反撃⑧
第50話 「反撃⑧」
北門から、一万三千程の軍勢が潜ってきた。
「えらい静かだな」
「そうですね。 聴いて参りましょう」
しばらくして、その女性は戻って来た。
「兵達は城壁から観戦しているようです。すみません息子が、やらかしている様です。申し訳ありません」
「隠さんでもいい。余は知っている。其方にとって父である事も」
「我らも見に行こう」
「そうですね」
たった二人の両サイドからの攻撃は、敵を瞬く間に減らしていく。
そして二人の距離が十メートル程になった時、二人は停止して、敵正面に並び立つ。
「今すぐ引き返せ、今なら全て許そう」
「ぬかせ。我らが悲願、今こそ叶えよう」
吉政の問いに敵将は答え、号令する。
「全軍進軍せよ」
爬人国軍はゆっくりと進軍する。
帰る意思が無い事を確認すると、二人は掌を敵大将に向けると、城壁に瞬間移動すると、
「「Quả cầu thánh」」
唱えると、弥生は手を合わせ一の腕を直線になるよう構えた。
すると敵総大将を中心に、光の半球が広がっていく。総てを包み込むと、吉政は、自分の右肩辺りで手を打った。
パチン
球は弾けた。爬人国の兵は一人もいなかった。
次回 「凱旋」お楽しみに