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48 士也、各国の来賓者に正体をあかす

ブクマ登録、ありがとうございます。


携帯で打って書いているのですが、一度、書いた内容を消してしまい、この時間となりました。


申し訳ございません。


 国王ガルシアは、騎士達に守られ戻ってきた各国の来賓者達に、マルチーノ公爵の意義から始まり、公爵嫡子ディアスの暴動、魔族カーマインの存在、討伐など、すべて包み隠さず説明し、頭を下げた。


「……魔族カーマインの策略、ですか?

 それは本当に存在し、今回の騒動は、その魔族が行ったのでしょうか?」

 隣国セカドリスの大臣が、更なる説明を求める。


「うむ、魔族の遺体は訳あって、すでにないのだが、証明する事は出来る。

 士也、頼めるか?」


「わかりました」

 この場に同席している士也は、ガルシアに求められ立ち上がる。


「……彼は?」

 ジェネレシェア大陸からの来賓である帝国第3王子は、この世界で見た事のない服装の士也に対し、どこか遠慮をみせるガルシアを見て尋ねる。


「士也か?

 ふむ……各国、この王国の情報を集めているのならば覚えがあるはずだ。

 約半年前、我が王国で異世界から勇者なる者達を召喚する儀式が行われた事を。

 この者は、唯一、この国に残ってくれた勇者だ。

 彼がいなかったら、魔物となったディアス、ならびに魔族カーマインを滅ぼす事は出来なかっただろう」

 ガルシアは勇者召喚にあった様々な問題は省き、士也をたてる説明をした。


 さすがに離れた大陸の王子は知らなかったようだが、同じヒューマニア大陸の各国の者達は、士也の説明に納得し、遠慮のない視線とざわめきを士也にぶつける。


「私はこの世界に呼ばれ、スライム召喚士というスキルを授かりました。

 この大陸では、スライムといえば最弱なる魔物の1つだが、いざ召喚してみれば、魔族の大陸ディストピアに存在すると言われている凶悪なスライムの一種、エボリューションスライムという存在が現れました。

 見た目はとても可愛いモノなんですけどね……『スライム召喚』」

 士也はスン達を召喚する。

 魔方陣が現れ、スン達が飛び出る。


 スン達は士也の下に集まり、足元でまとわりつく。


「か、可愛いですね?

 確かに」

 第3王子は、飛び跳ねたり、士也に甘える姿を見て、心とらわれた様だ。

「さきほど言われた魔大陸の凶悪スライムだとは、とても信じられません」


「ですね?

 私もそう思います。

 事実、可愛いし、癒されるし、頼れる相棒達です。

 でも、このスライム達の能力は物凄いモノです。

 誰かが倒した魔物、魔族を吸収すればするほど、その魔物、魔族のスキルをすべて覚えていくという能力で、魔物化したディアス、魔族カーマインの遺体がないのは、すでにこの子達に吸収させたのでないのです。

 が……ムウ、おいで」

 士也の下に、淡い紫のスライムが近寄り抱きかかえた。

「はじめは青色のスンだかだったのですが、レベルが上がり、分裂して4匹になってしまって、吸収したくわえたスキルも、分ける事になり、今ではまるで私達は冒険者のパーティーを組んだ様に行動しています。

 そして、このムウの特徴はこれです」

 ムウが体内から1冊の本『魔物鑑定録』を取り出した。


「それは?

 なんの本でしょうか?」

 セカドリス大臣が問う。


「これはスン達が吸収してきた魔物、魔族を鑑定した記録。

『魔物鑑定録』です。

 今、最後に記載されているのが、魔族カーマイン」

 士也は本を開き、来賓者達に見える様に見せ歩く。

「更に、その前のページは、魔物化したディアスが乗っています。

 そして、ムウのもう1つの能力、『写し身擬態』……ムウ、ディアスの姿に」


「わかった~、ごしゅじん~」

 抱きかかえている士也の両腕から、ムウは飛び出し、ボヨンとした体から徐々に人の姿になっていき、最後にディアスそのものの姿となった。


「どうかな~、ごしゅじん~?」

 ディアスの姿となったムウの声は、話し方はそのままだったが、ディアスそのものだった。


「「「おおっ!」」」

 これには来賓者も驚く。


「……うん。

 ムウが悪い訳ではないんだけど、なんか……気色悪い」


「ひどい~、ごしゅじん~」

 率直な士也の言葉に、ディアス(ムウ)は拗ねた顔になり、士也に文句を言う。


「ごめん、ごめん……次はカーマインになってみて?」


「むう~、つぎ、ひどいこと~、いったら~。

 もう、やらない~」

 そう言って、ディアスの姿をやめ、違う姿……魔族カーマインに擬態した。

「くふふ~?

 どうかな~?」


「うん、凄い!

 そっくりで、ビックリ!

 笑い方も真似たの?」


「そう~だよ~!

にてた~?」


「そっくりだよ」


「わ~い!」

 士也は称賛し、ムウが喜んでいるのが微笑ましいのだろうが……カーマインの声に仕草、笑い方がそのモノで、士也以外、地下部屋で対峙したガルシアやマリーシア、アルベルト達は顔がひきつっていた。

「という訳で、証明は終わりです」

 そう言って士也は説明を終わらせた。



「それとだか……今回は我がプレリューム王国が狙われたのだが、カーマインと近き実力を持った魔族が各国に潜入していると、我が娘マリーシアに、カーマインは言ったそうだ。

 マリーシアよ、皆に詳しく」


「……ええ、お父様。

 勇者召喚が行われる一週間前、その時、この国最高の魔道士フィガロが王都から離れていた時を狙い、私に2回程、接触してきました。

 最初に接触してきた時、カーマインは間違いなく言っておりましたわ。

 各国にも、私がこの国に来た様に、各国、各重要な場所に、魔王様の命により潜入しているのですよ、と」

 マリーシアは目を瞑り、その時の事を思い出すように話す。


「それは本当ですか?

 マリーシア嬢」

 今まで沈黙を保っていた褐色の肌の男性。

 西の砂漠にある十二首領国連邦サーディンから来賓者で、首領の1人だった。


「ええ……疑うのかしら?」


「いや、信じよう。

 我等サーディンは大陸の西にある。

 魔族の大陸ディストピアに一番近き、サーディンを飛ばし、このプレリューム王国だけに潜入するとは思っておらん。

 事実、この国で勇者召喚儀式が行われた、その前より先に、我がサーディンでは魔族を見たと報告はあったからな。

 我等もそれに対し、実力者を集めている。

 いつ出て来ても、負けるつもりはない」

 サーディン首領は誇らしげに自信をもって説明した。




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