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23 シヤ、魔道士団と接触する

ディアス視点です。


ブクマ登録、評価⭐️を入れていただきありがとうございます。

 木々の間から抜け出てきた少女は、不思議そうに空き地に広がる魔方陣を調べている魔道士達や、魔物が現れても対処出来る様にと警備する騎士達を見渡し、最後に私を見て……目線が合った。


「可憐……だ」

 私は、無意識に少女を見て呟く。


 少女は目や耳にかかるぐらいの長さの砂色の金髪に、目にかかる髪を横に流しピンで留めて現した青い瞳、白磁の様に透き通る白い肌、対象に淡く赤い唇、華奢だがどこか力強い引き締まった体格……かわりに胸はないが……美しい少女だ。



「……貴様、何者だ!?

 この地になんの用だ?

 突然、ここに現れた理由をのべよ!」

 少女の近くで調査していた魔道士が、少女に気づき、他の者に聞こえる様に問い叫んだ。


「えっと……私……修行とお金を稼ぐ為に、森を抜けながら魔物を倒して歩いていたんです……冒険者だから」

 少女は、おそるおそると集まりだす魔道士や、騎士達を警戒しながら答える。


「貴様、それは本当「それを証明する事は?」か!」

 続いて魔道士が問おうとしたのを遮る様に、あいだに入った騎士……総騎士団長のアルベルト・クロスが、少女に質問する。


「な……貴様!

 邪魔をするつもりか」

 魔道士は言葉をさえぎった騎士が誰か気づかず、アルベルトに文句を叫ぶ。


「……いや、少女に質問するのはかまわないし、それを少女は答えた。

 だが、この続きは、我ら騎士団の領分……まして、連日の調査に夜営による苛つく気持ちはわかるが……こんな少女に、慟哭しあたるのは違うでしょう?」

 騎士は、少女から魔道士に振り返り問う。


「うっ?」

 魔道士は気づいた。

 あいだに入った人物が誰なのか。


 いくら魔道士団が魔力値や、魔法に長けた貴族の集団とはいえ、貴族にも格差はある。

 総騎士団長アルベルト・クロスといえば、侯爵家の出自……しかも、クロス侯爵家の現当主であり、本来、侯爵でありながらも、魔力の少ない者ではあるが、それを補う剣術の実力を持つ事で、国王からも信頼を得ている。


 私とて、筆頭公爵家の嫡子だが、侯爵家当主のアルベルトには、敬意をしめさなくてはならない。

 嫡子は嫡子、まだ単に貴族の子に過ぎない。

 それを補う、魔道士の長であり、王族直系の血を受けついている上、今回は王命での共同にして、命令出来る立場だ。


 だが、言及をつけられている魔道士は役職も、貴族としても格が違う。


 ……仕方がないか。


「総騎士団長殿、そこまでにしていただけるか?

 うちの者が失礼をした。

 その少女の詰問は、そちらに任せよう……だが、言い訳になるが、この地に突然に現れたのだ。

 警戒しての事だ……この魔道士とて悪気はなかっただろう」


「ディアス様っ?」

 私が非を認めての発言に、魔道士は驚きの声を出す。


「うるさいっ!

 ……この地に、フィガロの……転移の形跡を見つけたのだ。

 奴等の行く先は、北の町か、北東経由で、どこかの町や村に向かったのだろう。

 この場の調査は終わりだ!

 至急、片付け、北と北東に出る道へ向かうよう、二手に部隊を分けよ!」


「は、はい……申し訳ございません」

 魔道士は頭を下げ、急いで散らばる魔道士、騎士達に指示を出しに離れた。


「……と、いう事だ。

 総騎士団長殿?

 急ぎ、その少女の確認を行おうではないか?」


「……ふむ、では、そうさせてもらいましょうか。

 では、君?

 証明出来る物をお持ちか?

 それと、もう一度、ここに現れた理由をお願いする」

 アルベルトは、私達のやり取りにため息をはき、少女へ笑顔を向け詰問を始めた。


「あっ、はい……じゃあ、まずこれを」

 少女は、腰元のバッグから一枚の板の様な物を取り出し、アルベルトに渡す。


「ふむ……名はシヤと申すか」

 板はおそらく冒険者ギルドが発行する個人プレートのカードだろう。

 アルベルトは、情報を読みだす。


(名は……シヤか。

 顔に併せ声もかわいいが……どうやら、平民のようだな?

