41 シヤ、城に残ってと本気で言われる
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「そういえば、侍女長とクレスト団長ってどういう繋がりなんですか?
クレスト団長が身分を変え、執事の1人として潜入しているのは知ってますけど」
シヤはお湯を沸かし、ポットに入れ戻ってきて、常々疑念に思った事を尋ねた。
「あら……シヤはまだ知らなかったのね?
あの子、クレストと私は、子と母……実の親子よ。
父親は……シヤも一度あっているのだけど、この城の執事をまとめている執事長よ。
ほら覚えているかしら、シヤがクレストに連れられ、私と初めて会った部屋にいた」
「もしかして、あのビシッとした男性の事ですか?
……じゃあ、あの時あの部屋にいたのは家族だったって事?」
シヤは話を聞いて驚きを隠せなかった。
「そういう事ね。
ちなみにあの子が騎士になったのは、旦那様が執事教育の一貫として、主を守護する剣を教えていたら、剣にはまって騎士になるって言い出し、そこのアルベルト総団長……当日はまだ騎士だったけど剣の練習相手を頼み……後にアルベルト総団長は、団長まで登りつけたクレストの執事スキルに目をつけ、裏で私達と渡りをつける騎士に任命したのよ」
リンダを見ていると、どこか……いや確実に、息子を自慢する母親に見えた。
「なるほど、そういう訳でしたか」
紅茶を淹れ終わり、それぞれの前に置きもとの位置に座り直したシヤは納得した。
「では、そろったところで、会議を始めましょうか?
といっても、こちらが決めた内容に、それぞれがフォローする形になりますが」
アルベルトがそういうと2人は真剣な顔で頷く。
「まず、我ら騎士団約250のうち、団長の1人ビンセントを中心に150を王都の町に配備、町の兵士や、冒険者ギルドで町を守る依頼を受けた冒険者達とともに王都を守ってもらおうと思っています」
「わかりました……明日、冒険者ギルドでマスターに伝えておきます」
シヤは頷く。
「せっかくの休暇なのに悪いな。
兵士の方は、ビンセントが顔見せとして向かわせ伝えてもらうつもりだ」
アルベルトも頷く。
「……あ~、それはちょっと兵士がかわいそうかもしれませんね?」
2メートルを越える巨漢のビンセント・ノアが、町の兵士に説明する場面を考え、シヤは苦笑する。
「……確かに」
リンダも同じ事を想像したのか頷いている。
「仕方あるまい……で残り100のうち50を城内に配置、最後50をクレスト、リセラを中心に生誕祭会場を入り、執事侍女としてリンダ侍女長達と給仕を行いつつ警備にあたる」
「50は多いですね?
せめて30で……こちらも貴方達ほどではないですが、少しは動けますから」
リンダは侍女としての考えで指摘した。
「なるほど……では、城内70、会場30で。
それと別に、シヤは」
アルベルトは納得し考えを改めて書面を書きかえ、次にシヤを見る。
「私は隠密術で気配を消し隠れて、国王陛下、マリーシア様、あとついでに、側にいて生誕祭の運行をまとめる宰相を守ります。
各国の来賓達は、一応護衛がついているでしょうし、近くにいる執事侍女にふんした騎士達で守るのでしょう?」
シヤは自分の意見を言う。
「ああ、その予定だ」
アルベルトも頷く。
「じゃあ、大まかな内容はこれでいいんじゃないかと?
あとは、臨機応変と、もしもの時は退路を確保するかたちで……魔道士団がどう動くかも注意しなくては、だけど」
シヤは顎に手をやり、なにか残っていないか考える。
「そうだ!
魔族……アルベルト総団長、本当にカーマインという魔族は現れるのでしょうか?
今更ですがマリーシア様の思い違いの可能性は?」
「ああ、あの時、マリーシア様を見て嘘は言ってはいなかった。
だから、なにか企みを立てて姿を消しているかもな?」
シヤの言いたい事に気づき意見をのべる。
「ですよね。
それなら事を大きく狙うなら、やっぱり生誕祭でしょうね。
本当に問題が多すぎるが……やるしかないか」
シヤは頭を押さえながらため息をはいた。
最後にシヤがまとめた。
会議は終わった。
「「……」」
アルベルトとリンダは2人して、シヤを無言で見る。
「……どうかしました?」
シヤは首を傾げる。
「シヤ、本当に生誕祭後も、城に残らない?」
リンダは、シヤの実力、考え、行動力を惜しみ、マリーシアもだが、幾度の勧誘をしてきたが、改めて今日、シヤといてリンダは本気の勧誘する。
「そうだな、シヤ……お前の事情もわかっているが、お前さえよければ、本当に城に……どういった形であろうと残ってほしいと思う。
特に、騎士団に入るなら、総団長の位を明け渡してもいいぞ?」
アルベルトも冗談を混ぜつつ、同意見だと伝える。
「さすがに、そんな位なんていりませんけど……そこまで言われたら嬉しいし、考えてみます。
だから、とりあえずは生誕祭が終わるまでは保留って形で」
シヤは年上の2人にそう言われ、顔を赤らめた。
「ああ、頼む。
いい返事を待ってる」
アルベルトはそう言い、リンダも嬉しそうに微笑む。
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