追跡⑨
第85話 「追跡⑨」始まります。
目の前には平伏している学友達がいる。
「なぁ、みんな止めてくれないか」
俺は立ち上がせるか、せめて顔だけでも上げて欲しいのだが、それを拒み固唾なに続ける学友達。しかたないのか。
落胆する俺に弥生は、小声で囁いた。
俺はしゃぁなしに実行する事にした。
「そなた達に命ずる。公事以外は友として接する事を命ずる。理解したら元の位置に座ってくれ」
すると、全員が元の位置に移動した。
難儀な奴らだ。
「ねぇ、こんなけの人数がいるからさぁ人生双六しない?」
弥生がそんな事を言い出した。
世間では確かに双六はあるが、人生双六と言う物はない。開発者は俺だからだ。
「それって普通の双六と違うの?」
チヨが疑問を口にする。答えたのは由紀だ。
「賽子を振って目の数だけ進む戻るは一緒だよ。ただ・・」
「ただ」
孝太郎が復唱する。
「マス目の指示が生活に関する事なの。学校に行ったり怪我したり、お仕事したり、いろいろ」
笑顔で話す由紀は、このゲームに嵌まっている様だ。
「一見に如かずだな」
「面白そうだな」
孝太郎と正清が同意し、みんなですることになった。
楽しい事は時間が経つのが早い。あっという間に夜になった。
「さて、ロバートをどうする?藤治郎、たぶん明日も付いて来ると思うぞ、そればかりか襲ってくる可能性もあるのでは?」
孝太郎が、心配するように問うてきた。
「あーそれなら心配ないわ。先生に勝てないなら私やじっちゃんに勝てるわけないわ」
次回「追跡⑩」お楽しみに(^^♪