29 シヤ、三ヶ月頑張りました
オリバー視点→シヤ視点。
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シヤはいつもの鉄棍を取り出し、一通り振りまわし構えた。
「ほう……アリア、いつでもいいぞ」
オリバーも鉄塊剣を構えた。
オリバーは身長は160センチと低いが、年齢のわりに全身の筋肉が異様に盛り上がっている。
オリバーは、いわゆるドワーフという種族の人種であり、プレリューム王国では、滞在する事を認められているエルフとならぶ人種である。
(エルフは魔法を、ドワーフは技術を提供させる為に)
「……では、始め!」
アリアの開始宣言が放たれる。
まず動いたのは、シヤ。
鉄棍を変化自在に振り、突き、攻撃する。
「ほっ!」
オリバーは鉄塊剣を盾の様にかざし持ち、シヤの攻撃すべてを受けきり、攻撃がやんだ瞬間、剣を振り落とす。
ドスンッ……!
シヤがいた場所に、一振り大きなクレーターが出来た。
もちろん、シヤはその場を離れ構えている。
「……凄い、これがドワーフの力?」
シヤがそう呟く。
「うん?
お主、大陸から来たのではないのか?
ドワーフを見た事ないなんて、おかしな事いうの?」
「……アリアさんに言ったけど、私、ずっ~と、師匠と山奥にいたから、他の人ほとんど知らないんだよ?
ドワーフの戦いなんて知らないから」
(う……まずい、なんとか誤魔化さなきゃ)
「お主の師匠とやら、誰か気になるの……名前、教えてもらえぬかの?」
「……名前は、知らない」
シヤは呟く。
「ほ?」
「だから、名前知らないの……師匠って呼べばそれでいいだろうって!」
(実際いるわけないから、そこまで設定してないし)
「なんじゃ……それは、まあいい。
別に気になっただけで、そこまで知ろうとは思っておらんわ。
それより、続きじゃ……来い!」
「わかった」
(よかった、ラッキー!)
「スン、出てきて!」
シヤの右側に魔方陣が現れ、1メートルの大きさのスライム……スンが出現した。
ぼよん、とその身を振るわせて、スンと、シヤは構える。
「いくよ!
スン、隙を見て、水弾で攻撃!」
そういってシヤは、再びオリバーに向かっていった。
「ここまで、じゃな」
そうして、シヤ達とオリバーの攻防がいくぞと繰り返され、2人の息は上がりお互いに距離をとった。
「……悔しい、全然、当たらなかった!」
結局シヤの攻撃は通じず、まだまだだと悔しがる。
「言っとくが……全盛期を過ぎたとはいえ、まだワシは現役だぞ?
それに、パーティーを組んでいた役割は、タンクじゃ……攻撃を受けきり隙をつくり、仲間を守るのがタンクじゃよ。
そうそう攻撃を通す訳にはいかん。
それに、お主とて、まだまだ隠している事多いだろうて」)
「……まあね」
そうオリバーに言われて、シヤは笑う。
その笑顔に観戦していた冒険者達が多数やられた。
見えていない冒険者達は、シヤをどうにかして仲間に引き込めないか思案している。
「……お主も大変じゃの?」
冒険者達の様子を見て、オリバーは同情する。
「ん?」
シヤは、今一わからず首を傾げる。
「まあ、よいわ。
お主……シヤよ、これからは冒険者活動はどうするつもりじゃ?
ワシとしては、世界をまわらず、この王都で活動をしてほしいところじゃ」
「オリバー様、それでは?」
アリアは、オリバーの考えに気づき問う。
「うむ、シヤよ……お主の実力は十分過ぎる。
よって、今日よりCランクと認める」
「ほん「「「ワアアアアアアアーーーー」」」と?」
シヤが驚いて聞き返すのを被せる様に、観戦席から冒険者達が誉め喚く。
「えぇい、うるさいわい!
……シヤや、本当じゃ。
アリア達のあとをついていき、新しい冒険者カードを作ってもらって説明をしてもらえ」
「わかった、ありがとう。
ギルドマスター!」
シヤは嬉しいのか、早足でアリアの下に行き、ミリアを連れて一階に戻っていった。
その間も通り過ぎる時に、冒険者達から勧誘を受け、シヤは何度もごめんなさいと頭を下げる事になった。
「結局、シヤの奴が勇者の1人……いや、スライム召喚士の少年はオマケで呼ばれたのじゃったな?
まあ、どちらにせよ、悔いのない生き方をしてほしいものじゃな。
しかし、技術と力量が今一つ噛み合っておらんな?
