12 スライム召喚による、新しい仲魔
初の感想をいただきました。
今まで書いた作品を含め、初めてだったのでとても嬉しいです。
ただ、慣れない為、返事が長文になってしまい、申し訳ございません(汗)
今後も、疑問に思った事がありましたら、出来る限り返事を書かせていただきたいかと思っております。
ブクマの登録もありがとうございます。
フィガロの屋敷の庭で、1台目の馬車に乗っていた、シヤの姿をとっている俺……八頭士也は、転移の魔方陣で、対の魔方陣に繋がっている出口……東の大森林に移動した。
「すげぇ……本当に転移したのか?」
同じく1台目に乗っていた渡瀬願は、俺が馬車から降りた後、同じ様に馬車を降り、まわりを見渡していた。
夕方を過ぎ、夜の森の中は一段と暗く、景色がよく見えない。
馬車にかがげた外灯の光でなんとか見えるくらいだ。
俺達はスマホを取り出し、蛍光の光であたりを照らす。
馬車が魔方陣の上から移動し、それを見た俺達も魔方陣から出た。
5分後に、フィガロを乗せた2台目が転移する事になっていて、邪魔だからだ。
俺は、待っている合間に1つ試したい事があり、邪魔にならない場所を選び向かった。
「おっ、やるのか?」
「ああ」
渡瀬には、馬車に乗り込んだ後、待つ合間に召喚魔法を行う事を告げていたので、移動した俺を見て尋ねてきた。
「スライム召喚……出て来い、スライム!」
目を瞑り、集中し、体内にあり流れる魔力を意識に乗せ、召喚魔法を発動した。
発動する決意を決めた時、体内にある魔力がゴッソリと抜かれた様な感覚を感じ、目を開くと前方に伸ばした手のひらの先の場所には、移動の魔方陣とは違った図形の魔方陣が地面に描かれていた。
魔方陣の少し上空に、魔力の塊が現れ、あたりに漂う自然の魔力を吸収する時、CD処理で作った様なエフェクトが発生し、1つの姿が現れた。
現れたのは、やはりスライム。
ただし、高さ横幅共に1メートルの大きさだった。
魔方陣の光が消える際、見えた色は半透明の青色。
青いスライムは、どうやら俺を見ている様だ。
ぼよんっ。
「うお?
でかいな……もっと小さいと思っていたぞ。
揺れかたも、ぽょん、じゃないし、ぼよんだし。
でも、良かったんじゃねぇ?
ドロドロじゃなくて」
見た感想をのべる渡瀬。
「……ああ」
スライムから目を離さず、生返事をした俺に、別の声が聞こえてきた。
『なまえ……きめて、ごしゅじん』
正確には、俺の頭の中に……だった。
「……そうなのか?」
「なにが?」
スライムの声に返事したが、スライムの声が聞こえない渡瀬は、俺の呟きに反応し首に傾げる。
「いや、俺の頭の中に直接、目の前のスライムが話しかけてきたんだ」
「へえ……なんて?」
「名前つけて、だって」
「ああ、やっぱり、そういうのあるんだ?」
「そうみたいだ」
「んで、なんてつけるんだ?」
「そうだな」
スライムを見つめ続け、1つの名が浮かんだ。
「……スン。
うん……決めた、スンにする」
「へえ……まあ、いいんじゃねぇの?」
聞いてきたくせに、渡瀬は適当だ。
いいじゃん、スン。
「……なに、悪い?」
「いや、悪くはないが、ただな……俺の名に似てるなって」
ガン……スン……確かに似てる?
「本当だ。
……気になるなら、変えるか?」
俺は、渡瀬の方を向き尋ねた。
「いや、変えなくていい……あと、俺の事だが……ガンでいい」
「ん?」
「いや、だから、俺の呼び方、ガンでいいって言ってんの。
もう秋雨の監視、しなくてもよくなったんだろ?
他人行儀もなんだしさぁ、別にいいだろ?」
「……ああ、そっか?
わかった、ガンね?
んじゃ、俺の事もシナリ……いや、この姿だから、シヤ、でいいぞ?」
ちょっと嬉しいので、笑ってしまった。
「そ、そっか……わかった、シヤね、シヤ。
そうする」
そう言うと、何故かガンは反転し焦りながら納得していた。
『ごしゅじん……なまえ』
「おうっ?」
突然の頭に響くスライムの声に驚いてしまった。
「どうした?」
「い、いや、スライムの名前、考えただけでつけるの忘れてた。
ごめん、今、言うよ……スン。
君の名は、スンだよ。
よろしく、スン!」
『スン……スン?
スン!
ありがと……ごしゅじん……うれしい!』
よっぽど嬉しかったのか、ぼよん、ぼよんと何度も揺れ跳ねながら喜んでいる……なんか、かわいいな。
俺は近寄り、スンを抱き止めた。
うわぁ……抱き心地、最高だ~?
ひんやりしているけど、冷た過ぎず、ベタつかない……気持ちいい。
そうこうしているうちに、5分過ぎたのか2台目の馬車が転移して、吉川さなえをはじめ、東方院達やフィガロが、こちらに向かってきた。
「あー、シヤ、スライム抱いてるー!
私も抱きた~い」
たどり着いた吉川は、俺が抱いているスンを見てはしゃぐ。
「吉川、うるさい。
あと、駄目だ」
「え~、いいじゃん?
それに、そろそろ昔みたいに、さなえって呼んでよ~」
吉川……サナエは、プリプリと地団駄を踏む。
……こういうところは相変わらずだな。
「あ、それなら、私の事も実和で呼んでほしいな?」
さなえを落ち着かせる為に、竹内……ミワは、うしろからさなえの肩に置き、覗く様にこちらを見て微笑む。
「いいね?
じゃあ、私の事も千里でいいよ」
松井……チサトも笑顔で頷く。
「そのスライムは……まさか、エボリューションスライム……ですか?」
フィガロは、俺が抱えているスンを鑑定して見ているらしく、戦慄していた。
「エボリューションスライム?
フィガロさん……危険なヤツ、なんですか」
フィガロ邸で選び手にした剣の柄に手を添えながら、フィガロに尋ねる東方院秋雨。
「わかりません……古い歴史書で、その名を見て知っていたにすぎませんから……ただ、成長すればとてつもなく厄介で、恐ろしい存在だとか」
「へえ……ますます、俺好み」
フィガロの説明を聞き、俺は、スンを見て喜んだ。
「ところでさ?
さっきから気になっているんだけど……シヤ、昔みたいな声って出せないの?
その顔で、低めの男の声って違和感だらけなんだよね」
サナエが遠慮がちに尋ねてきた。
「ん?
出来るよ……ん、これでどう?
ついでに、言葉使いも変えてみる?」
「それいいね、そうなると、どう見ても、聞いても女の子。
完璧!」
ウィンクし、親指をたて、サナエは褒め称える。
「ありがと。
スン、これから強くなって、力貸してね?」
『うん……がんばるね……ごしゅじん』
スンは腕の中で震えた。
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