37 シヤ、アルベルトに団長3人を紹介される
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「そろそろよろしいでしょうか?
マリーシア様」
シヤとマリーシアの雰囲気を喜ばしく微笑みながら、アルベルトは割り込んできた。
「……っな?
なにかしら?」
まわりの状況を思いだし、慌てるマリーシア。
「ええ、どうしても話さなければならない案件がありまして、今日、マリーシアがこちらに来てくださった事は、こちらとしてありがたかったのです。
もし、よろしければ、私の部屋までお出でいただけますか?」
アルベルトは真剣な表情に変え、話し出す。
「……大事な事、なのね?」
マリーシアも、それに気づき尋ねる。
「ええ……シヤ、君もマリーシア様の護衛なら、知っておくべき案件だ。
ついて来たまえ」
「わかりました」
シヤも侍女モードで対応する。
「リセラ、お前も来い。
ビノとクリスも呼んでいる。
今から戻ればちょうどいい時間だ」
「了解しました」
リセラは、団長を3人とも集めた事に驚きつつ敬礼した。
「お前達、私達は戻る。
オウルが気がつき、少し苦しんだら助けてやれ。
お前達は訓練場内を訓練時間まで走れ……もちろん、目が覚めたオウルもだ。
サボるんじゃないぞ!」
アルベルトは訓練監視の上位騎士に細かな指示を出していく。
「「「はっ!」」」
騎士達は若干顔を青ざめながら敬礼し返事を返す。
アルベルトが言った内容は、騎士がつける鎧全装備の重さと同じ重さ10キロの重りを身体につけ、訓練場内まわり、距離にして約2千メートルを走り続けなくてはならない。
そして訓練時間の残りは約1時間半、走り続ける。
監視する上位騎士がいる為、手を抜く事も許されずに。
アルベルトは、オウルの言葉に賛同し、シヤへ対する侮蔑の視線を向けていた騎士達への罰も含めていた。
「では、参りましょうか」
騎士達は急ぎ準備をしに動きだし、それを確認したアルベルトは、あとは上位騎士に任せ、マリーシア達を連れて、アルベルトの総団長室の横にある小会議室に向かった。
「さて、悪いがシヤ、君がいれた紅茶を飲んでみたいから、淹れてもらってもいいかな?
6人分で」
アルベルトは、マリーシアに楕円のテーブルに八脚ある上座の椅子を進め、椅子をシヤが座りやすそうに引き、マリーシアが座った後、自身はマリーシアの反対の対面に座り、シヤに紅茶を頼んだ。
本来、アルベルトの秘書的な存在であるリセラが淹れるはずであり、リセラもそのつもりで動こうとしていたが、アルベルトの言葉にとまった。
「あら、私の侍女を使おうとするなんて、どういうつもりかしら?」
マリーシアは扇を取り出し、口元を隠しながら笑い問う。
「いやいや、たいした理由ではないのですよ。
ただ、あのリンダ侍女長が認め、マリーシア様のお気に入りという、シヤの実力の一環を見てみたくて、お願いしてみました」
アルベルトも笑って答えた。
「あら、さっき実力は一緒に見ていたわよね……でもそう、そう言われると自慢したくなるわね?
