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162話 警備システム

 どこかヒンヤリとした心地を感じながら無機質な廊下を歩いていく。意外と中は錆びついていないようで綺麗だった。ただ、リア様の灯りがないと何も見えないが。


「うん? なにこれ?」


 ある程度歩いたところで先頭のカリンが立ち止まる。カリンの視線の先には何やら文字の様な物が書かれている石板らしきものが地面に刺さっていた。


「う~ん、読めないな。なんて書いてあるんだろ」


 カリンの言う通り、それは文字ではあるのだろうが、代わる代わるその文字を見ても誰も読むことはできなかった。


「我は読めるぞ?」


 皆が頭をひねる中でガウシアの肩にとまっていた世界樹がそう口にする。そうか、幾千年もの間生きている世界樹ならば古代文字を知っていてもおかしくない。


「世界樹ちゃん、読んでくれますか?」


「ちゃんとは何だ、ちゃんとは! まあ、良い。我が直々に読んでやろう」


 何かガウシアの世界樹への接し方がどんどん軽くなってきている気がする。まあ見た目はただの青い鳥だしな。


「ここより先関係者以外立ち入り禁止、と書いておる」


「関係者以外立入禁止か……」


 石板の後ろには行き止まりとなる一つの扉がある。この先に関係者以外知られてはいけないものがあるのだろう。当然のごとく、関係者のいない今ではそれは好奇の対象にしかならず、俺達はその石板の文字を気にも留めずに通り過ぎて、扉に手をかける。


 その瞬間、けたたましい警報音が鳴り響き、赤い灯りが廊下中を照らす。


「それとこの先の扉に手を触れた瞬間に警備システムが作動するとも書かれているな」


「言うのが遅いよ!」


 カリンが突っ込むと同時に天井が開き、上から何かが降ってくる。それは数十体の人型の機械。恐らく俺達を排除するためのシステムなのだろう。建物が風化するほどの年月を経てもなお生きている警備設備なんてどういう仕組みだこれ?


「覇王斬!」


雷掌(らいしょう)」 


 カリンとライカの攻撃であっけなくそのすべてが機能停止となってその場に頽れる。


「案外弱い」


「いや、ライカとカリンが強いだけさ。こいつらはかなり強いと思うよ」


 クリスの言葉に俺も同意だ。B級の魔物程度であれば二人の攻撃を食らえば原形もとどめられない。しかし、今の奴等はあまりの衝撃に機能が停止しただけで体自体は半分以上が残っている。


「とはいえ入り口からこうも危険な仕掛けを作っている辺り、少なくとも一般人が入る想定の建造物ではなさそうだ」


 一般人が入る想定ではないのなら関係者以外が入れるというのもまた不思議な話だ。コソ泥相手に丁寧にも石板を立てている辺り、これを作った者はだいぶ捻くれているのだろう。


「思ったより危険な場所ね。お宝なんて言って楽しげに入るところじゃなかったかもしれないわね」


「そうですね。どうされますかリア様。いったん帰られますか?」


「そんな訳がないでしょ。そっちの方がむしろ楽しいじゃない」


 最近、リア様の言動がカリンに毒されてきた気がする。この長期休暇なんて俺が公爵家での仕事の間、カリンと過ごす時間が多くなってしまったせいで加速してしまった気がする。


「こんなのがあるなんて絶対、何かあるよね。入ってみよう」


 そう言ってカリンがその扉を開き、中へと入っていく。それに続き、俺達も中に入っていくと、中では更に通路が分かれるような形となっており、全部で4つの分岐路があった。


「どうしよう。全員で一つずつ進む?」


「いやそれは面倒だ。ちょうど8人居るわけだし、2人ずつで分かれて探索したほうが良いんじゃないかな」


 確かに、とクリスの意見に皆が賛同する。そうして出来上がったのはクリス&ジオンペア、ガウシア&ヘルミーネペア、ライカ&ガウシアペア、最後に俺とリア様のペアだ。


「じゃあ私達はこっち行くね」


「私達はこっちだ」


 先にクリスとカリンが各々の行く場所を選ぶ。


「ライカさん、どうします?」


「こっち」


 ガウシアとライカも行く場所を決め、自動的に俺とリア様の行く場所が決まる。


「じゃあ行きますか」


「そうね」


 そうしてリア様と俺は残された分岐路に足を踏み出すのであった。


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[気になる点] そうして出来上がったのはクリス&ジオンペア、ガウシア&ヘルミーネペア、ライカ&ガウシアペア、最後に俺とリア様のペアだ。 ガウシアが2人いる
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