2話
俺こと六郎は、「何でも屋」と呼ばれる文字通り金さえ貰えば何でもやる集団、もとい職場で働いている。
子供の世話から殺しまで幅広く行う。
そして今日の依頼は戦争の助っ人だった。
久し振りのデカい仕事に俺達は総出で向かう。
「この仕事が終わったら、暫く遊んで暮らせるな」
「俺は女でも買おうかね」
「ははっ、悪くねえ」
「今回も頼りにしてるぜ、六郎!」
「…クロと呼べ「テツ」」
周囲の雑談に混じって、肩を叩き笑って話し掛けてきた男こと「テツ」に言い返す。
「おお、わりぃな」
「別に」
俺達は基本的に本名で呼び合わず、コードネーム的なもので呼ぶ。
まあ俺の場合、六郎の「六」を反対から読んだだけの簡単なものだが。
暫くして目的地に着いた後、現地の人間に話を聞いたところ、現状は拮抗しており後一押しが欲しかったみたいだ。
そこで「何でも屋」全員で五十二名の介入。
戦争において、この少人数が介入したところで何が変わるのかと思われるかもしれない。
ただ言えることは、戦争への介入はもう何度も経験してきたということと、依頼の達成率は100%だということ。
それから数日で戦況は大きく此方に傾き、全員が勝利を確信した時…
現地の人間による裏切りが俺達を地獄に落とす。
「何でも屋」の全員が散り散りになり、誰が生きていて死んでいるのか分からない。
分かるのは、この戦はもう勝てない。
逃げることはできない。