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ガイラルの迷宮  作者: 光崎 総平
最終章 最後の英雄
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最終話

 サラの身体が宙を舞う。

 桁外れの攻撃をその身に受け、吹き飛ばされたのだ。

 幾度、幾度吹き飛ばされただろうか。

 百や二百ではきかない。

 デミウルゴスは胸中で歯噛みし、サラの戦力を見誤っていたことを呪う。

 桁外れの超耐久。未だに地上には恐怖が渦巻いているが故、デミウルゴスの能力は最大に近い。デミウルゴスが伸ばす触腕の一撃は生半可な存在なら一撃で素粒子単位にまで粉砕するだけの威力がある。兆を超える触腕の一本一本が大陸破壊級の威力を秘めているのだ。

 それを幾千幾万幾億と喰らってなお、サラは傷一つ付いた様子もなく空中で跳ねて体勢を立て直してデミウルゴスへと突撃を敢行する。

 恐るべき耐久力だ。頑丈さではティアマットに並ぶだろうか。いや、下手をすれば超えるか。ティアマットはその圧倒的巨体と、無限の年月を刻んだことによって桁外れに重厚で頑丈になった龍鱗や甲殻による防御が主だ。単純に硬くてデカいがゆえの耐久だが、サラは違う。

 異常なまでの見切りと人智を超えた強化、および根源属性による防御と、サラを取り巻く金色の粒子による受動防御を中心としている。あらゆる属性を持つ攻撃を完全に無効化し、あらゆる魔力を介した全てを問答無用に昇華吸収し、絶対防御と言える黄金の燐光があらゆる物理衝撃を拡散、消滅させる。

 事実上、サラは無敵に近い鉄壁だ。サラへ攻撃を通すなら、何もかも全てを無視して真っ向から防御をぶち抜くしかない。それが出来るような怪物は、エンリルとウルズドぐらいか。蛇神なら何らかの方法で防御を無視できるかもしれないが、それ以外の者ではほぼ不可能だ。ちまちま削っていくほかない。

 そして、サラの持つ圧倒的な再生能力が多少の傷など一瞬で消していく。絶対的ともいえる超絶耐久の前では、少々の火力では歯が立たないのだ。

 仕方ない、とデミウルゴスは札を切る。

 光にさえ匹敵する速さで触腕の隙間をくぐり、くぐれない場所は神殺しの槍で切り捨てて接近するサラへとデミウルゴスは本気の殺意を向けた。

 強度を減らす代わりに速度と数を増した触腕がサラの全身を拘束する。当然ながら一挙動でで全て引きちぎられるが、それでも一瞬はサラの動きが止まる。

 一瞬でいい。千分の一秒でさえ、神域の者にとっては無限に近い。


『――砕けよ、世界』


 その瞬間、那由多に及ぶ全触腕が絶大な魔力を放出する。

 上位四属性を含む全属性による完全同時砲撃。一発一発が絶大な威力を誇るとはいえ、魔力による攻撃ではサラには――

 サラは嫌な予感を感じ、全力での防御障壁を展開した。

 同時、根源属性で表面を覆った圧倒的な数の魔術がサラを襲った。

 サラが魔力や属性攻撃に強いのは根源による防壁の面が強い。それを突破できるのならば、魔力での攻撃を通すことが可能だ。

 そして、この砲撃は一つ一つの威力こそ大した事はない。山を吹き飛ばす程度だ。だが、全てが計算し尽くされた配置であり、相乗効果で爆発的な効果を生み出す。そう、世界の一つや二つ軽々と消し飛ばせるほどに。

