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04 本領発揮し始めた、オマケ

四話目です。


ここから第1章となり、サブタイトルがちょっと変わります。


千里視点です。


6月1日、18時現在。

ブクマ登録ありがとうございました。



 国王と王女が謁見の間を退去して、しばらく魔道士長が頭をあげ、私達に話しかけようとした時、城の外より、ゴーン、ゴーンと間を空けながら数回鐘の音が聞こえた。


「もう、こんな時間ですか……魔道士長、私達は、今日はこれで失礼いたします」

 そう言って、魔道士長以外の魔道士の格好をした者達も、謁見の間から出ていった。


 そういえば……部屋を守る数人の兵士を残して、さっきまでいた騎士達もいない。


「さて、この謁見の間は、まもなく閉鎖されますので、私達も出ましょうか

 その前に、まだ名を言っていませんでしたね。

 私の名は、フィガロと申します。

 以後、お見知りおきを」

 名を告げ、頭を下げた魔道士長フィガロは、私達を連れて、謁見の間を出た。



「すみません。

 とりあえず、今後の事を話したいと思うので、私が住む屋敷まで、ご同行していただきたいのです。

 ……けして、無下にはいたしません。

 どうか、お願いします」

 謁見の間を出て廊下を見渡し、誰もいないと判断したフィガロさんは、どこか急いでいる感じで説明を始めた。


「俺は宛も無いし、フィガロさんの誘いを受けようと思うんだが……どうする?」

 秋雨が私に確認する。


「……そうだね。

 他にどうする事も出来ないし……フィガロさん、お願い出来ますか?」

 こういう時、必ず私が代表で言う事になっているから、実和達の顔を見て答えた。


「八頭くんも、それでいい?」

 最後に八頭くんを見て、そう言った。


「……それだけ?」

 八頭くんは、私を見返し、そう聞き返した。


「え?」


「いや、俺も同感だが……急いだ方がいい。

 フィガロさん、急ぎましょう」

 聞き返された事に反応出来なかった私は、この時、八頭くんに期待ハズレと言われた気がした。


「……おい、待てよ!

 何だ、その態度……千里に謝れ!」

 私に対しての八頭くんの態度に腹をたてた秋雨が、フィガロさんと一緒に動き出した八頭くんの肩を掴んだ。


「……おい、なんだ?

 この手は……急いでいると言ったろう?

 お前、フィガロさんの心遣いを無駄にするつもりか?」

 掴まれた肩見て、八頭くんは忌々しそうに、秋雨を睨む。


 ……なんだろう?

 少しずつ、彼の雰囲気が……いえ、印象が変わっていくような。


「待てよ、秋雨」

 一発触発な2人の間に、願が間に入った。


「何だよ!

 願……お前、こいつの肩を持つつもりか?」


「そんなつもりはないがな……お前こそ、さっきから八頭の事を馬鹿にしている様にしか見えないぞ?」

 願から言われ、秋雨は悔しそうに、顔をしかめた。


「渡瀬、別に庇ってくれなくてもいい。

 向かいながらでも話は聞くから、とにかく急ごう」

 八頭くんは、秋雨と願のやり取りを見てため息をはきながらも、すでにフィガロさんの後をついて歩いていた。


「ほら、秋雨……皆も行こうよ」

 私は、なんとも思ってないと、いう感じで歩き出し、声をかけうながした。



「八頭……お前の事だ、俺達に関わる状況、予測しているんだろ?

 どこまでわかっているんだ?」

 秋雨が、前を歩く八頭くんに声をかけた。


「……7割から8割って、ところだ。

 もう少し、フィガロさんから話を聞くから、もうちょっと待ってくれ」

 前を向いたまま、八頭くんから返答があった。


「わかった……頼む」

 また秋雨は悔しそうに顔をしかめた。



「……フィガロさん、このまま質問を幾つかさせて欲しい。

 さっきの謁見の間でわかった事だが、フィガロさん……あなたは平民あがりで、他の魔道士は貴族なのか?」


「なっ?

 ……どうしてわかりました?」

 八頭くんの質問に驚き、フィガロさんは首だけを一瞬向け、再び前を向いた。


「アイツらのフィガロさんにとった態度、ならびに嘲りの気配からかな。

 それで、フィガロさん以外に、鑑定で人の能力を見る事が出来るのは、他にいます?」


「君は……どこまで?

