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「テンプレ」

「で!どういう事!?」


「いや、えっと...俺が聞きたいくらいなんだが...」


朱の怒声が響いてから10分、俺は正座の状態で、朱の前に座らされていた。

...あれ?何で俺が問い詰められてんの?


「俺は単に寝てただけで、目が覚めたらお前がいつの間にかいたって状況だ。」


って言うか何勝手に人ん家入ってんだ。不法侵入って知ってるか?


「俺としては...」


そして修羅場(一歩手前)にまでなった元凶に目を向ける。


「俺じゃなくてそっちの人に話を聞いてほしいところなんだがな。」


「私はただ恋人らしい事をしていただけです。何か問題が?」


「お前はいつもやる事が飛び過ぎ何だよ!この前だって、急にキスとか...」


「...は?」


「...あ」


ヤベェ...ヤッチマッタ...


「あんた...今何て言った?」


「いや、えっと...ですね。」


「キス...って言ったわよね?」


「(どうしてこういう時だけしっかり話を聞いているのか。いつも聞いてないのに。)」


「キス...したの?」


「してない!してないよ!いや、する寸前だったけど...いやぁ!してないよ!」


ヤバい、どうしてこんなにテンパってんだ俺。余計な事が次から次へと。


「したんだ...キス。」


「人の話聞いてた!?してないって言ってるよね!?ね!?」


「この...この...この破廉恥悠谷ー!」


ヤバい!蹴りが!


ドタバタ...ガチャン!!バタッ!!


「...ってええええ!!??来ないのぉぉぉぉ!?!?」


いつものあいつなら、確実に俺が悶絶するであろう場所に、キッツイ蹴りをぶち込んでくるのだが...


「途中までは鉄板を貫いていたのに...一体どうしたのでしょう。」


「何でもゲームやアニメに沿わすなよ。って言うかあんたのおかげでこんな事になってんだかんな?」


ーー


「はぁ...で、何であんな事を?」


「あんな事とは?」


こいつやっぱり自覚がねぇよちくしょう。


「何でその...俺に添い寝してたんだよ。」


何だよこれ。自分で言うのも恥ずかしいわ。


「恋人は、よく体を寄せ合うという事を聞いたので、試しに。」


「それやる場面違うから!相手が寝てんのに寄り添うのはただの添い寝だから!」


「恋人は添い寝もしないのですか?」


「だからあんたはすっ飛ばし過ぎなの!そういうのは、もうちょっと恋人として親密になってからだから!」


こいつ、変なところで天然が出やがる。朱より厄介だ。


「ったく、とりあえずもう帰れ。とっくに外は暗いぞ。」


「そうですね。そろそろ帰りましょう。」


普通はこう言う時に、送っていったりとかするもんだが、こいつはやっぱり、そういうところで『恋人らしい』が分かってないらしい。


ーー


「ん〜...朝か。」


「はい。朝です。」


「...うわぁぁ!!??篠崎...あれ?」


「篠崎?桃は桃なのですが...?」


朝、家のベッド、女の子の声、という三つのデジャブ要素のせいで、反射的に篠崎の時と同じ反応をしてしまった。

この前の篠崎と同じ(と言うか狙ったように一緒)な登場の仕方をしたのは、うちの高校の一年生。

稲荷 桃

今年の頭に出会い、なぜかすぐに懐いた仲の良い後輩。

名の通り桃色の髪で、元気で明るい子だ。(元気と朱のようなヤンチャを間違えないように!」


「何だ桃か...ビックリしたぁ〜...」


流石に、昨日の今日であいつの相手をするのは、とてもじゃないが体も心も持たない。


「篠崎って、うちの生徒会長さんでしたですよね?何かあったのです?」


「ああ!いや、何でもないよ。それよりどしたの?」


「えへへ...なんか先輩に会いたくなっちゃって...」


「来ちゃいました!」


ああ!天使はここにいたのか!


...いかんいかん。ここ最近とんでもない女子が増えたせいで、桃が天使の様に見えてしまった...


「そっか。じゃあとりあえず下に...」


「それと先輩、朱先輩とも何かありましたですか?」


ドスッ!......


「...な、何でそんな事を?」


「ここに入るために、朱先輩にどうしたらいいか聞いたんですけど、急に怒って、

『鍵は大体開いてるから勝手に入ればいいじゃない!』

って言って切られちゃったのです。」


......マズイ〜〜!!!!また誤解を招く様な事がぁぁ〜〜!!!!


「(あぁ、もう仕方ない。あいつの事は後でにしよう。)」


今のは別に、諦めた訳じゃないよ?顔合わせただけでハイキックされそうで怖いとか、そんなんじゃないよ?


ーー


「えへへ...先輩と一緒にご飯作るなんて、なんか楽しいのです。」


「そうか?まぁ、飯は大体一人で作って一人で食ってるしなぁ。」


で、寝巻きから着替えて朝食の準備を桃とする。


...うん。やっぱり飯は自分で作ったほうが落ち着く。


「...にしても桃さぁ。」


「はいです?」


「何でそんな私服なの?」


そう、さっきから気になっていたのだ。なぜか、俺の家に来るだけなのに、ショッピングにでも出かけるような格好をしている。


「いや...その...この間買った服なのですけど!ちょっと...着てみようかなって...」


「そっか...うん。可愛いと思うよ。」


「ほ、本当なのです?えへへ...先輩に褒められた...」


いや本当、この反応見なさいよ。どっかの誰かさん達に見せたいところだわ。


「で、先輩。」


「ん?」


「この後買い物に行きませんか?朱先輩や竜先輩も一緒に。」


......ん?


ーー


「...」


「...」


「なぁ、とりあえずそのおっもい空気醸し出すのやめない?」


昼の11時、最寄りの駅で電車に乗り、二駅目で下車し、歩いて数分の大型ショッピングモール。


「(別に俺はこんな居心地の悪くなる空気を堪能する気は無いんだが...)」


付いて早々、朱の不機嫌オーラによって、周囲は混沌と化した。(実際には俺たちの範囲だけ)


「なぁ、なんかあったんだろ?この俺に話してみろって」


「お前に話したら事態が災厄レベルまで跳ね上がるわ。」


「お前、少しは俺の気持ち考えてよ。」


フザケンナ。


「先輩。やっぱりなにかあったんじゃ...」


「ん〜...それがな...」


「俺にはあんな事言っといて桃ちゃん相手だとそれですかああそうですか。」


「多分、俺って言うより...」


「で、なんであんたまでここにいんのよ!?」


「私はただ、黒木君がいるという情報を得たので来ただけです。」


「あんたは一体どこから情報を仕入れているんだ...」


午後12時直前

とんでもないメンバーでのショッピングが始まろうとしていた。

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