『困惑』
「はぁ...ダメだ見つからねぇ...」
一通り走り回って、現在2時3分前。
ベンチにもたれかかって、俺はひとまず休んでいた。
「...っ、返信も来ねぇ。」
つい10分ほど前に送った
『探してる。今何処にいる?』
にも、返信どころか既読すら付いていなかった。
「俺なんかしたかなぁ?全く分からねぇ...」
俺は頭を抱えるだけだった。
ーー
「...」
「...」
「(まさかこんなすぐに見つかるとは...)」
悠谷と別れた美琴は、すぐ近くでイチゴジュースを飲む桃を見つけたのだ。
「(黒木君に連絡してもいいのですが...少し聞きたい事もありますし。)」
「あ、あの...」
「はい。なんでしょう?」
「そ、その、聞きたい事があるのです。」
「こちらとしては、本来なら黒木君と何があったのか聞きたいところなのですが。」
「そ、それは後で説明するのです!でも先に、ハッキリさせたい事があるのです。」
「(...まぁ、黒木君と何があったのかも、これから聞かれる事も大体分かりますが...)」
そして、一度深呼吸をすると、桃は決意をした顔で美琴に言い放つ。
「し、篠崎先輩は、悠谷先輩とお付き合いをしているのですか!?」
「はい。そうですよ。」
「えぇぇぇ!!??即答なのです!?」
「(...そりゃ分かっていましたから)」
「ど、何処が!?先輩の何処が好きになったんです!?」
「それは貴方にも聞いてみたいものですね。稲荷さん。」
「わ、私は別に...」
「はぁ...私は恋愛というものをした事がないので、分からない事が多いですが、流石に貴方のは分かります。」
「...他の方にも?」
「はい。」
「朱先輩にも?」
「はい。」
「...ゆ、悠谷...」
「それはありません。」
「...」
ーー
『はぁ?まだ見つかんないの?もうすぐ3時よ?』
『って言ったってここに来たのまだ二回目だぞ。広すぎてさっぱり分からん。』
更に様々なところを走り回って一時間程。俺はいまだに桃を見つけられずにいた。
『ったく...ん?篠崎?』
『何?あの女がそこにいるの?』
『ちっげーよ。なんかLINEで...え!?桃と一緒にいる!?』
『え?桃見つかったの?』
『悪い!ちょっと行ってくる!』
『え?あ、ちょっ...』
ブツッ...
朱の言葉を最後まで聞かずに、通話を切って、篠崎から送られてきた位置情報を見ながら走り出した。