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45 士也、カーマインを怒らせる

ブクマ登録、ありがとうございます。


前回、読みかえせば、私は、ざまぁ下手だな~と思いました。

でもまあ、これはこれでいっかと思い書き直しはしない事に。


よろしくお願いします。


「はぁ、はぁ……」

 アルベルトはカーマインに向けて構えている。


 騎士になる前から剣を握り、振り、構えるといった一連の動作を行い続け、無駄な動作をなくし、気づけば国一番の騎士になり、その地位を守る為、更に訓練を重ねてきたアルベルトの体力は底が見えないと言われてきた。


 だが、アルベルトはカーマインを切り刻むたびに体力が失われ、今も剣を落としそうなほど握力は落ち、膝は震え、肩で息をしていた。


 そうアルベルトが幾度も致命傷となる一撃を放とうと、カーマインは血も流さず、切られた傷は直ぐにふさがり、元の状態に戻る。

 しかも、ほとんど立っている場所から動かず、構えず、受け続けている。


「くふふ……どうしました?

 もう、終わりですかね?

 これが、この国一番の騎士とは、残念です」

 カーマインはやれやれという感じで首を振る。

「まあ、剣しか使えない貴方が、私との相性が悪いだけでしかないんでしょうけど……もう、攻撃しないのですか?

 しないのなら、こちらからしかけますかね?」


「くっ」

 アルベルトは覚悟を決め、カーマインに向けて走り出す。


 剣に魔力を纏い、剣を振る直前、身体の力を抜き、今までで一番の速さ、振る回数、斬撃の鋭さを一瞬で行った。


 カーマインは形なく切り刻まれ、液体となり地面に広がった。


「やった!」

 結界のなか、リセラが勝利を確信しガッツポーズを決めた。


 だが


「くふふ……さすがに今のは驚きました。

 まさか、一瞬で身体がなくなるとは思いもしませんでした」

 地面に広がった液体の中央から頭の天辺から順に現れ、元と同じようにその場に立つ。

「今の技、貴方の身体に負担がかかると見ました。

 腕ですか、脚ですか、腰ですかね?

 それと……更に、貴方の体力を吸わせていただきました。

 もう、立つ事さえ、難しいのでは?」


「はぁ、はぁ……くそっ」

 実際、カーマインや言う通り、すでにアルベルトは膝をつき、地面に突き刺した剣で身体を支えた状態だった。


「では、次は私からの攻撃ですね」

 カーマインの足元の液体は、すでに吸収され、カーマインの足元、前後左右に代わりの粘液……スライムがゆっくりと床の材質を吸収しながら広がっていく。

「私の秘密……もう、おわかりですよね?

 私の新しい力とは、このスライムの身体と能力。

 この力を得て、本当に感極る」


「……スライム」

 カーマインの口から、二度目のその言葉を聞いた事で、マリーシアは、前回本人から聞いた話を思い出した。


「おや?

 マリーシア嬢、どうやら思い出しましたかな?」

 マリーシアの呟きをひろい、カーマインは足元からゆっくりと浸食していくスライムを見てから、マリーシアを見た。

「ええ、あの時、お話した内容を覚えていらっしゃるかな?

 魔族の大陸には、魔族でさえ恐れる、恐ろしい3種のスライムがいると」


「……覚えているわ。

 確か、マザースライム、スライムオーシャン、エボリューションスライム……だったかしら」

 マリーシアは、少し悩んだあと、ツラツラと答えた。


「エクセ、レンットゥ!

 まさにその通り!

 よく半年以上のちょっとした話を覚えてらっしゃる。

 そう!

 私が得たスライムは、その1種……スライムオーシャンでございます」

 カーマインは大袈裟に右手を胸元に、左手を広げる様に、足は交差して一礼をとる。

「そして、その特徴は初めは少しずつでも、確実に範囲を伸ばしやがて海が如く、果てしなくと吸収しながら、すべてを侵略していくでしょう」


「アルベルト様、こちらに避難を!

 我らでは、ヤツの相手は不利です。

 結界を緩めますので、いったん、こちらへ」


「……仕方がないか、無念だ」

 アルベルトはよろけながらも立つあがり、剣をカーマインに向けたまま、ゆっくり下がり、結界の中に入った。


「くふふ……その結界とて有限であるだろうに。

 いつまで耐えれるのでしょうね?

