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53(最終話) 士也、3人を娶る

本日、三話連続投稿。


一話目、1時投稿。


二話目、3時投稿。


三話目、5時投稿となります。


よろしくお願いします。


「という事があった。

 詳しい事は、この魔王バーミリオンに聞いてほしい」

 士也達は、謁見の間ではなく、非公式の謁見の為、国王の執務室で対峙していた。


 部屋の中には、対面式のソファー上座に国王。

 その後ろに立つ、総騎士団長アルベルト。

 テーブルを挟んだ対面のソファー中央に士也。

 その左右にマリーシアとバーミリオンが士也を挟んで腕に抱きつき、睨みあっている。


「……おい」

 睨みあったまま、反応しないバーミリオンに、抱きついている腕を動かし、声をかけ、ジト目で睨む。


「はっ?

 すまない……どうしても負けられない戦いが、ここにあったのだ」


「どこだよ」

 士也は呆れている。

 マリーシアは、まだバーミリオンを睨んでいる。

「お前らの進退にかかわるのだろ?

 ……マリーシアも、悪いとは思うけど話を聞いてやれ」


「……わかりましたわ」


 嫉妬で拗ねるマリーシアは可愛いなと顔に出さずに思いつつ、バーミリオンが士也に話した事をもう少し詳しく話し始めたのを聞き入れる。




「以上が、私達魔族の未来を望む事だ」

 バーミリオンは話を終える。


「……」

 国王ガルシアは腕を組み、考え黙り込む。


「陛下、魔王の話に一切の嘘偽りはございませんでした」

 そのガルシアの耳元に、アルベルトが囁く。


「……そうか。

 まず、わかった事だが……士也のお陰で、この王国だけではなく、他の国も魔族の侵略がなくなったという事か。

 そして、魔族のこちらへの移住の望み、出来ないなら士也に、魔族の大陸ディストピアの瘴気発生の原因追求と、魔王との婚姻を認めろという話か……士也は、我の娘マリーシアと婚約をしているんだがな?

 その辺りはどう思っている、魔王?」

 ガルシアは魔王を睨む。


「それなんだがな?

 まだ口約束の段階とも聞いておる。

 ……おるが、別に構わんだろう?

 もし、移住が認められなくとも、士也がディストピアに来て、私と夫婦になればいいだけよ。

 そして、この王国と、魔族の……二国にわたる王になればいい」

 名案だとバーミリオンは胸を張る。


「黙って聞いていれば、なにを勝手な!

 そう言って、向こうについた士也を洗脳なり、なんなりして、こっちを再び侵略するかもしれないじゃない?」

 マリーシアは、抱いていた腕を更にキツく抱き、バーミリオンに言う。


「……なるほど。

 それはいい案だな?

 思いもつかなかったぞ?

 貴様、魔王より魔族らしい意見をするではないか?」

 バーミリオン感心してマリーシアを見る。

「……だが、せぬし出来ぬよ。

 そんな事。

 純粋に惚れた相手を、そんな事で失う訳にはいかんしな?

 知っているか?

 洗脳、魅了などは対象の人格を壊すのよ。

 私はそんなの望まない」


「そう口で言っているだけじゃないのかしら?」


「そう思うか?

 ならば聞こう……そこの騎士よ?

 私は嘘を言ったか?

 貴様であろう?

 レベルに関係なく真偽を見破る能力をもっているのは。

 さきほどの私の話も嘘でないと、国王に進言したではないか?」

 バーミリオンはニヤニヤと笑う。


「……ええ、その通りです。

 魔王が言っている事は、この場についてから一言も言っていません。

 洗脳にかんしても、ディアスやマルチーノ公爵の性格が変わったのを見たので、間違いないかと」


「なるほどな、わかりやすい説明だ。

 マリーシアよ、我は国王として、それで魔王が存在する限り平和な世の中となるなら、それで構わん」


「なっ?」

 マリーシアは絶句する。

 バーミリオンは喜ぶ。


「だが、それを認めぬ者もいるだろう」

 ガルシアは告げる。


 その時、ドアをノックする音が聞こえた。


「来たか、入るがよい」

 ガルシアが認めると、1人の魔道士の姿をした女性が入ってくる。


「久しぶりぶりね……士也くん」

 入ってきた女性はソファーを挟むテーブルのところまできて立ち止まり、深くかぶっていたトンガリ帽子を取り、隠した顔をさらす。


「千里?

