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供に励もうぞ

第9話 「供に励もうぞ」始まるよ

供に励もうぞ



 翌日、一晩叔母の家に泊まり、薄明るくなった頃あたしは、風の斬る音で目が覚めた。

 開けておいた三階の窓から庭を見れば、

彼が一メートルぐらいの棒を振り回してた。

その太刀筋はこのあたしにも解るぐらい輝いていた。

私も部屋に置かれている木刀持って庭に降りていく。


「おはよう御座います」

「うむ、おはよう、由紀さんも麻稽古かい」

「ええ、見ていたら私もやりたくなりまして」

「じゃこっちに来て供に励もうぞ」


 私は彼の横に並び木刀を振る。

 でも彼って、私と背丈変わらなかったかしら・・

 供に数回降った後、彼は私に指導しだした。


「背筋を伸ばし振り切った後は肘を伸ばせ」

「はい」


 数時間後、吉政は建物の中へ入って行った。由紀は彼を見送りながら木刀を振っている。

 数分後振っている腕を止めると、大きく深呼吸をした。身体を癒すように爽やかな風が吹く。首に巻いたタオルを解き汗を拭くと、由紀も建物の中へ入って行った。


 私は汗を流す為浴室にやって来た。浴室と言っても、五十人は浸かれる大浴槽みたいなもんだ。此処の岩風呂は私のお気に入りだ。

 扉を開け暖簾を潜り抜け、汗ばんだ服を脱ぎ、中扉を開け入っていった。

湯浴みを終えると、


「由紀さん、わしの背中を洗ってくれ」


 そんな声が聞こえたので驚いて隣を見たら、吉政さんがいた。


「はい、解りました。ご主人様」


 えっ私の意志に反した言葉が何で?と困惑しながらも私の身体が勝手に彼の方に赴いていく。ちょ待って私・・・

 由紀の意志とは別にタオルを手に持ち吉政の背中までやって来て、

タオルに石鹸を練りこませ彼の背中を撫でていく。桶に湯を張り背中にかける其れを繰り返した。


「由紀さん、ありがとう湯に浸かって暖まりなさい。

タオルは湯に漬けてはいけませんよ」

「はい」


 もう、さっさと揚がりたいのに、なんで湯に浸かっちゃうのよ。

しかもタオル離しちゃって、

 由紀は湯に浸かりながら正面の吉政の洗う風景を見ていた。

彼は由紀の方を見ることなく黙々と洗っている。

 へぇー背の割には案外付いているのね。

 由紀は湯の温かさに気持ちが落ち着いたのか、

彼が由紀を見てないこのチャンスにじっくりと身体を観察していた。

 吉政は立ち上がると湯船の方へ歩いて、由紀の対面に座り天井を見る。そしてそのまま目を瞑る。

でもさ、目の前にこんな美少女が居るのよ。全く見ようとしないのは、

なんか女として見られてないのかなぁ、それとも興味が無いのかなぁ?

 

「今朝は教えていただいて、ありがとう御座います」

「いやなに唯の気まぐれだよ」


 何とか振り向かえさせよう色々話をしたり、

湯を掛けたりして悪戯もするが、

一向に体勢を変えない吉政に苛立ってきたのか、

近づいて彼の伸ばした足に座ろうとすると、

 彼は急に立ち上がり浴室から出て行った。

 暫く湯に浸かりながら唖然として彼を見送った。

 由紀は我に返り湯の助けもあってか全身真っ赤になっていった。

次回 「父上、一体何を」暫しお待ちを、


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