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3話
転生してから1年もの月日が経った。
相変わらず父親は見掛けない。
1年もの間、顔を見て居ないということはシングルマザーの家庭で確定なのだろう。
母親は俺を背負い、抱っこ紐で固定すると家を出た。
これからいつも通り職場に行くのだ。
母の仕事は所謂手紙の代筆だ。
この国、というよりこの町の識字率はそれ程高くは無いらしく、文字の読み書きが出来るというだけで一生仕事には困らないみたいだ。
どうやら今は戦争中らしく、朝から始めて4時間程が経つがもう既に7件も捌いている。
1件につき大体20分の計算だ。
母は読み書きは出来るが、簡単な計算しか出来ないらしく、桁の多い計算を必要とする案件が来た際には別の人に回している。
俺ももう少し大きくなったら文字の読み書きを教えて貰おう。
生きて行く上で読み書きは必要不可欠だ。