 生半可な防御など紙に等しい。直撃を許すなら、かの蛇神やティアマットにさえも致命傷となる絶大なまでの超火力。

 この不滅の空間以外だと、敵性世界以外では使用できない、まさに切り札の一つ。

 直撃するならば、サラでは生存の目は無い。

 ああ、そうとも、直撃すればの話だ。

 サラは防御障壁がほんの僅かな時間を稼ぐ間に、迎撃の準備を整えきる。

 強力な術で防ぐことも困難だが、しかしそれが魔力を介したものである限り、サラならば対処できる。

 金色の粒子を周囲に展開すると同時に特性を整えた根源の魔力を纏わせ、それに触れた根源の魔力を奪うようにする。また、戦鎚に莫大な魔力を集中することで突破してきた魔弾そのものを粉砕する用意をも整える。

 障壁を紙のように引き裂き、膨大な量の砲撃がサラを襲う。

 同時に放たれたが、着弾は同時ではない。極めて微細な差異を付けることで連続的に火力を叩きつけ、同時着弾よりも大きな効果を生み出す。まさに神の芸当と言えるだろう。

 サラはその中の途中の段階をいくらか消し飛ばし、残りは自らの身で受ける。桁外れの火力とはいえ、最大威力からはかなり削がれたものだ。

 そして、何より一発一発自体の火力が低いことがサラにとっては幸いとなる。一撃の威力で限界を超えないのならば、体内を走る衝撃を上手く誘導することで他の攻撃を相殺できるからだ。

 結果、サラは五体無事の状態で猛攻を耐え抜く。

 生きてさえいれば無限に近い回復力を持つサラが、これを耐えきったのは大きい。

 即座にほぼ全快し、サラは僅かな硬直を見せているデミウルゴスへと肉薄する。流石に大技を使った直後に大きな動きは取れないのか、いくつもの触腕を障壁代わりにするが――そんなもの、あろうとなかろうと同じだ。

 無限の彼方まで打ち抜くかのように、サラは全力で戦鎚を振り切る。

 人間には音とさえ認識できない爆音と共にデミウルゴス本体へと戦鎚がめり込み、吹き飛ばすことすらせずに直撃した部分を粉砕し、遅れてやってきた爆風がデミウルゴスを大きく吹き飛ばす。

 これはサラの攻撃力が強いから――ではない。デミウルゴスが攻撃を不可避と見て、当たる部分の密度を低くし、攻撃による被害を抑えたのだ。見事と言っていいだろう。

 サラは追撃を仕掛けに動くが、しかしその時には既にデミウルゴスも硬直が解けている。無数の触腕を再び展開し、サラの防御をすり抜けて打ち据え、大きく吹っ飛ばすことで距離を取った。

 何事もなかったかのように、そのまま空中で体勢を立て直し、サラは再びデミウルゴスへと接近を試みる。

 その姿を見て、デミウルゴスは永い年月で凍り付いていた感情を思い出す。

 かつて、一万年前にただ一度だけ覚えた感情だ。

 自らが振りまき、糧としてきたものでもある。

 それは、恐怖。

 一万年前、デミウルゴスと相討った、朱の騎士団に刻まれたものだ。

 人間如きを。

 塵芥同然にしか見えなかった、あの何の能力もないただの人間たちを。

 初めて、何よりも怖いと思ったことを、思い出させる。

 諦めるということを知らぬ目。四肢をもがれようと、首だけになってもかじりついてきたあの大英雄達。

 最後の一人などは体を縦に両断されながらも、致命の一撃を放ってきた。

 その姿に、サラが重なる。

 ウルズドやエンリルでさえ比較にならない。神格存在では、これほどの恐怖を与えてこないだろう。

 恐怖、恐怖か。

 笑みを漏らし、デミウルゴスは咆声を上げる。


『我こそが『神災厄禍』デミウルゴス、恐怖を統べる者だ!!』


 ああ、ならば。

 恐怖など飲み下して、自らの恐怖さえ力に変えてくれよう。

 今までにも増して、強力な攻撃を数多く繰り出し――

 そして。

 サラは、この土壇場で。

 ある種の理想へと到達する。

 今まではほぼ独学でこの域の動きを行っていたが、しかしその手本となる存在の動きを直に見ることが出来たのだ。それも、サラの持つ戦鎚の大本となる神器を扱う存在の動きを。