力量が追いついていたら、ワシ、負けとったの……ほほっ、これからが楽しみなヤツじゃて」
顎髭を撫でながら、オリバーはシヤのこれからの行動を楽しみに思う。
それから三ヶ月後。
シヤは王都を拠点にして、各地にいる高ランクの魔物で被害を受けている町や村の依頼を受け向かい、途中で遭遇する魔物もついでに倒し冒険者として、ランクとレベルをあげ続けた。
時には、想像以上の強さやスキルを持った魔物もいたが、相棒のスンとともに戦いお互いに成長していった。
ただ、半月が過ぎた頃、スンのレベルが50となった時、スンに異変が起こった。
なんとスンは4つに分裂したのであった。
一匹は見た目は薄青い半透明なボディを持つスンだったが、あとの三匹は薄赤い半透明ボディ、薄黄色の半透明ボディ、薄紫の半透明ボディのエボリューションスライムだった。
赤色にはラン、黄色にはイル、紫色にはムウと名付けた。
……本当は全部、スン、ラン、イン、ムンにしようかと思ったが、またガンに『安直で、俺の名に似ている』と言われたくなかったのでやめた。
ランは名付けてからだったので、ランが気にいってしまい変えれなくなり、仕方なく、イルとムウだけは苦労して考えつけた。
四匹になった事で、四匹ともレベルが10に下がったが、エボリューションスライムとして、スンが吸収して覚えた、たくさんのスキルが4つに別れ、それぞれの特殊スキルとして持つ事になった。
スンは戦闘系のスキルを。
ランは魔法系のスキルを。
イルは道具や武器を作ったり、支援の魔法を使い。
ムウは倒し吸収した魔物に姿を変え、その魔物の力やスキルを使う事が出来た。
そして、スン、ラン、イルのスキルはスキル共有にて、シヤも使える様になる……さすがにシヤでも魔物の姿にはなれないのでムウのスキルは諦めたが、他の三匹はやろうとすれば出来るらしい。
で、現在の私のステータスと四匹のステータスはこうなった。
ネーム:シヤ
ジョブ:スライム召喚士
レベル:73
生命力/358728
魔命力/1197835
筋力 /50836
敏捷力/272591
知力 /10354
器用 /35844
マスター共有スキル
剣術[投擲術・双剣術・刀術]
槍棍術
体術[軽動術・心眼術・気功術・体幹術]
格闘術[八頭古流格闘術]
忍術[隠密術・隠蔽術・暗器術・変装術・変声術・骨格操作・新旧忍道具技術]
観察術[予測・想像・看破・発見]
魔力操作[身体強化・五感強化・魔力集中・武具魔装]
鑑定魔法
探索魔法
吸収スキル[スン、ラン、イルと共有]
ネーム:スン
種族 :エボリューションスライム
レベル:32
生命力/181907
魔命力/2398
筋力 /18906
敏捷力/20775
知力 /139
器用 /3758
種族スキル
思念通話
核魔石素材貯蔵収納
マスター共有スキル[シヤ]
吸収スキル[戦闘]
剣術、短剣術、魔爪、盾術、鎚術、弓術、投擲術、射的術、斧術、槍術、体術、格闘術
ネーム:ラン
種族 :エボリューションスライム
レベル:30
生命力/56390
魔命力/249089
筋力 /8701
敏捷力/20775
知力 /8494
器用 /2718
種族スキル
思念通話
核魔石素材貯蔵収納
マスター共有スキル[シヤ]
吸収スキル[魔法]
水、火、土、風、光、闇、幻惑、氷、熱、爆、雷
ネーム:イル
種族 :エボリューションスライム
レベル:34
生命力/111209
魔命力/173908
筋力 /12903
敏捷力/30798
知力 /5127
器用 /8358
種族スキル
思念通話
核魔石素材貯蔵収納
マスター共有スキル[シヤ]
吸収スキル[支援]
錬金術、鍛冶術、錬成術、工作、支援魔法
ネーム:ムウ
種族 :エボリューションスライム
レベル:32
生命力/281907
魔命力/201903
筋力 /23906
敏捷力/24175
知力 /1358
器用 /4153
種族スキル
思念通話
核魔石素材貯蔵収納
魔物鑑定録[現在37匹]
※吸収した数の分だけ、ステータスも上がる。
マスター共有スキル[シヤ]
吸収スキル[魔物スキル]
魔物の姿に変化しその魔物のスキルを使用する事が出来る。
(瞳術、咆哮術、魔爪、牙術、魔弾術、感知術、霊体化、キマイラ化)
もう、ギルドマスターのオリバーも、フィガロさんも越えたかな?
……今さらだけど転移で得た、この身体、オマケだけど勇者補正あったのかな……ヤバいかも?
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