シヤ、お願いできるかしら」
シヤをチラリと見て、マリーシアは言った。
「わかりました」
シヤは一礼し、その場を離れた。
場所は入った時点で部屋を見渡し把握している。
あとは、カップや、紅茶等の位置を確認するだけだ。
シヤが離れた後、ドアにノックが3回軽く鳴る。
『総団長、クリスト・エッセン、ならびにビンセント・ノア、到着しました』
続いて、ドアの向こうで名乗る声があがった。
「……入れ」
名を聞いたアルベルトは、後ろに立つリセラに開けて入れる様に見て促し、ドアに移動したリセラは来訪者を招き入れた。
「失礼します」
そう言って、入ってきたのは180センチほどの身長に細く引き締まった身体に、金髪を襟元だけ伸ばし紐でくくったイケメンだけど、どこかで軽そうな男……クリストと、2メートルを越える筋肉隆々で、岩の様な存在感を放つ男、ビンセントが入ってきた。
クリストとビンセントが、部屋に入り一番に見た人物……マリーシアを見て、すかさず膝をつき礼をとった。
「……この場では、その様な礼はいりません。
顔をあげ、こちらに来てアルベルトの元へ」
マリーシアは、王族に対する最敬礼に頷き許す。
「「はっ」」
2人は言われた様に立ち上がり、リセラとともにマリーシアの対面、ソファーに座るアルベルトの後ろに立った。
「ふむ、お前達もこちらへ座りなさい」
アルベルトは自身の横にリセラを始め、クリスト、ビンセントの順に座らせた。
そこにちょうど紅茶を作り終えたシヤは、ワゴンを押しながら、マリーシア、アルベルト、リセラ、クリスト、ビンセントの順に紅茶を淹れ、それぞれが座るテーブルの前に、カップに紅茶を淹れたいき、差し出していった。
クリストにいたっては、シヤがカップを置くとき『お~、シヤじゃん』と言い、シヤは若干顔をしかめるが、直ぐに無表情に戻り作業を続けていた。
淹れ終えたシヤは、マリーシアの後ろに立ち控える。
「シヤ……君は、マリーシア様の横に座りなさい。
あと、侍女の振る舞いは、今はしなくていい」
アルベルトは、シヤにも座る様に告げた。
「……しかし」
「かまわない。
君には、マリーシア様の護衛として話を聞いてほしい」
マリーシアも頷いている。
「わかりました」
シヤは、マリーシアの横に自身の紅茶も前に置き座る。
「では、せっかくだ。
まずはシヤに淹れてもらった紅茶をいただこう」
アルベルトは紅茶の入ったカップを持ち上げ、軽く香りを嗅ぎ、一口飲んだ。
「……ほう、旨い。
確かに、リンダ侍女長が認めたのが、よくわかる」
「……確かに、私が淹れたモノより美味しいかと……少し、悔しいですね。
精進しなくては」
リセラは複雑な顔で、紅茶を飲んでいた。
「いや、リセラの淹れた紅茶も、私は美味しいと思っているし、好きだよ。
でも、精進したい気持ちは嬉しいね?
今日は、シヤへの興味で頼んだが、これからも頼むよ?」
アルベルトが微笑む。
「はい……頑張ります」
リセラは頬を赤らませ、返事する。
「しかし、シヤの淹れた紅茶は、本当、相変わらず旨いな」
リセラの態度にちょっと複雑に思いながら、クリストは紅茶の感想をのべた。
「ありがとうございます、ラ《・》ークさん。
あなたの指導がよかったのでは?」
シヤも無表情のまま、自分の紅茶を飲み、なんでもない様に言った。
「いや、そんな事はないよ初めから……って、なんで、僕がラークだとわかったんだ?」
クリストは途中で、自分がラークと言われた事に驚き、口元を手で押さえている。
クリストは、シヤが冒険者ギルドで侍女の仕事を受けた際、ラークに変装して2週間ほど侍女の教育を指導した事がある。
「私も変装は得意なモノで、それに、あなたの場合、雰囲気と気配は変わっていないから、気をつけた方がいいし、言動も気をつけた方がいい」
シヤはさきほどから、クリストの態度が初対面に対し、前からの知り合いの様な言動にあたりをつけていた。
つまり、アルベルトが言う『リンダ侍女長が認めた』という言葉は、ラークに変装したクリストの報告という訳だ。
「……そうか。
もう教える事はないと思っていたが……逆に教えられるとはな?
気をつけるよ」
クリストは、シヤの言葉にへこむ。
マリーシアとビンセントは、そんなやり取りを聞きつつ、紅茶の味を楽しんでいた。
紅茶を飲み一息いれたアルベルトは、シヤに簡単なリセラ達の事を話し、本題に入った。
「実はクリストが扱う裏を調べている部隊の者達が、マルチーノ公爵邸で気になるモノを見たとの事だ」
内容もあまり進んでいないな感じですが、必要な部分だと思うので……
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("⌒∇⌒")