 これまではその動きをなんとか模倣しようと試行錯誤していたが、今『砕くもの』を振り抜いた時、それがサラの中でカッチリと嵌まった。

 中空を蹴り、サラは伸ばされてくる触腕に向けて戦鎚を振り抜く。最早何かの抵抗を感じることもない。空気抵抗すら破壊するその体術の前に、全ての障害は打ち砕かれるだけだ。

 破壊の手ごたえを感じ、サラは理解する。これだ、と。

 打ち砕いた存在を概念ごと滅ぼす、破壊神の技。まだ未熟なれど、到達した場所はそこだ。

 また、この境地の恐るべきところは威力ではない。威力自体も桁が違うが、その本領は存在そのものを打ち砕くが故の治癒阻害だ。

 敵の存在そのものを欠損させることにより、"もともとその部分は存在しなかった"という事実に書き換える問答無用の大破壊。本家本元のウルズドほどに絶対的なものではないが、しかしそういう特性を帯びているという事実は大きな意味を持つ。

 なにせ、伸縮する触腕を一時的にでも数を減らすことが出来るのだ。

 超絶の数をなくすことはできずとも、ほんの少しでも減れば対処は易くなる。

 それだけではない。

 サラは恐るべきことにその動きを『神葬真理』の使い方にも応用を始める。

 別系統の技術であるがゆえにほぼ一から組み直すようなものだが、しかしサラの中に保有される蓄積技術は人智を超える。一万年に渡って戦闘のみに特化してきた一族全ての技術が、今、サラの中にあるのだ。

 その中から抽出し、合成し、ありえない速度で技を組み上げていく。

 人間だからこそ、出来ることだ。

 どれほど強くとも、ほぼ完成した存在である神にはそれ以降が存在しない。変化する、ということが出来ない。

 未熟であるがゆえの強さ。それを、サラは最大限に発揮する。

 神殺しの槍で再現される存在破壊は、戦鎚による破壊を上回る速度でデミウルゴスの触腕を消滅させていく。

 元より神格持ちに対する絶対性を持つ『神葬真理』と、存在破壊の相性が良すぎるせいもあるだろうか。切り裂いた触腕を侵蝕し、多くの触腕を消滅させていく。

 声にならない悲鳴を上げ、デミウルゴスは進退窮まったことを自覚する。下手な防御は命を縮めるだけで、意味をなさない。

 致し方ない、とデミウルゴスは諦める――可能な限り万全の状態でこの世界を離脱することを。


「!」


 いきなりデミウルゴスから放たれた猛烈な覇気に、サラは敏感に反応する。

 今までの腑抜けた空気から一転し、ピンと張りつめた、神の意気をそこに感じるのだ。

 展開されていた膨大な触腕が引き戻され、一瞬デミウルゴスの姿が見えなくなり、そして。

 『神災厄禍』デミウルゴスはその真の姿を露わにする。

 豪奢な漆黒のドレスを纏った、目に光のない、青ざめているかのような白さの美女。ただし、右半分だけ。左半分は夜の闇よりなお深い漆黒の影だ。

 右手に付けている手袋代わりの黒い手甲と漆黒の剣は、エンリルの世界剣にも似た威圧感を放つ。


『最後の勝負だ。死ぬが良い、最後の英雄よ』


 言うが早いか、デミウルゴスは恐ろしく鋭い剣戟をサラへと叩きつける。今までの雑な戦い方とはまるで違う、洗練され尽くした技。受け止めた戦鎚ごと彼方までサラが吹き飛ばされるほどの威力を秘め、あらゆる物理衝撃を無効にするの黄金の燐光を纏っているにも関わらず、手に鈍いしびれが残る。

