決闘と言う名の授業②
第76話「決闘と言う名の授業②」始まります。
剣、魔法、この世界の二大攻撃。それはロバートにしても同様である。
それを簡単にあしらったスペンサー先生。すでに地位としても敗北しているロバートには後がない。
ロバートにしても、学園に先生とは言え貴族家当主がいるとは思っていなかった。
そもそも思わない方が可笑しいのではあるが、サンタワー地区にあるサンタワー秀高学園。名だけ見れば国公立であり、国公立なら教師も平民のみで集められる。
彼もまたそう思い。我儘言い放題ができると考えて入学した訳だが、創立者は大公爵家なので国公立な訳がない。当然私立であるので、貴族先生が居ても可笑しくはない。
何度も立ち上がり挑む姿に組友達は固唾を飲みながら心の中で声援していた。
「あら、もう御終いかしら」
力尽き項垂れるロバート。
「でわ、みんなの所に戻りますわよ」
彼をスペンサーが引き攣れ皆の所に戻り、彼は列と言うわけでないが仲間の所でしゃがみこむ。
「でわ華麗な攻撃をしてくれたハリソン君に拍手」
一斉に拍手が起こる。完全敗北した彼は、驚き周りを見渡す。「よくやった。」そんな声さえ上がっている。
「初めまして、わたし弥生・カサエル。よろしくね。ロバート君だっけあんたも無茶するわね。
カサエル家の右足の先生に喧嘩売るなんて、でも何度も挑む姿は悪くなかったわよ。
まぁ喧嘩売るときはどんな相手でも調べる事よ。でないと、先生も言っていたけど、先生すら相手にならない人はこの学園にはいるからね。
場合によっては御家断絶もありうるわよ。気を付けてね。先輩からの忠告だよ」
と言って、手を振りながら弥生は去っていく。
「ハリソン君、彼女にも手を出すなよ。私でも庇い切れんからな」
頭をポンポンと叩きながら言う。
学園内で喧嘩を売ってはいけない人物の一人を紹介され、無条件で受け入れてしまったロバート。
先生の言葉が彼女との会話で、本能的に理解していた。
優しい言葉に時々放される威圧、彼にとって無視できるものでもなかった。
次回「追跡」