 あ、次の曲がり角は左です。

 ……そうでね、1人だけいます。

 鐘が鳴って、私に仕事をあがると伝えた人物が、そうです」

 歩く廊下の先を指をさし、思い当たる人物を答えた。


「なるほどね……道理であいつ、早い事謁見の間を出たがっていたはずだ」

 八頭くんは頷く。


「……彼がなにか?」


「ああ、今頃あいつ、王女に、フィガロさんが、俺達の能力鑑定の誤魔化した事を伝えているはずだ」

 さぞ、なんともないという感じで、八頭くんは答えた。


「な?」

 フィガロさんは完全に足を止め振り向き、八頭くんを見た。


「どうして、それを?

 確かに、私も、そう判断しています。

 が……でも、どうして貴方がそれをわかるんですか?」

 フィガロさんは、恐ろしいモノを見る様に聞いた。


 ……私も、そう思う。

 それが本当なら、さっきの八頭くんが、私を見た時の表情は、『私もこれぐらい、わかれよ』って事になる。


「……フィガロさん、屋敷にはなにで向かうのです?」

 八頭くんは答えず、突然違う事を、フィガロさんに質問をする。


「え……あ、馬車です。

 城から自由に借りれる馬車が出ています。

 それを二台かり、屋敷に向かいます」

 質問をされ返されたフィガロさんは、意図がわからず、とりあえずは答えた。


「どれくらい時間はかかる?」


「30分……とばせば25分くらいかと」


「なら、馬車で答えるし、俺の考えを言う。

 早く行こう」


「あ……はい、そうですね。

 わ、わかりました」

 意図に気づいたフィガロさんは頷き、再び歩き出した。


「……そだ、ちょっと話が変わるけど、フィガロさん」

 八頭くんは、持っている自分の荷物……学校指定のスポーツバックから、コンビニ袋を出し、中身を取り出してフィガロさんに見せた。


「えっと……サンドイッチ、ですか?

 美味しそうですね……中身は、ハム、きゅうりですか?

 こっちは、レタスに、チーズ?

 どっちもパンが柔らかそうで、本当、美味しそうです」

 フィガロさんは確認が終わったら、サンドイッチを八頭くんに返そうとした。


「どっちか1つ、さしあげます。

 ちなみに、これは?」

 八頭くんは手におにぎりを持ち、フィガロさんに見せた。


「……おにぎりですか、ね」

 フィガロさんも、再び意図がわからず首を傾げた。


 今のやりとりって……あっ!


「八頭くん、今の」

 私は気づいた事を言おうとしたら、八頭くんは、私を見て微笑んだ。


 それを見て私は嬉しくなった。


「なあ、千里……今のどういう事だ?」

 秋雨が聞いてくる。


 見れば、皆もわからなかったのか、秋雨と同じ顔をしている。


「……今、フィガロさんはサンドイッチをサンドイッチと言った」


「当たり前だろ?」

 願は言った。


「あ!

 そういう事か?」

 秋雨は気づいたみたいね?


「そう……ハムも、きゅうりも、レタスも、チーズも、おにぎりも……この世界でも同じように認識している。

 つまり、この世界にも、私達のいた世界と同じ食材があるという事。

 他にも、探せばそういうのがある可能性が高い」

 見ればフィガロさんも驚いていた。


「なるほど……あっ、こちらいただきます」

 ハムサンドを手に残し、レタスサンドを八頭くんに返した。


「……ああ、あれですね?

 馬車乗り場は」

 皆からの視線に、八頭くんは少し照れた様に、見えた馬車に指をさし誤魔化した。

 さりげない、やり取りから情報を知る。


 ……もしかしたら、今のやりとりは、それを私に知ってもらう為?


 まさか……いや、たぶんそうだ。


 謁見の間を出た後、フィガロさんが急いでいた理由がわからなかった、私に『もっと考えろ』と教える為だ。


 私達の中での頭脳ブレーンは私だって、八頭くんは知っていたんだ。

 そして、この考えは当たりで、馬車乗り場についてからも、八頭くんの考えが、かなり先まで見えていた事に、私達は驚いたのだった。



面白そう、面白い、この後気になる方は、評価の星☆に光⭐️をつけて下さい。


つけてくださると、私が1人で輝きます。


秋雨の士也に対する態度は17話、18話で繋がります。


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