 強い。

 これほどの手札を残していたという事実が、神の高さをサラへと知らせる。

 そして、吹き飛んでいくサラへと追いつき、デミウルゴスは追撃を仕掛けた。

 神速の剣と、影から伸ばされる数多の触腕。恐るべきことに、この技の冴えと共に、先ほどまでの数をも同時に扱うというのだ。

 笑みがこぼれる。

 サラは、我知らず獰猛な笑みを浮かべていた。

 楽しい。楽しい。楽しい。嬉しい

 最後の最後に、こんな戦いが出来ることが、本当に楽しくて嬉しい。

 戦鎚で剣と打ち合い、槍で触腕を薙ぎ払う。なるほど、強力な攻撃だが、威力のほどが知れれば対処は可能だ。サラの今の動きは近接戦闘に於いて無双たる『破壊神』ウルズドを模倣し、それにどんどん近付いているのだ、たとえ神域の攻撃の重さでも既に知っていれば対処できる。

 そこからはもう足を止めての打ち合いである。絶望的な威力の打ち合いが毎秒幾千と繰り広げられ、その度に世界そのものが軋む音が聞こえる。

 デミウルゴスの工作により、この迷宮最深層は既に世界から切り離されつつある。サラを倒したら、即座に切り離して離脱するためだ。

 その工作によって薄くなったつなぎ目が、今までの戦闘によって本格的に砕けつつあるのだ。

 しかし、どちらも攻撃を弱める訳にはいかない。弱めればその瞬間に死ぬからだ。

 だが、サラは自らの限界が近いのを悟りつつあった。

 そもそも、サラの能力はまだ神々の中では低い方だ。極めて高い成長性と、桁外れの耐久力があるためにそうは見えないが、戦闘能力だけ見ても、本来ならデミウルゴスと打ち合えるほどではない。

 そんなサラが互角以上の戦いが出来るのは、自らの時間を削り、圧縮し、常に最大出力でブン回しているからに過ぎない。

 戦えば戦うほどに、サラは時間が削られていく。

 サラが決着を急ぐ理由のひとつが、それだ。

 とはいえ、デミウルゴスに余裕があるわけでもない。サラの強さが想像を遥かに超えていたため、本来使う予定のなかった真の姿を現しているのがその証拠だ。

 神にも色々と種類がある。素の能力が高く、常に全力で戦える者と、素の能力こそ低いが、信仰などにより非常に大きな補正が掛かる者などが。

 デミウルゴスは後者の中でも顕著な型だ。今は恐怖などの負の感情を喰らうことで信仰を確保しているのと同じ状況を作りだして誤魔化しているが、それは大きく力を使うのだ。節約形態である不定形球体を最後の最後まで解かなかったのはそれが理由である。

 両者ともに追い詰められているが――それよりも先に迷宮そのものが音を上げた。

 何十万と恐るべき打ち合いが続いた末、世界から完全に切り離されてしまったのだ。

 轟音と共に迷宮最深層が崩れ始め、そして。

 サラの戦鎚が、デミウルゴスの剣を打ち砕く。

 ある意味当然と言えるだろう。破壊の一点のみに特化した概念を持つ進化する神器を相手に、神が持つ武器とはいえ何の概念も持たない剣が幾十万と打ち合えたことの方を褒めるべきだ。

 そして、追撃を掛けようとし――サラは何かに気付き、即座に『神葬真理』をデミウルゴスへと突き刺した。

 不意を打たれ、まともに体の中心に槍を突き刺されるデミウルゴス。真の姿になったからには、この程度で致命傷になることはないが、しかし意味が分からずサラを触腕で打ち据える。

 デミウルゴスの攻撃を避けることも防御もせず、サラはその触腕を受け入れ――しかし触腕は何にも触れることなく透過した。


「……時間、ですか」


 ぽつりと、サラはつまらなそうに呟き、 そして、時間がかかるがゆえに今まで使わなかった最終最後の奥の手を、展開する。

 薄らいでいくサラの姿だが、しかし消えることはなく、サラの影のある場所から上位四属性の魔力が僅かに漏れ出でる。

 既に世界から追放されているサラだが、しかし意地でほんの微かなつながりだけは維持し続ける。その哀れな姿に、デミウルゴスは憐憫の目を向け、しかし、目を見開いて即座にその場を離脱しようとする。が、出来ない。