 しかし、この美しさで平民か……もったいないな)


「もし、よければ君の経緯と目的を教えてもらってもいいだろうか?」

 アルベルトの詰問は続く。


「ええ、いいですよ。

 私は武術の教えを受けた師匠から言われ、大陸から海を渡り、この地に……北の港町に着き、町で冒険者ギルドで冒険者になり、修行の一環とお金を稼ぐのに、この森に入ったんです。

 森を出たら、この国の王都のギルドで換金するつもりです」


「なるほど……だから、ギルドのランクが低いのか……では、なぜ、大陸で冒険者にならなかったのです?」


「修行中は、山奥で修行をして食うに困らなかったのと、船代は師匠からもらったのと、こっちでは、魔物を倒して、素材や魔石をギルドで売ればお金になるって聞いて、登録したんです」

 ほらっと、ギルドカードと同じく魔物のカードと、魔石を取り出し、再びアルベルトに渡す。


「確かに……これをお返しします。

 しかし……師匠という方はどうして、君をこの地に?」

 冒険者カードと素材カードなどを少女に返し、思った事を問う。


「ああ、それは……最近、この地に魔物が増えたときいて …ちょうどいいって師匠が言って」


「この地に来た、と?」

 アルベルトが、シヤの続きを言った。

「なるほど、理由はわかりました。

 質問はこれで終わります。

 ありがとうございました」

 アルベルトは頭を下げ、礼を言う。


「いや、待て。

 私からも、話を聞きたい。

 ああ……総団長はもう行ってもらってもかまわない。

 話は、たいした事ではない。

 個人で聞きたいだけだ」

 アルベルトは、私の言葉に一礼し、用意を進める騎士達のもとに離れた。

「君……シヤだったか?

 北の港町で、フィガロという男と、連れの……君と変わらない歳の少年少女を見なかったか?」


「フィガロ?

 少年少女?

 いえ……知りませんし、見てません。

 来たのは一週間前ですし……」


「そうか……シヤといったか?」


「……はい」


「ふむ……いや、なんだ……そのだな?

 君は現在、誰かこ、恋人はおらぬか?


「えっ……はっ?

 こっ、恋人?

 い、いえ……いません。

 師匠のもと、修行ばかりで男性とはつきあう事もなかったですから」


「そ、そうかっ!

 君は平民なのだな……私の名前はディアス。

 ディアス・マルチーノだ。

 このプレリューム王国、筆頭公爵家嫡子である。もし君がよければ……私の妻に……側室になるが、私の妻にならないか?」

 私がそう言うと、まわりで作業をしていた魔道士や騎士達が一斉に振り返り、こちらを見ている。


(((いやいやいやっ? なに言っているの、この人?)))

 魔道士、騎士関係なく全員がそう内心で突っ込みをいれた。


「……え、あ、あの……私……その?

 ごめんなさいっ、貴族の方だって、不敬だってわかっていますが……その、ごめんなさいっ」

 最初、なにを言われたかわからず、理解したのか顔を真っ赤にして、まわりからの視線を気にし、見渡し、耐えきれず再び森林の中に走り入っていった。


「……あんなに照れて、ますます可憐だ。

 ふふ……また会える気がする。

 もし、もう一度出会う事があるなら、覚悟をしておけ?」

 私が完全に姿を見失ったあと、振り返りれば全員が私を見ている。

「……おいっ、なにをしている!

 出立の準備は終わったのか?

 終わり次第、出立するぞ!」


(((いやっ、あんたが突然変な事を言うからだっての!)))

 2度目の心の突っ込みもシンクロした。



作者「シヤかわいい……男の子じゃなければ」orz


面白い、続き読みたい、気になる、と思った方。

よろしければ、評価の星に光⭐️を灯してください。


よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 男に一目惚れさせる女装 [気になる点] もし、もう一度出会う事があるなら、覚悟をしておけ? 何をする気だ、何を・・・・・・ [一言] ディアス、お笑いキャラになる。
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