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35 シヤ、副団長オウルに疑われていた

ブクマ登録、評価⭐️もいただき、ありがとうございました。


0時に投稿しようと思っていましたが、作中で気にいらないところとか、書き直していたり、後書きに補足を書いたりして……この時間になりました。


よろしくお願いします。

「……なんだ、話の途中だぞ!

 どういうつもりだ?」

 リセラは、言葉を遮り近寄ってきた騎士を睨む。


「……おそれながら、申し上げます。

 私は、団長が……リセラ様がそこにいる侍女モドキの冒険者に、実力が劣るとは思ってはおりません!」

 騎士は鯱場しゃちほこばって、大声で発言する。


 訓練中で対峙していた者達まで、動きがとまり、こちらを見るほどに……今、訓練場にいる騎士達の視線は、すべてリセラと、シヤに向かっている。

 ただし一部は、シヤにかんしては侮蔑の感情を乗せて。


「……ほう?」

 リセラの声が若干低くなり、あたりを見渡し訓練の最中動きをとめている騎士達を見た。

「貴様達、いい度胸だ。

 オウル……副団長として、どうするつもりだ?

 今の貴様の発言で、訓練はとまってしまった……相手の実力を読めない、貴様の発言でな!」


「なっ?

 私が実力を読めないと……?

 その言葉、取り消してください!

 リセラ様はもちろん、我ら騎士団が、冒険者ゴ《・》()()に劣るはずがない」

 副団長オウルは、直属の上司であるリセラに楯突く。


 そこに。


「なんの騒ぎだ?」

 こちらに向かって歩く騎士……総団長アルベルトが、けして大きくない声での発言だったが、訓練場にいるすべての者に注意を向けさせた。


「アルベルト総団長!」

 訓練場にいる騎士達すべて、直立し右手を胸にあて、左手は背中の下、腰にもっていき、騎士団の最敬礼の1つをとった。


「ごきげんよう、アルベルト」

 この中で空気を読まなくてもいい人物、マリーシアはにこやかに挨拶の言葉をかける。


「よく参られました、マリーシア王女殿下。

 して……本日のお越しは、どうなされたのでしょうか?」

 近くまでより、マリーシアの前で膝をつき、頭を下げたアルベルトが問う。


「それですけど……」

 マリーシアは、今までの経緯を話した。


「……なるほど。

 そうでございましたか」

 アルベルトは立ち上がり、シヤを見た。

「シヤと言ったな……久しぶりだな」


「お久しぶりにございます」

 シヤは、侍女モードで頭を下げる。


「ふむ、侍女として無駄のない熟練を感じる動きだ。

 だが、かしこまらなくてもいい。

 君には悪いが、マリーシア様の願いと、彼らに君の実力を見せてやってほしいのだが」


「ええ、それは構いませんが……相手はどなたに?」


「リセラが降りたんだ、そのリセラに楯突いた副団長オウルに相手してもらう」

 アルベルトは、チラリとオウルを見る。


「そうですか。

 では、どこまで実力をしめせば?」


「……ふむ、そうだな?

 今は、陛下の生誕祭前、警備に支障のない程度で頼みたい」


「わかりました。

 ですが……私も冒険者のはしくれとして、少々怒りを感じておりますので、やり過ぎた場合はご容赦ください」

 シヤは頭を下げた。


「仕方ない、確かにシヤの憤りはわかった。

 制限なしまでとは言わないが……シヤ、どうするつもりだ?」


「そうですね」

 頭をあげたシヤの顔は、笑っていた。

「騎士として、二度と立ち直れない様にですかね?

 肉体的にも、精神的にも」

 シヤは笑顔だが、心のなかで少々どころか、相当怒っていた。

 冒険者として、冒険者を馬鹿にされた事に。


(ゴトキといわれては、ね?

 それに、他の騎士達も同様の感情を含んだ目を向けてきてたし……支障を出さない程度、ね?

 肉体的にも精神的にも恐怖をすり込ませて、立ち直れなく……でいいかな?

 立ち直れないのは、自分の弱さと責任って事で!)

 これは自分1人の問題ではない。

 すべての冒険者の問題だ。

 ここで嘗められてしまったら、一生冒険者は騎士に馬鹿にされてしまうだろう。

 まだ、冒険者になって4ヶ月の経歴だが、シヤは冒険者としてのプライドが許さなかった。



「なっ?」

 シヤの言葉を聞いたオウルが、驚きと怒りでシヤを睨む。


「やはり、そうなるか……まあ、程々に頼む」

 アルベルトは頷く。


「ええ、わかってます」

 シヤの顔はどこまでも優しい笑顔で、嘘をつくのだった。




「さて、貴様の化けの皮を剥ぎ、冒険者が二度と我ら騎士に立ち向かう気にならない様に、目にみせてやろう!」

 オウルは対峙したシヤに向かって剣を向ける。


 手にした剣は直剣。

 剣は幅10センチに、1メートルの刃は長く、握り柄もバランスをとる為少し長い。


「……化けの皮?」

 対して、シヤはいつもの鉄棍を両手首……今回は左手首につけているブレスレットから取り出し、数度振り回し、棍を右手に持ち下げ、自然体で立つ。


「そうだ!

 貴様には、他国からきた間者……スパイとしての容疑がかかっている」

 オウルはどや顔で宣言した。


「……はぁ?

 どういう事かな?」


「とぼけるつもりか?

