャージ)


 リア様の光と剣の中の光が共鳴しながらどんどんと光が強くなっていく。それは枯れた大地を照らす太陽のように眩く、見る者すべてを圧倒する。


「どうです?」


「うん。良い感じね。でもこれはちょっと強すぎるわね」


「まあ使用できるときは限られてきますね」


 スウッと力を抜くと、剣の中の光がパアッと霧散していく。これはリア様のために武具に付け加えた力である充電ならぬ充光。一定の力までため込み、それを一気に放つことで強大な威力を発揮する。これはヘルメラだからこそ成し得た。


「私のは何かないの?」


「カリンのか? リア様みたいな感じのものは無いけど」


「私のも」


 カリンに引き続き、ライカまでも興味を持ったらしく、武具の機能を教える。そうやって武具を確認しているうちに日が暮れるのであった。

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