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15話 Sクラス

 Sクラス。それはメルディン王国最高峰の学園、メルディン王立学園の中でも更に特別な存在。


 そのクラスに在籍している者は全員が世界で要職につくと言われるほど優秀な者しかいない。


 学園の生徒会も全てがSクラスの者で構成されている。


 そんなSクラスの教室の扉をリア様が開く。


 俺はリア様の一歩後ろから入っていく。


 まだ全員は揃っていないみたいで、まばらに座っている。その中にはリア様と決勝戦で戦った白髪の少年の姿もある。


「席は適当で良いのかしら?」


「そうですかね? 取り敢えずあちらの方に座りますか」


 俺が窓際の方を指差すとリア様もそうねと言い、承諾する。


 窓側をリア様に譲り、席に着く。


 これから学園生活が始まる。しかも、大好きな人と一緒に。期待を胸に全員がそろうのを今か今かと待ち構える。


 ガラッと少女が入ってくる。特待生のライカだ。ライカはぐるりと教室を見回すと、俺と視線が合うなりこちらに歩いてきて、隣の席に座る。


「久しぶりだな、ライカ」


 俺は隣にちょこんと座った白髪の少女に声を掛ける。


「久しぶり、クロノ」


 相手方もどうやら覚えていたようだ。これで話しかけたら誰お前とか言われたら怖かったから良かった。


「あら、クロノ。お知り合いなの?」


「はい。以前に少しだけ」


「へえ、ライカさん。初めまして私はリーンフィリア・アークライトっていうの。気軽にリアって呼んでね?」


 リア様がライカに挨拶をすると、ライカもリア様の方を向き、返事をする。


「うん、よろしく。リア」


 相変わらずあまり表情を変えないままだが、愛称で呼んでいる辺り、まんざらでもなさそうだ。


「可愛いわね~。私もライカって呼んでいいかな?」


「うん」


 どうやらリア様はライカにメロメロになってしまったらしい。


 これはリア様が学園で友達を作るチャンスだ。


「リア様、宜しければ私と席を交換しますか?」


 俺はリア様がライカの隣に座れるように席を退こうとすると、ライカが俺の服を掴む。


「私のこと、嫌い?」


 潤んだ瞳でこちらを上目遣いにこちらを覗き込むライカの姿に俺は席を退くのを躊躇する。


「良いわよ、クロノ。別にこのままでもライカとお話はできるわ」


「分かりました」


 流石にこれで席を交換してしまうと凄く胸が痛む。


 俺がまた席に座りなおすと、ライカの機嫌も嘘のように元通りになる。まるでさっきのが演技だったように見えるのは気のせいか?


「そういえばさっきから思ってた。何故クロノはリアに敬語?」


「そうなのよ、ライカ。この人、私がタメ口で話してって言っているのに全然タメ口にしてくれなくて」


「それは不思議」


 俺をまたいで二人が話す。


「リア様、前も申しあげた通りご主人様にタメ口は難しいですよ。その代わりにリア様とお呼びするようにしたじゃないですか」


「だけれど、ライカと話すときみたいに親しく話しているのを見ると少し悲しいわ。私にはそれが無いって思うと」


「リア、かわいそう」


 よよよっと大げさに崩れ落ちるリア様。それを見て可哀想だといって非難するように俺を見つめてくる幼女の姿。


 どうしようと頭を悩ませているとちょうどそこに担任の男の教師が入ってくる。


「皆ー揃ってるなー。席に座れー」


「リア様、そろそろ始まりますのでこの話はこの辺で」


「むぅっ」


「……意気地なし」


 散々な言われようだが、助かった。あのままだと敬語を外すまで詰められそうだったからな。


「じゃあ、自己紹介からだ。ここの担任を務めるギーヴァ・アルゼスだ。気軽にギーヴァ先生とでも呼んでくれ。じゃあ、窓際から順番に自己紹介をしてくれ」


 そうして一人ずつ自己紹介をして、ある程度の授業の説明などを受けると、その日の学校は終わった。

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