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須佐妖戦帖 第4章「マッカーサーの憂鬱」  作者: 蚰蜒(ゲジゲジ)
4/12

其の4 殴り込み

9月2日、横須賀沖の米戦艦ミズリー号上で、日本降伏文書調印。此の時、連合国軍総司令部(GHQ)は横浜税関に置かれていた。


フェラーズはマッカーサーに聞いた。「天皇は絞首刑ですか?」

「裁判にかける。君の調書にある通り、天皇を裁けば国民一揆が起こる可能性が大きい。慎重に行わなければいけないが・・・」

フェラーズは思った。

「日本人は全滅を掛けてでも天皇と殉死するだろう。奴隷になるなら死を選ぶ・・・」

「ボナー、日本市民たちは天皇の姿を視たことはあるのか?」と、マッカーサーが聞いた。

「多分、無いでしょう」

「存在を疑わないのか?」


翌日、総司令部上空を一匹のからすが飛んでいた。

「随分、大きな烏だな」MPが呟いた。其の時、車から飛び降りるなり、ビル目掛けて、すっ飛んで来る若者が居た。

「ボナー・フェラーズ准将じゅんしょうは、りますか?!」佐助である。随分と慌てている。

「貴様!何だ?!」玄関警備のMP数人が機関銃を向けた。「フリーズ!」

「わたしは皇宮警察の者だ。緊急にフェラーズ准将に会いたい!」

「帰れ!日本人!」佐助は両腕を抑えられ、首は十字に機関銃で静止された。2人ばかりは機関銃を向けている。

「マッカーサー元帥が、マッカーサー元帥が殺されますぞ!フェラーズ准将ーーーー!」


「外が騒がしくないか?」フェラーズは、自公務室で側近に聞いた。

「警備の者ですが」「入れ」

「失礼します。玄関で日本人の若者が騒いでおりまして・・・准将の名を叫んでおります」

「日本人の若者?」

「なんでも、自分は皇宮警察の者だと。フェラーズ准将に会わせろと」

「Mr. 佐助だ!」

「元帥が殺されると叫んでおります」

「何だと?!すぐ行く!」

フェラーズは玄関に飛んだ。


「フェラーズ准将、フェラーズ准将!」佐助は玄関先でMPに取り押さえられながら叫んでいた。

「皆、大丈夫。離しなさい。私の友人だ」

MPはブツブツ云いながら解放した。

「佐助さん!どうしたんですか?!」

「族長が!武角さまが、マッカーサー元帥を抹殺しに来ます」

「な、なんだって?!何時いつ?」

「もう来てます。中にもう居るかもしれない」

「本部の中に?あり得ない。警戒厳重な此の本部内に入るなど」

ズーーーーン!「うわあああああああーーーー」ガウーーーーン!「ぐぁあああああ」

「な、何だ?」

皆が本部中を伺った。

「あれは武角さまです。もう始まってます」

「MPは数人残して、わたしと来い!」

「フェラーズさん、わたしでないと止められませんよ」

「佐助さん!此処からは外国です。あなたは入れない。此処でお待ち願いたい」


フェラーズはMPを連れて中に戻った。全員、銃と機関銃を構えている。

「なんと云う大胆な奴。あの写真に写っていた奴だな。・・・しかし、何処から入った?」

「うう!!!」

廊下でフェラーズとMP達が視た光景は、信じられないものだった。

兵たちが宙に浮いて壁に張り付いていた。手には銃を持っていたが、全く動けないみたいだ。

「じゅ、准将・・・」

「だ、大丈夫か?!な、何があった?!」

壁から剥がそうしたが剥がせない。「協力な磁石のようにくっついている・・・・」

「に、忍者です・・・・忍者が・・・閣下の部屋に・・・まっすぐ・・・進んで行っています・・・・あ、あれは化け物です」

「応援を呼べ!外もぐるりと兵で固めろ!」


フェラーズは、銃を構えながら其のままマッカーサーの執務室にゆっくり進んで行った。

壁には兵が幾人も張り付いていた。

「じゅ、准将・・・准将」

「いま、応援が来る。我慢してくれ・・・」

執務室のドアが人形ひとがたに焼けこげて穴が開いていた。

「閣下!」

「ボナー・・・・・」

「閣下!大丈夫ですか!」中を覗いた。


「入りなよ。兵隊さん」

耳慣れない声が中から聞こえた。

フェラーズは、中に入った。

「ぐ、ぐう!」

丁度、将軍たちと打ち合わせをしていたらしい。10人ほど部屋には居たが、1人は天井に張り付いていた。2人ばかり壁にめり込んでいる。

其の他の者たちは、銃をマッカーサーと忍者に向けられていた。

マッカーサーは、椅子に座らされて忍者に首を刀で充てられていた。

「貴様!何者だ!日本人だな!反逆者か?!」

忍者はニタッと笑って、こう云った。

「我らを怒らせたいか?此の毛唐共が!」

応援がやって来た。

「閣下!」10人の兵がやって来て機関銃が向けられた。


「我らを怒らせたいか?毛唐!」


「忍者め、此の状況でよくもそんな事が云えたもんだ。鉄砲玉か?貴様」

「須佐武角・・・・だな?」フェラーズがそう聞いた。

忍者はびっくりした顔をした。何故?俺の名を知っている?と云う顔だ。

「武角さまーーー!いけません!殺してはいけません!」

外から佐助が叫んでいた。

「佐助・・・・」武角が外を見やった。


「武角!閣下を殺したら、どうなるかわかるか?!」

「貴様・・・名は?」

「ボナー・フェラーズ准将だ。いいか、其の時は連合軍、世界の大国が本気で日本を潰すぞ!国際法違反だからな。原爆をゴミのように落とすぞ。いくら須佐でも対応出来るか?貴様らの暴走で日本を潰すか?!」

武角がまたニヤッとした。

「我は警告に来たのだ」

すると人差し指をかざした。

ズン!

本部全体が大きく揺れた。

「では、世界に天変地異を起こしてやろうか?」

そして手のひらを前に向けた。

ぐわああああああーーーーー!

突風と雷雲が部屋内に起きた。兵やフェラーズ、机やら椅子やらが飛ばされた。

「うわあああああーーー」ガシャーーーーン!ドシャーーーーン!

部屋の中がぐしゃぐしゃだ。

「み、皆、大丈夫か?!」

視るとマッカーサーは椅子に座ったままで、武角は消えていた。

「な、何だ?居ないぞ!何処に行った?」兵達が、ふらふらと起き上がりながらそう云った。

「なんだ?今のは?!」


「ボナー!」

「閣下、ご無事ですか?」

「お前、奴を知っているのか?」

「イエスサー・・・・」

「下で騒いでいる、あの若造もか?」

「イエスサー・・・・」

「あの若造を拘束しろ!」

「閣下」

「許さん!許さんぞ!ジャップめ!」


彼等に触れることは禁忌(タブ–)である・・・・

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