06 馬車の中で正体と考えをあかす、オマケ
本日、3話投稿します。
馬車の中での出来事(1/3)
士也視点。
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その後は話を書くのになかなかまとまらず、時間がかかっていますが、エタる事ない様に頑張っていきたいです。
予定通りのメンバーでそれぞれの馬車に乗り込み出発した。
進行方向の奥に松井千里、向かいに東方院、となりにフィガロ、そして松井の横に俺と座っている。
そして、3人は俺をじっと見つめている。
「……なにか?」
見つめている理由はわかっているが、こう見つめてられたらな……とりあえず惚けてみるか。
「しらばっくれるのは止せ。
話を聞かせてくれるんだろ?」
「そうね。
八頭くんがどういった人物か……凄く気になるわ」
「大丈夫、御者に話を聞かれる事はありません。
さっき貴方に言われて馬車を調べた時、ついでに中の防音を魔法でかけておきました。
あと、馬車を監視している者や、追跡者がいるかは、召喚魔法で呼び出した鳥を一羽、こちらを上空で見させています。
気にせず話してください」
東方院、松井に続き、フィガロまで聞きたいらしい、
しかも、逃げ道を塞ぐ様にしてまで準備万端だ。
「……別に話したくない訳ではないんだが、そうだね。
フィガロさんにもわかる言い方なら、俺の家……一族は代々、諜報員の一族なんだ。
諜報員……正確には、大昔から続く忍びの一族だな。
それな俺達が監視している対象は……東方院、お前の一族だ」
「なっ?
俺ん家だって?
なんで俺ん家が監視されなきゃならないんだ?」
心外な、って感じで東方院は言っている……けど。
「お前こそ、惚けるつもりか?
高校にあがる前に、父親と長男から家の事を聞かされただろ。
……神代の時代に作られし宝、その中でも刀剣を封印し陰から守る一族……すなわち、刀宝陰くん」
バックからペンとノートを取り出し、刀宝陰とかいて見える様にした。
「……」
東方院はなにも言えず、難しい顔をしている。
「……確かに言われた。
だけど、実物は見せてもらっていない。
そんなの信じられる訳ないだろう?」
「実物はある……が、見せられないに決まっている。
長い歴史のなか、次男とか、三男の跡をつげない奴等が、それを持ち出して国の転覆や、世界大戦の敗国を覆そうと企んだからな。
それからは、次男以降には見せない事になったんだ。
それで俺が、東方院秋雨の監視として、高校からついている。
ちなみに学校の生徒、教師や関係者、ならびに近所、道場の門下生等、関わる者全て調べさせてもらった。
特にお前達幼なじみ5人は、だ。
もちろん、男性は男性、女性には女性がついていた。
で、あがってきた情報を元にお前達の思考や行動を考え、どういう人柄かを見極めていた。
いわゆる、プロファイリングというやつだ。
……気色悪いというなよ?
これも、国、または天皇からの依頼だ。
文句があるなら、東方院家の信頼の無さに文句を言え」
「……ねえ、八頭くん?
八頭くんが監視についたのは高校からなら、中学の時は誰かついていたのかな?」
松井千里が、何かを考えながら尋ねてきた。
この様子だと……。
「ああ、ついていた。
お前達全員知っているヤツだよ」
「もしかして……だけど、鹿山武文……くんだったり?」
自信がないのか、恐る恐ると尋ねてる。
「正解だ……よくわかったね」
「……八頭くんの考え方を真似てみた。
私達全員が知っている人物で最初にあがったのが、鹿山くん。
まず、通っていた中学からはだいたい半数が、私達の通うの高校に進学している。
なのに、あれだけ顔が広かった鹿山くんの噂を、この1年以上聞いた事がない。
つまり、他県か、望んだ所に進学したとみていい」
「それだけ?」
「ううん……鹿山くん、卒業の日に寂しそうに笑って『もう会うことないかな……元気で、じゃな!』って言ってた」
「そう……アイツ、そんな事を。
そうだよ、本来、高校からは、アイツと2人でお前達を監視するはずだったんだ。
でも、アイツ、お前達に近寄り過ぎた。
だから外され、俺1人でする事になった。
お前達の事、大好きだって言っていたよ。
今は、本家……うちの隠れ里で再修行させられている」
「……そっか」
「東方院……アイツ、いいヤツだっただろ?」
「……ああ、楽しかったよ。
毎日、教室で騒いでいて、誰もが笑ってた」
「そっか……2年にあがる前に、実家であった時、いろいろ聞かれたよ。
アイツら元気かって……と、まあ、そういう事で俺が、お前らを監視して、情報を集めいたのはわかったな。
次は、置いてきぼりになってるフィガロさんが聞きたい事……俺の考えを話そうか」
しんみりした空気を変える様に、わざと俺は声をあげた。
『待って!
その前に、一つだけ聞かせて!』
トランシーバーの向こうから、吉川さなえが焦って聞いてきた。
「なにが聞きたい?」
予想はつくが、とりあえず聞いてみるか。
『八頭!
あんたが諜報員だってわかった。
だから、前にシヤの事聞いた時、惚けたんでしょ?
今なら、教えてくれるよね?
シヤはどうしているの?』
「……」
やっぱり、それか。
「あー、よく知ってる。
シヤね……うん、死んだ」
とりあえず本当の事を言う。
『……え?』
「お前達と一緒に……な」
『それ、どういう事?
わかりやすく教えて、ねえ!』
向こうが騒がしい。
「あー、後で話すから、今は黙って」
てか、今の言った事でわかれよ!
俺が、シヤだって……無理か、吉川にとってシヤは、いつもベッタリとついてまわる(俺じゃない、吉川が)程の親友だったからな。
本当、面倒臭い。
『教えて、お願い!』
「だから、後だって……フィガロさんの屋敷で全部教えてやるから待て!
いいな?」
『……わかった。
絶っ対よ?』
なんとなく、こっちの馬車に指をさしているのが想像出来る。
「はいはい……すみません、フィガロさん。
ほったらかしにして」
適当にあしらって返事し、苦笑しているフィガロに謝った。
トランシーバーの向こうがうるさい。
しばらくはボリュームを下げておこう。
「いえいえ……大体わかりました。
貴方が国の抱えている影の者……諜報員という事は」
「それはよかった。
じゃあ、なにから話しましょうか?」
どう話そうか、と悩んでいると右肘辺りを何度か引っ張られる感があり、見ると松井千里が少し顔を赤らめながら見ている。
「どうかした?」
「私も質問していいかな?」
フィガロと、俺を交互に見て尋ねる。
「いいですよ……なにが気になりました?」
フィガロは笑顔で質問を尋ね返した。
「……えっと、私達って本当に死んでから、こちらに呼ばれたのですか?」
「ああ、なるほど……フィガロさん、ちょうどいいから、この質問を含めた俺の考えを順に言うのはどうです?」
「いいですね。
お願いします」
フィガロは頷いた。
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次回は8時に投稿します。