30 シヤ、再び王城へ
シヤ視点。
前話のオリバーとの対戦で、スンを呼び出しともに戦うシーンを少し書き足しました。
ほんの少しだけですけどね。
そろそろ勢いだけで書いている部分もありますので、わかりにくいところも、出てくるかと思います。
出来る限り、そういった事のないようにするつもりではありますけど、そこを含め、よろしくお願いします。
「う~ん、なんかいい依頼ないかな?」
三ヶ月が経ち、依頼を受けながら討伐を行う様になって、ランクもBに上がり、受けれる内容も増えたがボードに掲示されているモノは、今一つパッとせず、私……シヤはうなりながら困っていた。
「あれ、シヤ、どうしたの?」
「ん?
あ、ミリアか……いや、近場も、遠方も全然いい依頼がなくてさ?
ミリア……なんかいいのないかな?」
困っている私の後ろから、受付嬢のミリアに声をかけられ相談する。
ミリアは、シヤが王都の冒険者ギルドを拠点に活動を起こし、しばらくして依頼の高ランクの魔物討伐を受ける様になり、それに合わせ、受付嬢総括の1人、アリアが三ヶ月前に言ってた通り、ミリアをシヤ担当としてつけた為、ミリアは、シヤが好む依頼や、終了報告、売却等、すべて行う様になり、今も、シヤがボードで依頼を見ていたのに気づき、そばに来たのだった。
これは、シヤに限らず、実力を認められた高ランク冒険者を待たせない、また、他のギルドに拠点を移動させない為の、ギルドの考えである。
もちろん、依頼を失敗すれば、冒険者も受付嬢も評価が下がる……ので、依頼の内容もしっかり把握して、冒険者に差し出す。
だから、いい依頼があれば、なるべく取り置きする為、担当受付嬢達のちょっとした争いもあり、冒険者と受付嬢は一蓮托生な関係をつくっていく。
「あー、今は……というより、しばらくはちょっと難しいかも……」
ミリアもある事を思い出し、難色を浮かべる。
「なんで?」
私は首を傾げる。
「んー、実はさ、もうじき、この国の国王様の生誕祭があってね。
それで近隣の国々の偉い方達や、大陸からも結構な数も来られるから、王国騎士団や、魔道士団が、安全の為に各地に行って討伐しまくるから、冒険者ギルドまで依頼が来ないんだって」
「なにそれ、冒険者達にはいい迷惑だよ!
……あ~、だから、ギルドこんなに閑散としているんだ?」
私はギルド内を見渡し、普段にぎわっている時間の今が、まばらなんだと理解した。
「うん、私も先輩に聞いたんだけど、毎年らしいよ?
特に、今年は特別な50歳の生誕祭だから、特にひどいって。
だから、他の人達は依頼じゃなくて、東の大森林で討伐しているらしいよ」
「なるほどね~。
私も、そうしようかな?」
ミリアの話に、真剣に悩む私だった。
「……実はね、ちょっと変わった依頼が来ているんだけど、とりあえず聞いて見る?」
同じ様に悩んでいたミリアは、ある依頼を思い出し、私に話をふってきた。
「なに……変わった依頼って?」
「うん、実は……結構割り増しだけと、大変な依頼が、商業ギルドからきてるんだよね」
「商業ギルド?
珍しいね?
なにかの珍しい素材でも言ってきたの?」
「そうじゃなくて……ほら、国王様の生誕祭だって言ったでしょ?
そうなると、城の警備や侍女、執事が足りないらしくて、見目麗しい人物や、がっしりした人物を募集しているんだって……もちろん、どこに振り分けられるかわからないし、二、三週間の教育を受けるそうだけど、どうかな?
シヤならいけるんじゃないって、先輩も話が出てるんだけど」
ミリアは上目遣いで、伝えにくそうに話す。
「……やっぱり、王城だよね?」
私は、悩みながら聞く。
「うん……だって」
「ちなみに生誕祭っていつ?」
「え~と、確か三ヶ月後だったかな?
慣れるまで時間もあるし、その間もギルドこんな感じだろうし……どうかな?
結構な数、受けているみたいだよ?」
「そっか、三ヶ月もこのままか。
仕方ないね……一応話を聞くだけでもって出来るんだよね?」
「それはもちろん!
……ただ、シヤ?」
ミリアは私の両腕を掴み、すがりつく。
「なに?」
「終わったら、ギルドに戻って来てね?
どこぞの貴族に見初められないでね?」
ミリアは必死に、私の両腕を揺さぶり話す。
「いや……そんなつもりも、されるとも思わないんだけど?」
「なにを言っているの、シヤ!
シヤがどれだけ可愛いか、わかってるの?
絶対に!
シヤは口説かれると思っているんだから!」
「いや……口説かれるって」
そう言われて、三ヶ月前のディアスからの告白を思い出し、鳥肌がたった。
(うわぁ~、いやな事思い出した)
「……まあ、ないと思うけど、とりあえず、その依頼受けてみるよ」
「……わかった。
じゃあ、こっちに来て?
詳しい話するから……絶対、戻ってくるのよ?」
こうして、私は結局、この依頼を受け商業ギルドに向かい依頼書を見せたら、実力を考慮されて、護衛侍女として振り分けられた。
二週間後。
「うん……君、いいね!
姿勢も、言葉つかいも丁寧だし、紅茶の入れ方も、掃除の仕方、礼儀にマナーも実にいい。
完璧だ!
いや~、君みたいな人物が冒険者だって信じられないよ~。
しかも、Bランク。
天は二物を贈らずっていうけど、君には当てはまらないね」
商業ギルドの一部屋で、王城の執事の1人が出張しており、私の指導をあたって、物覚えのいい私を絶賛していた。
歳が近いからか、部屋に2人だけだからか、執事……ラークはフランクに話かけてくる。
「……ありがとうございます」
侍女服をまとった私はスカートを掴み、カーテシーで一礼をした。
「ふむ……君、シヤといったね?
国王様の生誕祭が終わっても、王城で働かないか?
そのつもりがあれば言ってくれ、僕からも推薦しておくよ?
あ、あと、もう普通に話してくれていいよ?
僕みたいに」
「ありがとうございます。
でも、今は、そういう事は」
「いいって言っているんだけど……まあ、そうだよね?
でも、一応考えてみてくれるかい」
「……わかりました」
「さて、時間もあるし、今から王城に行ってみようか?」
「今からですか?」
「今から」
ラークは頷く。
こうして約四ヶ月ぶりに、私は王城に足を踏み入れた。
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