仮面
芥川龍之介風な感じです。
パクリではありませんのでご了承くださいm(_ _)m
俺はなぜここにいる。昨晩の出来事が遠い昔のように思える。旅人はそう思いながら昨日のことを思い出していた。
それは昨日の昼頃であった。旅人が江戸から京の都まで歩いていたとき、ふとある商人の話が耳に飛び込んできた。「旦那、知ってますかい?京の都の寺の噂、もうそこかしこで聞いてるが、聞いてるだけで気持ち悪くなっちまうよ。」「あぁ、ここに来る道でもその噂は聞いてる。」旅人はそれがなんなのか皆目見当もつかない。好奇心に駆られ商人に尋ねた。「俺は旅の者だ、今話していたことを詳しく教えてくれぬか?」「あんたまだ聞いてなかったんですかい?なんでも京の都の寺には商人でも近寄らねぇ品があるらしいと聞いた。詳しくは知らねぇが、あんたその格好京の都に行くんだろ?」商人が旅人の検非違使からもらった通行書を指差しながら言った。「あぁ、そうだ。」「なんにせよ、気をつけるこった。」商人はそれだけ言うとどこへともなく見えなくなってしまった。
旅人は単純な男であった。そんなものがあるなら京の都に行くついでに見てやろうと思い、今寺の前にいるのだ。
旅人は寺の中へ入ったが、どこの寺にもいるはずの坊主がいないのである。もうあたりは漆黒の夜があたりを覆っている。
その時旅人を襲ったのは商人と話していたころの自分とは全く違う感情であった。しかし、引き返すわけにもいかず、ゆっくりと歩を進めた。もうこの時間、見つかれば盗人とされ、検非違使に連れて行かれることは明らかであったが、引き返すということは考えられぬほど、旅人の意識の外に追いやられていたのである。
なぜなら、旅人は見つけたのである。商人からはそれがなんなのかは聞かされてはいないのに旅人にははっきりとわかった。そこに置いてあったのはひとつの仮面であった。
旅人は仮面を手に取り、よく見た。とても不思議な仮面であった。鼻がなく、口は開いておらず、目が異様に細長いのである。目の周りには腫れたように膨らんでいる。
不思議にも旅人はその仮面を見て美しいと思った。「つけてみたい」そんな衝動に駆られた。旅人はゆっくりと仮面を顔に近づけていった。しっかりと顔にはまった次の瞬間、旅人は何かに気付いた。仮面の内側が血生臭いのだ。慌ててとろうとするが仮面は離れない。どうにもこうにも離れないのだ。
旅人がとろうともがいているとき寺の外で誰かの声がした。旅人は急いで仏壇の後ろに隠れた。入ってきたのは寺の坊主であった。「見廻りか?」そう思った。しかし、坊主はしばらく中をうろついたあと、静かに出て行ったのである。旅人は安心したが完全にはしていなかった。仮面は取れていなかったからである。それでも坊主に見つからなかったからか、心に余裕ができ、旅人は初めて辺りを見廻した。そこになにかがあると思ったのではない。本能的に見廻したのである。
一瞬旅人の頭はその場の状況を理解出来なかったが、頭が段々追いついてくると鮮明にその場が見えてきた。今まで気付かなかったが、仏壇の裏には顔がない死体が幾重にも重なり、捨ててあったのである。そしてそこから強烈な腐敗した臭いがした。旅人はいよいよ怖くなって寺を出て行こうとした。そして寺の外まで出るといつの間にか仮面は取れていた。その後旅人を見たものはいない。
どうでしたか?私自身まだ作家経験が短いので、この作品で皆様に伝えられることは少ないかもしれませんが、自分なりに精一杯詰め込みました!お読みくださりありがとうございますm(_ _)m