プロローグ 俺の決意表明
「……三年後、お互い世間が俺らの名前を聞いて分かるような存在になって、
業界に名を轟かすような存在になったら、俺の想いを、聞いてほしい」
「うん……約束、だよ?」
「ああ、約束だ!」
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あの約束からちょうど一年という歳月が経った。
あの日から、俺は一体何が変わったんだろうか?
髪型? 体型? 性癖?
いや、何も変わっていなかった。
根性なしで、臆病で、弱い俺のままだった。一年経った今も。
だけど、彼女は変わった、変わって見せた。
同じ養成所通いだった彼女が、オーディションに見事合格して、
今じゃあ人気声優の仲間入りさえ果たした。
このままで、俺はいいのか?
いや、いいはずがない。
俺はこのまま何の変化もないまま養成所に通い続けて、オーディションを受けて、
落ちて、どっかの会社に就職して……そんな人生を歩むのか?
嫌だ、絶対にイヤだ!
そんな惨めな人生、俺のプライドが許さない。
声優になるって夢を諦めて、彼女との約束を破って、そんなの絶対にダメだ。
あいつに想いを伝えるって……決めたじゃないか。
何がなんでもなってやる、絶対に上り詰めてやる……
1Kの狭い俺の部屋、お隣に聞こえたらまずいので
俺はベッドに顔を埋めながら決意表明とも取れる声明を自分にだけ聞こえるように宣言した。
「俺の名を、声優界に轟かせてやる!」