内戦?③
第96話 「内戦?③」始まります。
「では、いったい誰なのですか?白に紫紺の二引き両の旗の持ち主は?」
ウィルソンは、立ち上がり身を乗り出し、興奮した状態で解答を求めた。
彼の預かりし城に、攻め寄せているのだから落ち着けと言う方が無理であろう。
「そうかぁ、思い出したわ」
突然不敵に笑い、机を叩きながら話す弥生に皆が注目した。
「弥生殿下、大丈夫ですか」
弥生の様子を見た教師のスペンサーは、去年の教え子に聞いた。
「えぇ大丈夫よスペンサー先生」
微笑み返す弥生に、皆は動かない身体が後退りする感覚に陥った。
「そう言えば、妾も前世の記憶持つ者の一人だったよ。皆の者、安心するが良い。妾がきっと皆に勝利を届けようぞ。妾は神の・・・・」
パシーン
室内に響く高々な音、手を頭に蹲る少女に後ろで、右手に張扇を持ち仁王立ちする母・霞。
「巫山戯てないで真面目に話して下さい叔母上」
この世に娘を叔母と言う母がいるだろうか?
霞の言葉に不可思議の物を見る様に見ている人々。
この沈黙を弥生は破った。
「まぁ、さっきも言った通り妾も前世の記憶持つ。長くはなるが動かない敵など恐れるに足りず。
なので、少しつきあって欲しい。
この世界には妾のいた世界の他に、数箇所にも及ぶ前世の世界の記憶を持っている人々が、集まっていると言える。
この世界の秋津大帝国は木下家で治めてきているのは皆の承知する事だろう。
先代の当主・木下明宏氏は戦のした事のない。違うな此方の世界に生まれ変わるまではだな。ユリさんなら聞いた事無いですか前世で。株式会社木下商事を」
突然話を振られたユリは、驚きながらも答えた。
「あっ、ハイあります。確か世界有数の大企業グループのトップ企業ですよね」
「そう、先代はその五代目です。其処の婿養子になったのが妾と弟の父・吉伸です父は戦人です。戦国の世と言われた世界で、征夷大将軍として幕府を開き後を継いだのが藤治郎であり、父の悲願であった全国を統一し天皇家を補佐する関白にまで上り詰めた。殿上人である。
まぁ簡単に言えば藤治郎の機嫌一つで人でなく、その領地その物が無くなると言う事で」
弥生は笑いを飛ばした積もりであったが、皆の目は驚きと恐怖と感慨な目を向けていた。
次回「内戦?④」お楽しみに m(_ _)m