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空の魔術師  作者: こまい
第1章 史上最強のパーティー編
2/7

2.チート能力

修正

セイタが独り立ちした年齢を変更しました。

15歳→8歳


 

「セイタは本当に可愛いわねー。」

「ああそうだな。この国で一番可愛いんじゃないか?」


 やあ、久しぶり。俺は空見聖大だ。

 異世界へ行ったつもりが赤ん坊の泣き声しか出せなくなった、という驚愕の事件に遭ってから1年が経過した。

 1年という時間が過ぎた事により、俺が今どんな状況に陥っているのかやっと理解が出来るようになった。



 まず俺は日本で異世界へ向かうための機械を製作し、それによって異世界へ来た。それは間違いない。しかし間違えたのはたった一文字だけ。異世界転移をするつもりが、異世界転生をしてしまったのだ。

 異世界転生した俺は、この世界で生まれ、この世界で育つ事が決定した。元々は軽くコンビニへ行く気分だったのに、その事実に気づいたときはあまりの絶望感により、お漏らしまでしてしまった。まあ、今の俺は1歳だから問題ない。


 そして俺の新しい家族を紹介しよう。さっき俺の事を可愛いと褒めてくれた2人の事であり、俺が異世界へ来た時に目の前に見えた男と女の事だ。

 彼らは俺の異世界での両親だ。正直元の世界の両親に会いたい、という思いはあるが、この人達の優しさにより、寂しい思いをする事は少ない。ただ、いくら優しい人達だと言っても、俺が異世界出身だという事は、口が裂けても言えないと思う。そんな事を言っても困らせるだけだしな。


「セイタ良い子でちゅねー!」

「ああ、本当にな。まだ1歳だというのに、俺たちの言う事をきちんと聞いてくれるもんな。」


 そうそう、俺の名前の話をし忘れていた。奇跡的に昔の俺の名前と今の名前が一致したんだ。今の俺の名前は、セイタ=ニルフィム。だからこうして両親に、セイタと呼ばれている。


 こうして、俺の予想通りにはいかなかったが、異世界ライフを楽しむ事が出来そうだ。




 〜2年後〜

「………」

「なんかセイタのやつ、機嫌悪いな?」

「何かあったのかしらね?」


 ブチ切れそうだった。

 異世界ライフが楽しめる、とワクワクしていた俺だったのだが、全然そんな事はなかった。よく考えれば当たり前の事なんだ。今の俺は3歳。異世界ライフを満喫できるわけがない。魔法を使う事は出来ないし、魔物に会う事すらも出来ない。

 こればっかりはどうしようもないんだろうなー。とにかく俺は、時間が経つのを待つ事にした。




 〜3年後〜


「あら、セイタったら。またパパと剣の稽古?」

「うん、そうだよ!じゃあ行ってくるね!」

「行ってらっしゃい。」


 異世界に来てから6年が経過した。時間が過ぎるのは早いものだ。もうすでに俺は、異世界ライフを満喫している。


 体が成長してくるにつれて、1つ思う事があった。それは、強くなりたい、というものだ。

 それは決して無茶な事ではない。実際この年から既に20歳レベルの思考ができる子供なんて、俺ぐらいのものだろう。さらにいえば、俺は異世界の知恵を持っているばかりか、自身の作った機械により身体能力が上がっている。これを活かさない手はない。そう思った俺は、親父と母親に稽古をつけてもらう事にした。



 今でこそこうして身体を鍛えようとしている俺であるが、しばらく前までは、情報集めに徹していた。そのおかげか、この世界の事が大分分かるようになってきた。


 まず、この世界には数個の大陸と3つの王国が存在する。その3つの国は、ある1つの大陸に存在している。その大陸の名はノーム。そして国の名は、カンビタス、マラミアム、トレストスだ。この3つの国は、どこも同じくらい発展していて、明治時代の日本と同じ程度の技術力を持つ。

 そして、ノーム以外の大陸についてだ。ノーム大陸の他にも大陸は幾つかあるのだが、魔物と呼ばれるモンスターが大量にいるため、人間が住む事はほとんど不可能とまで言われている。


 俺が住んでいるのは、カンビタス王国の王都だ。これは最近知った事なのだが、親父はどうやらカンビタス王国の、魔術師団団長らしい。また、この国でもトップを争う程強いと言われている。

 母親は元魔術師団員で、親父ほどではないがかなり強いと親父に教えられた。


 そして、俺が得た知識の中で最もワクワクしたのが、この世界における大事なシステムの1つである、魔法についてだ。

 魔法は、体の中にある魔力を消費する事により、使用する事ができる。また、その魔力は専用の薬を飲む、睡眠をとる、もしくは時間が経つ事により回復する。

 そして、この世界には属性魔法と呼ばれる強力な魔法がある。それは、火、水、風、土属性の4つだ。しかしこれは適正がないと使えないらしく、どれも使えない者は魔術師になる事を諦める事が多いらしい。


 その適正、というものは自分のステータスを見ることにより確認する事ができる。ステータスは、自分の持っている力が表示されたもので、ステータス、と口に出すことにより目の前に現れる。そしてそれを見る事ができるのは、本人だけだ。


 また、この世界の剣士についての知識も得る事ができた。どうやらこの世界に剣士はほとんどいないらしい。

 なにしろ魔術師がかっこよすぎるせいで、剣士の人気が無くなったのだそうだ。それと同時に剣士がどんどん減ってしまった、という事である。しかし俺の親父は元剣士らしく、そのためか俺に剣の稽古をつけてくれるようになった。それに対し母親からは魔術の稽古をつけてもらっている。


 これは俺が大人になる頃が楽しみだ。そんな思いで稽古を続けた俺は、どんどん成長し続けていった。




 〜異世界へ来てから8年後〜


「じゃあ親父、母さん。行ってくるよ。」

「ああ、気をつけて行って来い。まあお前程の力があれば気をつける必要はないかもしれないけどな。」

「寂しくなったらいつでも帰ってきていいからね。行ってらっしゃい。」


 6歳に始めた稽古を8歳になるまで続けた俺は、親父にも母さんにも勝てる程の実力を得ていた。それはつまり、この年にしてこの国でトップを争えるほど強くなったという事である。

 もっとも、それは俺の異世界での身体能力がもともと高く、さらに親父と母さんから戦い方を教えてもらっていたからだ。そうでなければいくら異世界人とはいえここまで強くなることはできない。


 そんな俺は、ついに一人立ちする事を決めた。一人立ちと言っても、長い旅に出るだけだ。目的地は両親に言っていない。言ったら絶対に止められるだろうからね。


 そんなこんなで家を出た俺は、すぐに移動を始めた。目指す先はこの大陸の外だ。そこへ行ってもっと強くなりたい。そんな単純な理由で、俺は目的地を決めた。


「すみません、セント村に行くにはどうしたらいいですか?」

「それなら、この馬車に乗れば着くぞ。運賃は500セインだ。」


 セインというのはこの国の通貨である。だいたい1セイン=1円だ。


 俺は500セイン払って馬車に乗ると、これから向かう先の事を考えた。

 セント村というのはこの国の一番端にある村であり、一番大陸の端にも近い。そこから俺は他の大陸へ行こうと思っている。


 他の大陸に着いた時、そこにはどんな魔物がいてどれほど強いのか、楽しみで仕方がない。そこに不安という感情は一切介入してこない。

 なぜなら……


「俺にはチート能力があるからな。」


 俺は人知れず、笑みを浮かべた。

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