折角だし、お友達になりましょう!
苛烈なざまぁを書きたかった&見たかった筈なのに気が付けば「悪役令嬢 ほのぼの」で検索してる天邪鬼作者です
「…ねえ、貴女」
「はい!何でしょうか?」
いきなり話しかけたのに、彼女は笑顔で応えてくれた
くりくりしたヘーゼルの瞳とミルクティーブラウンのふわふわのセミロング。とびっきりの美女というわけではないが、とても可愛らしい令嬢だ。名前はマリア・ラングレー
私は彼女を警戒する。
先代に引き裂かれ、夫の元を去った最愛の恋人にして侍女の母親が落ち着いた先で身籠ったことに気付いた現当主の愛娘。教会の無料の魔力測定で伯爵家に引き取られた庶子という、あからさまにヒロインのテンプレみたいな子だ
テンプレじゃないところというと、お母様は普通に生きており、独身を貫いていた伯爵様と普通に籍を入れて今は幸せだそうだ
さて、声をかけたわたくしは
アメジストの瞳にシルクのような金髪…ただしドリル
それはもう見事なドリル。この世界でドリルといえばわたくしのことだ。お母様もドリル、お父様も癖っ毛なので詰んでいる
どうにかストレートにして欲しいと頼んで、何人の美容師が挫折したか…どこぞの、自分で最強の軍艦を造れるゲームの敵であるアラハバキとかいう超巨大兵器の如く、ドリルの代名詞がわたくしことエリザベートだ。あとは破滅しないように気を付けて、逆ハーは嫌いなので阻止したがテンプレ婚約は避けられなかった
ついでに言うとわたくしは筆頭公爵家の長女で一つ上のイケメンなお兄様がおり、お兄様と親友である王太子殿下の婚約者だ
もう、アレだ。
お腹いっぱい過ぎなぐらい悪役令嬢フラグが立っているじゃないか!!
勿論だが、この剣と魔法とドレスと紅茶の世界であるアレトラーネには悪役令嬢だのフラグだのといった言葉は無い
そう、私は転生者だ
地球で女子高生だった私は車に惹かれて死んでしまった記憶を5歳の頃に思い出した。もうコレはアレである。当時の私はピンクの髪の身分が低いくて×××ガバガバゆるゆるの公衆便所みたいな女が有力なイケメンを全部身体で誑し込み、私は冤罪で断罪されるに違いないと戦慄したものだ
ただ、記憶が戻る前の私も普通に使用人を思いやるいい子だったし、今も前世の記憶はあっても私は基本的にエリザベートだ
逆に私がヒロインで悪役ビッチと知能指数5の男達をざまぁする系かとも思ったけど、婚約者のブライアン殿下は…彼のことを思い出すと顔が赤くなってしまう!素晴らしい方だ。ビッチに誑かされる馬鹿王子では断じてない!!
そしてマリアちゃんは側から見ていてもめっちゃいい子だし女友達しか居ないっぽい
「…もしかしてエリザベート様も物語をご存知なんですか?!」
パァッと明るくなるマリアちゃん。警戒心とかまったく無いらしい。転生者だって隠す気もないらしい
「いやぁ、その、わたくし記憶の例は分かるけど物語は全く知らないの!やっぱり物語があるのね?!そして貴女が多分…」
「あ!だから警戒されてたんですね〜でも安心してください!確かに、この世界と色々カブってる乙女ゲームは前世にありました!それに当てはめると私はまあ、ヒロインなんですけどエリザベート様は別に…あの「あ」で始まるやつじゃないですから!」
不穏な発言にならないよう気を遣ってくれたのだろう。マリアちゃんは前世もいい子だったんだな
「違いますの?」
「エリザベス様、寮長やってらっしゃるじゃないですか。
物語でも同じなんですよ。最初に寮の簡単な説明をしてくださったのがイベントに当たります
あとは、外出許可とか外泊許可の判子を貰いにミニマップでエリザベート様のところに行くとお勧めのお店とか教えてくれたりします。みんなの頼れるお姉さまって感じです!あと、当たり前ですがあのお方はK対象じゃありませんよ?!」
ゲームの私ただのモブじゃん!!というかどっちかというとシステム側じゃん!!RPGで言うところの武器屋のおっちゃんとかそこらへんじゃん!
ブライアン様もヒロインの話的にはモブじゃん!!
「乙女ゲーム好きから言わせてもらうと、悪役令嬢なんか乙女ゲームには出てきませんからね?あの手の頭悪い恋愛とざまぁの話の元は古典的少女漫画ですよ多分」
「面目ねぇですわ…」
その後、親友になった私達だった
マリアとエリザベートが仲良しになって、女子寮はさらに雰囲気が良くなりました。イメージとしては某百人のお嬢様みたいな?優しい世界です
なんで漫画3巻で終わってしまっただよぉ!




