01 交通事故で死んだ、5人とオマケ
5作目の新作です。
よろしくお願いします。
5月16日に短編4400文字ほどの、現実世界恋愛物?をあげてます。
こちらもよろしければ、お願いします。
今日も何時もと同じつまらない日々が始まったと、この時、そう俺は思っていた。
あの瞬間まで……。
「ふぁあ……」
まだ眠たい朝、アクビをまじえ、何時もと同じ通学路の途中でコンビニに入り、朝飯のおにぎりとお茶のペットボトル、昼飯のサンドイッチ……今日はたっぷり挟まれたハムサンドと、同じ様にたっぷり挟まれたレタスサンドの2つ……を買って出た。
その時、同じ学年で有名な5人組……幼なじみでイケメン2人と美少女3人……が目の前を過ぎて行った。
「あっ……」
その内の1人、150センチと少しの低い美少女……竹内実和が、俺に気づき振り向いて目があった。
竹内実和は、俺と同じクラス二年二組で何度か話した事のある女の子だ。
竹内実和は、肩で揃えた黒髪に小学生高学年くらいの見た目で性格も良く、結構おっちょこちょいなところもあり、クラスの皆に可愛がれ心配され男女問わず構われていた。
そんな彼女は、案外器用で運動神経は良く、所属の部活……体操部で期待されていた。
「おはよう……八頭くん」
そう言って笑顔で俺に挨拶をしてくる。
「おはよう、竹内」
俺、八頭士也は頷き挨拶を返す。
「……おい、実和。
後ろ向いて歩くと危ないぞ」
竹内に注意を促したのは、幼なじみ組の1人……東方院秋雨だ。
「あ、うん……ごめん、秋雨」
竹内は慌てて前を向き、歩き始めた。
東方院秋雨は、竹内に微笑み、こちら……俺に一睨みし、竹内に聞こえない様に小さく鼻で笑った。
俺は知っている。
東方院は、竹内に想いを寄せ、誰にでも声をかけ気にかける竹内に近づく男をさりげなく嫌悪している事を。
……別に、俺は竹内の事を気にかけていないんだが。
東方院にどう思われても気にしないが、こうして顔をあわせては竹内が、俺に声をかけてくるので、東方院が結構面倒臭い。
東方院秋雨……実家が小さめだが古くから神を奉る神主の一族で、国から託され、代々奉納している宝剣を陰から守る裏の顔をもっている。
東方院とは、刀宝陰の隠し名であり、東方院秋雨も代々伝わる古流の武術を身につけ、部活では剣道部に所属している。
今も面などの防具こそ持っていないが、素振りの練習にと竹刀袋を担いでいる……噂では、中は竹刀ではなく素振り用の先端が幅広い鉄入りの木刀らしい。
また、一年の冬、全国大会で活躍し優勝をもぎ取り、学校では成績は勿論上位、先生方の覚えもいい。
生徒会への推薦や勧誘は断っているが、東方院も同じクラス(二年二組)でクラス委員で、クラスだけでなく学校全域にその顔がしれわたっていた。
身長も180センチを越え、爽やかなイケメンでファンクラブまであるらしい……本人は、竹内しか目にいっていないが、竹内には気づかれていない。
「そうだよ、実和?
そうやってよそ見して、転ける事が多いんだから、気をつけなさい」
「は~い、ごめんね?
千里ちゃん」
同じく竹内に注意をした女子……松井千里……に軽く舌を出し、照れながら謝る竹内。
「……う~ん、実和、かわ~い~い」
その竹内に萌えて抱きつく女子……吉川さなえ……が、その大きな胸に、竹内の顔を埋めて顔を左右に振っていた。
「……ふぁ、なふぇ……ちゃ、くる……ふぃ」
竹内は、吉川の背中を叩きながら話しているが、聞こえていないのか離さない。
「さなえ、いい加減に実和を解放しろ!
実和が、息出来てねえぞ?」
吉川の頭にチョップを落とし、吉川の正気を戻したのは幼なじみ最後の5人目、渡瀬願。
松井千里は身長160センチと少し、一組、学年一の才女で、部活は文学部に所属。
腰まである黒くて長い髪を緩く一本に三つ編みし、白いリボンでまとめている美少女。
性格は冷静で幼なじみのまとめ役といったところだ。
そして、東方院が気になっているが、竹内に想いを寄せている東方院には、つい厳しい態度をとる事が多いツンデレで、実和との関係を崩したくないので、自分の思いに悩んでいるらしい。
吉川さなえは、松井千里と同じ一組、成績も常に理数系が上位で、帰宅部だ。
女子3人の中で一番背が高くてスタイルも良く、見た目のキリッとした顔立ちで多くの女子に告白されて悩んでいる。
実際は可愛い物好き(竹内実和を含む)で、アニメのキャラクター物や、デフォルメされた生き物のぬいぐるみが部屋に散乱していた。
両親が個人の町医者を経営しており、吉川も幼い頃より、簡単な治療の術を教えられ身につけていた。
渡瀬願は、東方院家で教えいる古流武術の道場で、幼い頃より身体を鍛え、同い年の秋雨とは仲がよく、切磋琢磨している。
得意な道具は弓で、和弓も洋弓、ボウガンも秋雨より上手く使える。
身長は160センチで、中学から吉川と付き合い、学校でも恋人同士と認定されている。
ただ、密かに吉川より身長が低い事にコンプレックスをもっている。
クラスは、三組で、弓道部もアーチェリー部も無いので帰宅部であり、東方院の道場で腕を研いている。
何で、俺がコイツらの事をここまで詳しいかは、俺の実家が特殊な家……国に遣える古流の忍びの一族(非公開)……だからで、幼い頃より、情報収集するクセがついていた。
勿論、忍びにまつわる体術や、道具を使った古今東西のあらゆる技術を身につけている。
おまけに、顔立ちはイケメンとまでいかなくても整っている(はず)、身長も168センチの少し痩せすぎな体躯に、祖母譲りの本来の髪の色を隠す為に黒に染め、幼い頃より気配を消す修行で、あまり目立たない様にしていた(木を隠すなら森の中、を常にしていた)ら、気がつけばソコにいる男子になっていた。
交差点、信号待ちをしていると前からくるトラックが物凄いスピードで走ってくる……運転手は寝てしまっているのか、気を失っているのかわからないが、こちらに向かってきた。
幼なじみ5人は、話し込んでいて気づいていない。
「おいっ!
お前ら、ヤバいぞ!」
俺は、5人に叫びながら呼び掛ける。
俺に気づいた竹内は、必死な顔で近寄る俺に驚く。
声を聞いた東方院は、トラックに気づく。
他のヤツらも、遅れて気づく。
この時、俺は状況がおかしいと思ったが、俺を含む6人は、トラックにひかれ……死んだ。
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