5話
光に呑まれる寸前、咄嗟に身体を伏せて目を閉じる。
(…………生きてる)
ーー数秒経ったが身体に一切の痛みはなく、意識もしっかりしていた。
どうやらあの光、何か分からないが身体に支障をきたすようなものではなかったみたいだ。
手足の指を小さく動かし、身体が問題なく動くことを確認し薄く目を開く。
「…………は?」
そして目の前に広がる光景に、らしくない言葉をだし呆然と目を見開く。
さっきまでいた辺り一面荒野みたいな場所から緑の生い茂る森の中へ。
まるで瞬間移動でもしたかのように場所が変わっていた。
耳を澄ましてみてもさっきまで聞こえていた銃声、怒号も聞こえず、何なら小鳥の囀りが聞こえてきた。
まさに平和としかいいようのない場所。
「ここは…何処だ?」
敢えて口に出して疑問を浮かべる。
立ち上がり自分の身体を見ると、片手にはさっき頂いた銃があり服は血で赤く染まっている。
周囲に視線を移しても、緑だらけで此処が何処か分かる手掛かりもない。
実は死んでいて天国か地獄にきたといった方がまだ納得出来そうだ。
それ位今の状況が理解できない。
「夢…じゃなさそうだ」
自分でも有り得ないと思いながら呟き、立ち止まっていても仕方ないと歩き出す。
慎重に行動した方がいいとは思うが、さっきまで死地にいた身としては、この平和然とした場所は緊張感が一気に抜ける。
足のホルスターに銃をしまい、腰にさしたナイフに切り替え歩を進める。
それから数時間、日が暮れ周囲が暗闇に支配される状況の中、何時迄も変わらない景色を変わらない速度で歩いていく。
(…まずい。何もないところなのか)
喉が渇き腹も減ったが、何日も飲まず食わずでいることには慣れていた。…が、この終わりの見えない景色に嫌気がさしてくる。
大きく息を吐いて立ち止まり、手近の木に腰を下ろす。
今日は歩くのをやめて此処で寝ようかと空を見上げた時、視界の端に煙が上がっているのが見えた。
閉じかけた意識を覚まし、見逃さないように暗闇の中を疾走する。
そして煙の昇る場所付近に近付いた時、そこには見慣れた景色ーー怒号と悲鳴に塗れた、火を放ったのだろう燃え盛る村があった。




