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第26回『新入部(?)員あらわる!』

 いつもの愛好会の部屋。最近はやることがまったく無い。

 新入生歓迎の遠足やその他の新入生向けのイベントも全て終わってしまい、本当に暇な放課後である。日ごろは中留御のとんでもない提案は迷惑としか思えないのだが、今は違った。中留御が何か頭のおかしい提案をしないものだろうかと待ち望んでいる俺が居た。

 って、ヤバイな。これは一時の気の迷いだと思いたい。そう、俺は平凡な高校生活をエンジョイしたいんだ。

「暇ねぇ。誰か面白い話ない?」

 机に突っ伏していかにも暇ですというオーラを全開にした中留御が言う。

「じゃぁ、四丁目のおじいちゃんに聞いた話なんかは…?」

 恐る恐る挙手をする四方田。

「まーた秋奈ちゃんの『おじいちゃんおばあちゃん話』なの? それ今週に入ってもう三回目よパスパス」

 自分で話を言えといっておいて意見を突っぱねる中留御。ホントお前アレだな!?

 ちなみに今日は水曜日。四方田の『おじいちゃんおばあちゃん話』は月曜、火曜と聞いていた。つまりは今週に入って毎日。まぁ、その話を突っぱねる中留御の気持ちは解らんではないが。

「というか四方田? お前こんな所に此処のところ毎日顔を出してるが…その良いのか?」

「え、別に構いませんよ夕日先輩。家に帰っても暇なだけですし」

 俺の心配事とは違う意味で捉えてしまっている四方田。

「いや、このままだとな、なし崩し的に…」

 ちらりと中留御を盗み見て四方田に小声で話す。

「ゆ、夕日先輩が襲っちゃうんですか!? わ、私六丁目のおばあちゃんから初めての相手はよく吟味しろって……」

 何言っちゃってるんですか、六丁目のおばあちゃん!? というかそんな町内会の集まりで顔を合わせるようなばあちゃんの話を間に受けるなよ!? って、いやいやそう言う事が言いたいわけじゃなくってだな。

「ユーヒ…人の色恋沙汰にはあまり口を挟まないのが私の信条だけどね、流石に部活動の先輩って立場を利用して変な事するのだけは見逃せないわね」

「誰がッ!」

 あまりって事は口は挟むんだなという突っ込みを胸中に秘めつつ中留御のある台詞に違和感を覚える。

「…部活動の先輩? 誰かこの愛好会に入る血迷った頭の奴が居たのか?」

 中留御は呆れた表情を浮かべ俺を見つめ、二度左に顔を振る。顔を振った方向を何気なく見ると、春日さんが書店のカバーの付いた文庫本を読んでいた。

「いや、春日さんはタメだろう。俺より成績のいい春日さんが留年なんかするもんか」

 自分の名前が出たことで、春日さんは文庫本から視線を外す。

「……?」

 状況が理解できないとばかりに上目遣いで俺を見つめる春日さん。うぉーう、KO寸前だ。もし許しが出るならそれを写真に収めたい。

「違う違う」

 と中留御は春日さんを一度見て、次は右に顔を振る。忙しい奴だな。

 中留御の言うとおりに春日さんの右側を見ると、きょとんとした表情の四方田が居た。

 …まさか。

「四方田が新入部員だって言うんじゃないだろうな?」

 俺の言葉にカチンと来たのか、中留御が立ち上がる。

「何よ、秋奈ちゃんじゃ役不足だって言うの!? はっきり言ってユーヒより暇なときのトーキングスキルは高いわよ! 秋奈ちゃんがレベル8だとすればユーヒは2ね! ちなみに私は12ってとこかしら。春日ちゃんはーまぁ贔屓目に見て6ぐらいかしら。並木はまー妥当な線で5ぐらい? 棗ちゃんはねー4ってとこかしら」

 何だよトーキングスキルって。頭文字に『ス』が入れば胸を張っていえるような事じゃなくなるだろ? っていうか納得いかねー!

 この際…春日さんや並木のレベルはいいとして、なんで夏目棗が俺のレベルの倍なんだよ!

「ちなみに『役不足』って言うのは本来その人に対して役が不足していることから、その人にその役割はその人の力量に比べ簡単すぎるっていう意味だって三丁目のおじいちゃんが言ってましたよ」

「へぇ…そうなんだ。って言うことは『力不足』とかの方がいいのかな?」

 四方田と春日さんはまったりとうんちく話を始めた。というか良いのか四方田。このままだとお前はこの愛好会の唯一の新入部員になってしまうぞ。

 春日さんとの会話が盛り上がり、四方田は自分が置かれている危険な状況を理解していない。

「四方田…お前…早く別の道探さないとアイツみたいになっちまうぞ?」

 活動実績のために無理矢理この活動に巻き込まれた並木を指差す。当の本人は携帯のアプリにはまっていて気が付く様子すらない。

「えぇーなんでですか、夕日先輩。この部活面白いじゃないですか。それとも…私お邪魔ですか?」

 潤んだ瞳で俺を見つめる四方田。その姿は雨の日に捨てられた子犬のようで、冷たく突き放すなんて出来そうにも無い。

「…どうなってもしらねーぞ」

 そう吐き捨てると四方田に背を向けた。

「と、まぁ、此処で今期の新入部員もゲットしたことだし、私の愛好会は幸先良いわよねー。今思えば私と春日ちゃんで始まったこの愛好会。いまや部員が六人と充実してきたわねぇ」

 …俺は!? お前が立ち上げるときにその場に俺も居たはずだが!

「っと、ユーヒ。そんな目で見ないでよ。冗談に決まってるでしょ」

 ちょっと泣きそうになったぞ。って、俺は何を……。

「でもまぁ、四方田も入ったことだし、お前の思いつきを口にするときはちゃんと四方田の事考えてやれよ?」

 流石に俺達とつるんでクラス内でいじめられたとかなったら洒落にならん。

「ユーヒ君、それって私達はどうでも良いって事かなぁー?」

 春日さんが笑顔で俺に問いかける。

 怖い、笑顔が怖いですよ春日さん!?

「日暮さんはぁ〜夏目ちゃんたちのことはどうでも良いってことですかぁ〜」

 こんな時にマジレスするんじゃあない! 夏目棗!

 助けて、並木!

 救いを求めるような目で並木を見つめ、その視線に並木が気が付くが……。

『まぁ、なんというかがんばれ。というか俺を巻き込まないでくれ。今良いスコアが出そうなんだ』

 という視線を返し、再びアプリに没頭する。

 並木、俺とお前の友情はその単純作業アプリ以下のものだったのか。というか俺にも挑戦させろ、並木。あっという間にハイスコア塗りつぶしてやるから。

 そんなこんなで今日も愛好会は平和なのだった。

こちらもサブタイトルつけたほうがいいですね。

まったく話わかりません。

じわじわとサブタイトルつけていきます。

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