 貴様は4ヶ月前、大森林で現れた時ら発言した事は嘘であろう。

 貴様は、4ヶ月前、北の港町で冒険者ギルドに登録したのは嘘ではない……ないが、ジェネレシェア大陸から船を乗って、このヒューマニア大陸、しいてはプレリューム王国にきたと言った事は嘘だ」


「……ああ、船の搭乗履歴でも歴調べたの?」

 シヤは納得した。

「じゃあ……どこから来たのか調べたのかな?」


「それは……」

 オウルは言いよどむ。


「調べてないんだ?

 結構ザルだね……それだけで、私をスパイ呼ばわりしたんだ?」


「うるさいっ!

 貴様は怪し過ぎる……なにもかもだ!

 この勝負に勝ったら、徹底的に調べ吐かせてやる」

 シヤに指摘され、すでにオウルは自分が支離滅裂な事を言い始めている事に気づかない、ゆえに、この状態しばらく続く。




「アルベルト」

 マリーシアは、対峙するシヤ達を見つめたまま、アルベルトを呼ぶ。


「なんでしょう、王女殿下」

 アルベルトも、またシヤ達を見つめながら質問した。


「シヤは……あの者が言う様に、本当にスパイじゃないのかしら」


「断言しますが、違いますね。

 シヤは……あの者が何者かは、すでに把握出来ています。

 が、シヤがどう思い、王女殿下のもとで護衛侍女として行動しているのかはわかりませんが」

アルベルトの隠された特殊能力『真贋を知る瞳』でシヤの正体に、考え行きついた答えは、マリーシア様にとってシヤの考えにより残酷な事になるだろう。


「……待ちなさい?

 なぜ私が関係するのかしら」

 マリーシアは思いかけず、アルベルトへ振り向く。


「それは…………私がシヤにかんする事をマリーシア様に言うのは簡単なのですが、内容が内容ですので……この勝負が終わったら、直接聞いてはいかがでしょう?」

 アルベルトは、マリーシアに目線を合わせ真剣に答えた。


「聞いたとして……教えてくれるかしら?」

 目線を先に外したマリーシアは、寂しそうに呟く。


「さて……マリーシア様は、シヤにとってどの様な存在と考えているかはっ?」

 アルベルトは殺気がこもった視線を感じ、視線のさき、シヤが訴える様な目で見やり、一瞬難しい顔になった。

「……それは、この数日で、私よりマリーシア様の方が、よく知っているのでは?」

 それを打ち消す様な明るい声で、マリーシアを励ます。


「そ、そうよね?」

 アルベルトの難しい顔に気づかず、励ましの言葉にマリーシアは希望をもつ。


「ええ……それよりもマリーシア様は、余程、あの者を気にいった様ですね。

 おっ?

 どうやら、シヤが、オウルに言い勝った様だ……ふむ、オウルの奴、次は実力でシヤを負かすつもりですね?

 リセラの言う通り、愚かな奴だ。

 実力の読めない奴は、戦場で死ぬだけだというのに。

 シヤは強いですよ……この私よりも」


「えっ?

 でも、アルベルトの実力は、冒険者のSランクって聞いているわよ?」

 アルベルトの主観は、マリーシア達を驚かせるに十分な言葉だった。


「事実です」


「シヤって、本当に何者なの」

 マリーシアは、驚愕で心の底から悩み呟いた。





「貴様……絶対に許さん!

 誰か、勝負開始の宣言を!」

 オウルは顔を真っ赤にして、魔力で身体強化を、特に踏み足である右足に魔力を集中させ、剣を肩に担ぐ様に深く腰を落とし、始まりを待つ。


「……」

 対してシヤは、対峙してから一度も体勢を崩さない。


「ならば、私がやろう。

 両者…………始め!」

 アルベルトが、オウルの言葉を受け入れ、勝負は始まった。



「うおおおっ!」

 オウルは魔力を集中し溜めた右足から一歩踏み出す。


 そして、そのオウルは反転し大地に倒れた。




アルベルトの『真贋を知る瞳』による。

シヤの正体まで行きつくながれ。


大森林にて。

シヤを見る→嘘(?)

女→嘘(女装?変装?)

男として見る→正

アルベルトの尋問によるシヤの発言。

その前にシヤの冒険者カードで活動記録を見る

修行を受けた師匠に言われて→嘘

大陸を船で航り→嘘

北の港町につき→正

町で冒険者となり→正

修行とお金を稼ぐために大森林に入った→正

ディアスの質問によるシヤの発言。

ディアス「フィガロという男と、連れの……君と変わらない歳の少年少女を知らないか?」

シヤ「フィガロ?

少年少女?

いえ、知りませんし(嘘)見てません(嘘)

来たのは一週間前ですし(嘘)」

アルベルト率いる先行隊は北の港町に向かう途中、灰狼の群れと接触。

その時、アルベルトは樹木の陰で、隠密で姿を隠しているシヤとスライム。


つまり、まとめていくと、フィガロと勇者召喚の少年少女を知っており、ジェネレシェア大陸から船で来たわけではなく、陸路から北の港町にはいり、冒険者登録して、大森林に修行のため何日間も入っている。

変装、女装している少年。

ジョブをスライム召喚士を得て、この異世界に召喚されたオマケの勇者……その少年としての確率はかなり高い。


そして、今回、オウルと対峙しての言葉で、アルベルトの内心では、ほぼ確定し、マリーシアに対するシヤの気持ちもある程度知った。


これを、作中にいれると話のもっていきかたが難しくなるんですよね……という事で、後書きにて補足を入れさせていただきました。

思った以上に長い……


『面白い』『続きが気になる』など、思われたらブクマ登録、評価の星⭐️を入れていただけたらと思ってます。


どうぞ、よろしくお願いします。

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