05 馬車乗り場でも本領発揮な、オマケ
だいたい一話につき、1千5百~3千くらいで進めるつもりです。
今回1千8百ちょい……千里視点です。
ブクマ登録ありがとうございます。
馬車乗り場にフィガロと6人はたどり着いた。
「この馬車は、国が国費で無償に貸し出している馬車です。
これに乗って、私の屋敷に戻りましょう」
フィガロは、先頭の馬車二台に指をさし、説明した。
「……フィガロさん突然ですけど、俺達が召喚する事を決められたのは昨日、今日の事じゃないですよね?」
また八頭くんは馬車を見ながら、フィガロさんに尋ねた。
またなにかあるのだろうか?
そう私も思ったし、皆も、八頭くんを見る。
「ええ……そう、ですね。
召喚儀式を行うと決まったのは、一週間前……です。
色々と準備で今日になりましたけど」
「……どうしたの」
たまらず私は、八頭くんに尋ねてしまった。
「ん?
いや、俺だったら、それだけの期間あれば、どれだけ台数があっても、馬車の中の会話を聞く魔法とか、道具を仕掛けるかな、と思って、さ」
「あ……、あー、それは……ありえますね。
なるほど……わかりました、調べてみます」
フィガロさんは魔法を使い、馬車の中を調べ始めた。
「なあ……八頭。
いつも思うが、なんでそんなに、そんな事を思いつくんだ?
おかしいだろ……なんで、そう次々とそんな考えが出てくるんだ」
秋雨が、八頭くんに言うが、私にはどこか、秋雨が追い詰められている感じがした。
「なあ、秋雨?
さっきからなにをそんなに、八頭に突っかかってんだ?
本当に、お前らしくないぞ?」
願が、再び2人の間に入り、秋雨をたしなめた。
確かに、秋雨にしては色々とおかしい。
やっぱり、八頭くんとなにかある?
「渡瀬、東方院が悪い訳ではないんだ……だから、今は待ってくれないか?
俺も調べたい事があるんだ。
ちょっと離れる」
八頭くんは、荷物のスポーツバックから手のひらサイズの道具を取り出して起動させた。
道具から耳になんとか聞き取れる超高音とお腹に響く低音が鳴り出し、八頭くんは馬車の運転席にいる御者になにか話し始めている。
「はあ、参りましたね。
本当に、魔法具が仕掛けられているとは……彼、本当に何者なんでしょうか?」
戻ってきたフィガロさんは、手のひらに乗る小さく黒く四角い箱を二個持ち、見せる様に戻ってきた。
「……それは、八頭くんが言っていた音を傍受する道具なんですか?」
実和が覗く様にいろんな角度で、見ながら尋ねる。
「ええ、今は封印していますが、この王都内ならどこに向かっても聞く事が出来ます。
この様子だと、全部の馬車に仕掛けてあるとみていいでしょう……それで彼はなにをしているのです?」
フィガロさんは、ここにいない八頭くんを探すと、八頭くんは、二台目の御者のところにいて、ちょうど話が終わったみたいだ。
「あ、フィガロさん……どうでした?」
戻ってきた八頭くんは、フィガロさんを見て早速尋ねてきた。
「ありましたよ、ほら、これがそうです。
……それより、まだなにか気になる事でも?」
私達の時と同じように手のひらの道具を見せ、八頭くんに聞き返す。
「え?……ああ、もしかして御者の人も、暗示か催眠がかけられているんじゃないかと思って調べていたんですけど……二台目の御者の人に尋ねたら、少し不安定な感じでした。
もしかしたら、ですけど……フィガロさんも一応確認お願いしてもらってもいいですか?」
「……なるほど、わかりました。
そこまで思いつくとは、貴方は凄いですね……馬車の中で色々と貴方の話を聞くのが楽しみです」
フィガロさんは再び離れ御者の2人を調べて始めた。
「それでだな……馬車4人がけみたいだし、これ渡しておくよ」
八頭くんは、さっきの道具をバックに直した後、代わりに小型のトランシーバーを二個取り出して、そのうち一つを願に渡した。
「もう電源入っているから使えるぞ……あと横の赤いボタン押せば声送れるから。
そうそう、それな……そのボタンだ。
んで、馬車の距離間ならそれで会話が出来ると思う。
席なんだが……一台目は、フィガロさん、俺、松井、それと」
八頭くんは、チラリと秋雨を見た。
秋雨は、八頭くんに頷いた。
「……東方院の4人で乗ろうと思う。
悪いが渡瀬、竹内、吉川は二台目でいいか?」
「私はいいよ」
実和は笑顔で頷いた。
「俺もいいぞ」
願も同意した。
「……私もそれでいい」
さなえは、願がそういうならって感じに答えた。
「確かに二台目の彼、催眠がかかっていましたね……キチンと解除しておきました」
フィガロさんは疲れたのか、疲労をともなったため息をはきながら戻ってきた。
「あとついでに、城上空から監視出来る様に、召喚魔法で鳥を数羽飛ばしておきました。
追っ手が出てきた場合、これで確認を出来ます。
では皆さま、馬車に乗りましょうか」
「わかりました。
皆、馬車に乗ろう」
私は皆を見て促し、もう一度、城を見てから馬車に乗り込んだ。
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