 どうして、ここにいる?」

 士也は、秋雨達とジェネレシェア大陸に渡った松井千里がいる事に驚く。


「士也くんが、王国を出た後、私もこっちに戻ってきたのよ。

 もちろん、魔法でね。

 君に話したい事があったからね……しかし、しばらく会わないうちに、いい身分になったね」

 千里はジト目で士也を睨む。


「……これには深い訳があってだな?

 いや、それより話したい事ってなんだ?」

 再び、バーミリオンにも腕を抱きつかれ、身動き取れない士也。


「……まあ、いいでしょ?

 国王陛下達には話ししたけど、まず……フィガロさんが先日亡くなったわ」


「ッ?

 そう、か」


「ええ……新聞と同じような物があって、そこにいる王女の後ろに立つ、シヤが侍女の姿で写っている写真を見て、いろいろとやっていると笑っていたそうよ?

 私達も冒険者の依頼で出ていて、フィガロさんの死に目には会えなかったのだけども……戻ってきた後、執事のレイドさんから言われたわ。

『貴方達の実力も、生活する能力も十分ですね。

 もう、好きに生きていただいても大丈夫ですよ。

 ここに残るのも、ここを拠点として出て行くのも』だって。

 私は一度、この王国に戻り、士也くんに会いにきたのよ。

 もういなかったけどね?

 でも、戻ってきてくれてよかったわ?

 言いたい事があったから……まあ、現状は悪いけど」

 千里は士也に抱きつく2人を見て、ため息をはく。

「士也くん、私、君の事が好きになったみたいなのよ。

 つきあって……って言いたかったけど、言い変えるわ!

 士也くん、私と結婚して!」


「……お前も、か?」

 士也はため息をはいた。




「なるほど……いい案ね?」

 千里は、士也が二国をまたぐ、マリーシアとバーミリオンの夫になる案を聞き考える。

「ならば、もう1つ、名案出すから2人は、私を認めなさい!

 私は今は2人が限界だけど、1ヶ月かかるヒューマニア大陸とジェネレシェア大陸を空間移動出来るわ。

 士也くんを連れてディストピアとここに行き来する事なんて動作もない事よ?

 3人で移動出来る様になったら、常にみんなで一緒にいられるわね?」


「いや、確かにそうだが?

 ディストピアには瘴気があってだな?」

 バーミリオンは2人も3人も関係なく、千里が出す案に引かれるが、懸念を押し出す。


「大丈夫よ!

 だって、私は支援の勇者だもの。

 勇者は瘴気の影響が少ないって、魔王が言った事だし、向こうの魔物倒して、私も限界突破すれば、瘴気の謎、早く解決出来るかも、ね?」

 千里はバーミリオンに向け、ウインクする。


「……なるほど、確かにそうだ」

 バーミリオンは完全に落ちた。


「王女は?」

 千里のターゲットはマリーシアに向く。


「……もう、これ以上増えないなら……仕方がないわね」

 マリーシアは、あきらめのため息をはいた。


「……なあ、俺の意見はないのか?」

 士也は無駄だと知りつつ尋ねる。


「あら?

 士也は、私達の事、嫌いなの?

 それとも、最初の予定通り、王女だけ婚約、結婚、夫婦になって、魔族達を見捨てるの?

 ……私の事、いきなり恋愛対象とみれないのもわかるけど、私の思いを受け取ってほしいし、受け入れてほしい……駄目かな?」

 千里だけでなく、マリーシアとバーミリオンも、士也を見つめる。



 ガルシアとアルベルトは、そんな士也を見て笑いを堪えていた。



「わかった……俺の負けだよ。

 千里……お前の事もちゃんと見るよ。

 しかし、見事に負けたな……誰だよ?

 千里をここまで成長させたの……って、どう考えても俺、か?」


「そうだよ!

 これからもよろしくね?」

 千里は笑う。


「ああ、よろしく」

 士也は苦笑しながら答える。


「「「よろしく、旦那さま」」」



最終話です。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


この作品で、初の感想をいただけてとても嬉しかったです。


投稿名はあげるつもりはありませんが、本当に感謝しています。


次の作品も、ある程度考えていますが、書くのに時間がかかるので、少しでもストックを貯めたいと思いますので、3~4ヶ月は時間を開けるつもりです。


また、私の作品を見かけたら、読んでいただけると嬉しいです。


また、その時まで……


『面白かった』と思われた方。

評価の⭐️を入れていただけると嬉しいです。

この作品は最後なので、よろしくお願いします。

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