『な、ぐ、貴様、何を……!?』

「最も尊き力を、ただ破壊のためだけに用いる我が蛮行を、赦して下さい」

『まさか、貴様、それは、やめろ、貴様も死ぬぞ!?』

「その程度、なんということもありません」


 にこりと笑い、サラは――













 何かを感じ取り、蛇神は迷宮の場所を見る。

 最深層が切り離されているのが分かる。これは、どういうことだ。

 探れば、付近次元に迷宮最深層が漂っていることも分かったが――同時に、とある魔法の予兆もそこから感じ取ることも出来た。

 間違いない。

 これは、こんな雑魚に構っているような暇はない。即座に対処すべき事案だ。


『アスフィリア、エンリル、アーカム! サラがかの大魔法を使うようだ! 余波が来るかもしれん、世界結界の補強が必要になる! 雑魚どもは――おい、ウルズド! 遊んでないで掃除しろ! ティアマット! このアホどもに真なる龍の吐息というものをみせてやれ!』


 矢継ぎ早に指示を出し、蛇神は今まで圧倒的実力差で磨り潰していた神っぽいものの存在に強力に干渉し、存在固有時間そのものを完全に凍結させてしまう。こうなるともう、蛇神以外では影響を与えることすら出来ない。そう、自他を問わず。まぁ、ウルズド辺りなら完全に問答無用の一撃で粉砕できるだろうが。

 物言わぬ木偶と化したそれを引っ掴んで周囲の雑魚を存在要素分解で見るに堪えない姿に変えつつ、蛇神は地上に降下し、砕かれた世界結界の修繕と強化に入る。


「しかし、サラめ。我らに並ぶつもりか?」


 苦笑し、蛇神は全神経を世界結界へと集中させる。

 余波でさえ創造神や魔術神が四柱がかりで行わなければならないほどの攻撃、それは、そう。

 本当の意味での、魔法である。














 ――上位四属性全ての最強魔術を同時行使する。

 宇宙属性 ビッグバン

 虹属性  ジオリジン

 混沌属性 アイン

 時属性  アルファアンドオメガ

 それぞれが全て終わりと始まりを示す超絶の魔術の数々。一発でさえ世界そのものを内側から破壊し尽くすと謳われる、まさに神の魔術の全てが同時に使われる。

 それが意味することは一つ。

 宇宙――世界という枠組みが、虹――世界を満たす元素が、混沌――物質の基礎となるものが、時――文字通り時間そのものが、創造されるということだ。

 ああ、それは、つまり。

 世界の終わりと始まりを、意味する。

 どんなものでも、壊すよりは作る方がより大きな力を必要とする。ならば、世界を創造するだけの力を攻撃に回すのならば、それは一体どれほどになるだろうか。


「さようなら、この魔法ならば、一分でも、貴方を殺すに余りあります」

『クソ、何故だ、この槍が、抜けぬ!! 何故だ、貴様、やめろ!! 我は、まだ――』

「世界は終わり、新たなる始まりを。破界/創世・天地開闢」


 そして、それは崩れつつある迷宮最深層を満たし、破壊と創造の渦が文字通り全てを打ち砕く。

 単純な力の総量のみでしか拮抗も防御も出来ない根源属性の勝負において、無限すら超える世界創造の力の前では全ての抵抗は無に等しい。

 デミウルゴスが行った幾千万の抵抗は、ただ何もなすことはできず――

 また、それを用いたサラもただでは済まない。

 桁外れの威力を強引に細い隙間に通したがゆえに、自らも真っ向から超絶の威力を一切の防御なしで受けることとなる。

 全てを無に帰す力をその身に受ける瞬間、サラが何を思ったのか。

 それは、誰にもわからない。





 最後の英雄は消え、世界は甚大な被害を受けながらも平穏を取り戻す。

 そして――


次回がエピローグとなります。

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