10 準備を終え、王都を出たオマケ達
士也視点です。
ボキィン、ゴキッ……ガゴッ。
フィガロの屋敷に着き、無理言って借りた浴室で、身体中の関節を女性らしい骨格にずらし位置を変えていた。
「……いたぁ~……1年以上やってなかったから、やっぱキツいな」
身体の痛みをこらえつつ、関節をずらした事で筋肉の張りかたも変わるので、手で肉のつきかたを整え、ある程度、納得出来たところで、染めた髪色を戻し、身体中のあまりないけど無駄毛を一族で使用している脱毛剤で抜け落とした。
目の色を変えるカラーコンタクトは、すでに外している。
身体に残った薬剤を洗い落とし、借りたバスタオルで拭き、添えられた鏡に全身を写す。
「よしっ……完璧!」
中学にあがる前まで、見慣れた姿に戻った俺……八頭士也は全身をくまなく見て頷いた。
忍者に憧れ、日本に来て自力で忍の隠れ家を見つけ、猛烈に一族の独身男性(当時は次期頭領候補の1人)にアタックした女性を、祖父と祖母を持つ士也は、その祖母の髪色と瞳の色を隔世遺伝で引き継ぎいた、砂色の金髪に戻り、瞳の色も青い。
今まで着ていた制服から、屋敷の侍女が用意した、この世界で売られている庶民の服に着替え、荷物をまとめ持ち、同じ様に着替えている皆の元へ向かった。
着替え終わった幼なじみ5人組は、屋敷の玄関ロビーで広げられている、剣や槍、その他の武器や防具などを、フィガロや、レイドという名のフィガロと歳が近い屋敷の執事の説明を受け、相談しながら、自分に合う武器や防具を選んでいた。
「へえ~、この世界の武器防具か?」
「「「…………」」」
突然、屋敷の中から現れた人物に、気づいた5人組とフィガロ達はいろんな意味で固まった。
「えっと……君は、だ「シヤだーーー!」」
なんとか再起動したフィガロは、現れた人物に警戒しながら尋ねるが、吉川さなえが、歓喜の声で遮り、その人物に飛びついた。
「シヤ!
シヤだよね?」
「うるさい、抱きつくな、離れろ。
抱きつくなら渡瀬にしろ」
俺は迷惑そうに持っているスポーツバッグで、吉川をさえぎる。
「その声……お前、八頭か?」
持っていたバッグと、姿に似合わない、さっきまで耳にしていた話し声で気づいた、東方院秋雨はおそるおそる尋ねた。
「えっ、うそ、八頭くん?
えっ?
でも、女の子だよ?」
松井千里は指をさし混乱している。
「うわ~、かわいい~。
本当に八頭くんなの~?」
なぜか、喜んでいる竹内実和。
「渡瀬、いい加減にコイツ引き取れ」
抱きつく事を諦めた吉川は、俺をいろんな角度から見ていて、それを鬱陶しそうに、シッシッと手で追い払いながら渡瀬願に言う。
「お……おお、え、マジで、八頭なの?」
さなえを引き取りながら、じろじろと俺の頭を見る渡瀬。
「まあな……どうです、フィガロさん。
これなら、召喚した異世界人だってバレないでしょ?」
「ええ……確かに。
……あ、でも、鑑定したら、わかるんじゃないでしょうか?」
「鑑定してみればわかりますよ」
俺はニコッと笑う。
「え、じゃあ」
フィガロは慌てて鑑定する。
「なっ……馬鹿な?
名前が……それに他にも?
さっき見たのと変わっている?」
「さっき、馬車の中で、俺のステータス書いてもらったでしょ?
こうやって、鑑定で見た内容を誤魔化す為に、書いてもらったんですよ。
ちゃんと出来てて良かった」
「でも、どうやって……」
「東方院の一族が、神代の時代に作られた神剣を守る一族だって言いましたよね?
実はその時代、俺達の世界だって魔法みたいなモノはあったんですよ。
俺の一族も、その時代から存在していて、いまだに一部の魔法は残り伝わっていて、俺もそれが使えるんですよ……凄いでしょ?」
馬車の中で書いてもらったステータスのあるところ、忍術[隠密術・隠蔽術・暗器術・変装術・変声術・骨格操作・新旧忍道具技術]の隠蔽術に指をさした。
「ちなみに、身体つきも違うのは骨格操作で、髪と目の色は元に戻しました」
「元々って……」
渡瀬が首を捻る。
「俺のばあ「おばあさん、フランス人だもんね」
……で、隔世遺伝だ」
吉川が、今度は俺の説明を遮った。
「……なんで、さなえが知ってんだよ?」
「馬車の中で言ってたじゃん!
小学生の時、引っ越す前の友達がいたって」
「いや……意味わからん」
吉川の説明に、渡瀬は更に首を捻る。
「つまり、さなえが引っ越しして私達に会う前の場所で、八頭くんと友達で、八頭くんはシヤだった?」
松井は馬車の中の会話と今の会話で、吉川の言いたい事を考えながら言う。
「そう、そういう事!」
吉川は、松井を正解という風に指をさす。
「あの時、八頭くん。
さなえが、シヤはどうしたって聞いたら、私達と一緒に死んだって言ってたね」
「……ああ」
「じゃあ、やっぱり、八頭くんが、シヤだったと?」
「そういう事だな。
あの時、吉川は、すでに東方院の幼なじみだったからな……監視対象に真実は話せない。
ちなみに、今の俺のステータス、名前、シヤになっているはず」
俺がフィガロを見ると、松井達も見る。
「……ええ、そうです。
名前、シヤ・ヤトウに変わってます。
ジョブは、暗殺者。
スキルも色々と減っています。
……んっ?
……私も色々と尋ねたいところですが……どうやら、とうとう城から兵が出たみたいです。
ヤガシラ様……でいいんでしょうか?
とりあえず、急いで武器とか選びましょう」
フィガロは途中で、ある方向に顔を向け、皆に武器防具の選びを再開させた。
「本当ですか?
わかりました……どれにしよう?」
フィガロの言葉に、俺達は慌てて武器防具を選び始めた。
俺達が武器防具を選び終わったあと、屋敷の庭に出で、庭に書かれている魔方陣の上に、俺達6人、フィガロ、屋敷にいた執事、侍女達、荷物を乗せた2台の馬車に、それぞれにわかれて乗った。
「召喚儀式を行う事が決まったあと、私は王都を出て、東の大森林があり、森林の中、約50キロ離れた所に、この魔方陣の対になるモノを描いてます。
その場所にとんだあと、むこうの魔方陣を崩します。
そうすれば、この魔方陣で繋がっていた場所をわかっても、むこうは、馬で追わなければならないので、時間は十分に稼げるはずです。
……では、転移発動!」
魔方陣が輝き、まず1台目の馬車が魔方陣に乗り、5分後2台目が魔方陣に乗って、俺達は王都から姿を消した。
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