 さあ、まもなく我がスライムがたどりつきますよ!」


 じわじわとスライムは、気づけば残り5メートルくらいまでに近寄ってきていた。


 その時、突如と見覚えのある鉄棍がスライムごと床に突き刺さり、一帯をスライムごと巻き込み凍らせた。


「あの鉄棍は……シヤ?」

 マリーシアは見覚えのある鉄棍を見て、シヤを探す。


 そして、自分達が通ってきた入り口に立つ人物を見つけた。


 が


 その人物は顔立ちや雰囲気はシヤに似ていたが、どこか見た事のある服装を着た男性だった。


 男性は近寄ってくる。


「……それが本当の姿か?

 名はなんて呼べばいいんだ……シヤか?」

 近寄り、結界の側で立ち止まった男性に、アルベルトは安堵のため息をはき尋ねた。


「……本当、嫌になるな。

 その瞳は?

 ああ、そうだよ。

 服がボロボロになったからさ、久しぶりに女装を解き、これに着替えた」

 今、着ている服は召喚時に着ていた向こうの世界の制服。

 今、一番ふさわしいと思ったのが、これだった。

 あと、ボロボロになったとはいえ、男の姿で侍女服は恥ずかしかった。

「そういえば、あの時名乗ってなかったな?

 俺の名は、士也だ。

 そう呼べばいい。

 それにしても……やっと追いついたと言えばいいのか、それとも、この姿だと……あの時以来だな、王様、それに……マリーシア?」


「……そんな……あの時の?

 シヤが、勇者召喚の……まさか」

 マリーシアはあの時の事を思い出し、顔を青ざめた。

 だが、あのなかにシヤと同じ髪の色と目の色を持つ人物はいなかったはずだ。


「ああ、髪の色?

 もともとは向こうの世界で黒に染めていたのさ。

 目もカラーコンタクト……って知らないか。

 まあ、目色を変える道具だと思えばいいよ。

 この色は、俺のばあちゃんから遺伝した色だよ」

 マリーシアの目線に気づき、髪をいじりながら、士也は笑う。

「まあ、つもる話はおいといて……アンタがカーマインか?

 なるほど……嘘つきの顔をしているな」


「嘘つき……ですか?

 突然現れて、なんとも非道い言われですね?

 貴方……何者なんです?」

 カーマインは睨む。


「ん~?

 そうだな?

 マリーシアいわく、勇者召喚のオマケかな?」

 少し悩んだあと、あっけらかんと答える士也。


「……オマケ。

 シヤが勇者のオマケ?」

 マリーシアは、かつて自分が言った言葉に冷や汗をかき、後悔する。


 チラリとマリーシアを見て、今はほっておく事にして、士也は改めてカーマインと対峙した。


「ん~、だってさ?

 嘘つきだろ、アンタ。

 マリーシアに会う時、時間をとめたって思わせたらしいけど、そんな能力もってないだろ?

 単に、結界でそういう風に、まわりから隔絶して、マルチーノ公爵みたいに、分身の小さなスライムをその時いた侍女にとりつかせ操り、それらしく見せたんだろ?

 マリーシアはまんまと騙されたわけだ。

 私はそういう能力をもっていますよ~って?

 それに……フィガロさんがいなくなったから、今回の騒動だ」

 そうだろ?っという感じで、馬鹿にした笑う。


「……なぜ、その名が出てくる」

 カーマインは手で顔を隠し、地の底から聞こえる様な声で問う。


「だって、厄介者なんだろ?

 マリーシアにそう言ったらしいな?

 万が一でも自分をあんな風な事が出来る魔道士がいると、自分の存在がバレてしまうかもしれないからな?」

 凍りついているスライムを指で示す。


「……」

 カーマインは、もう士也の言う事に返事を返さない。


「他にも色々あるけど、言ったほうがいいか?」


「……もういい」

 カーマインは呟く。


「は?

 なんだって?」

 士也は耳に手をそえ、聞こえないフリをした。


「~~~ッ、もういいと言ったんだ!

 なんなんだ?

 貴様は?

 突然現れ、私を侮辱する。

 もう、許さない!

 貴様は我が能力をもって、絶対に殺す!」

 カーマインは散々侮辱してくる士也にキレて、スライムの粘体を手から放出する。


「出来るかな?

 俺は、フィガロさんより強いし……すでに、お前の分体のディアスは倒したぞ」

 士也は『幻魔の手甲』に魔力を込め、幻の手をめがけ飛んでくるスライムをキャッチし凍結し粉々にした。




そろそろ話の終わりも見えてきました。


これで終わるか、続けるか、悩んでいましたが、終わる方向で、心は向かっています。


新しい話も書きたいので……


それでは、もう少し、なるべく時間を開けない様に書くつもりですが、楽しんでいただけたらと思います。


よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ついにマリーシアが真実を知る。 [気になる点] マリーシアは士也に断罪されるのか。
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