反撃⑥
第48話 「反撃⑥」少し遅れて始まります。
吉政はユリに淡々と話す。
「だからこそ、カサエル家への反逆罪の現行犯である」
しばらく間を置くと、憐れむように再び話し出す。
「盾よ、剣の事も知らなかった事が敗因である。老いたな」
「何」
「其方が剣と言っていたのは、霞・カサエル公爵が娘、弥生・カサエルであるつまり当主の姪の前で行ったのだ」
「えっ」
ユリの驚きはさらに増すことになる。
「もっとも不運なのは、余を知らなかった事にある。
余は、吉政・藤次郎・カサエルでカサエル家第一相続人である。吉政の名に置いて命ず。ユリ・オータムを当主が来るまで、閉じ込めて置け」
兵がユリを連れて行こうとすると、
「いや。待て、その柱に外の景色が見えるよう、括りつけるがよい」
吉政はそう言い放つと、城壁から外、南側を眺める。
釣られるようにテール達も眺める。
そこには、先ほどまで、幽かにしか見えなかった敵陣が、横いっぱいに広がって、はっきり見えるようになって来た。
「後一刻か」
吉政は呟いた。
「テール、その方達は此処で見ていてくれ」
吉政は微笑むと、
「弥生ちょっと来い」
「なぁに、じっちゃん」
「準備運動してこい」
「えっいいの?」
『昭姉、力の差見せつけるぞ』
弥生は準備運動する為、部屋を出て中庭へ向かった。
「盾よ、そちはどう攻める」
ユリが黙っていると、
「これを見て、本陣に突っ込むか?」
「あぁ、それしかない」
その問いに対して、テールは、
「それでは包まれて終わりだ」
「テールよ 、テールはどう攻める。敵はまだこちらの十倍だ」
「某なら、まず一発でかいのを本陣前に落とし足止めし両サイドから馬で攻めまする」
「うん、いい案である。その後はどうする」
「即退却ですね」
吉政はその答えを聞いて微笑んだ。
「この様に差のある籠城戦は、個別に叩いてく事が必要だ。しかし御義父上や余や弥生が居るときは別だ。」
『準備できたよ』
「おっ、弥生が準備できたそうだ。いってくる。テールここは、任せた。」
吉政は笑顔で話す。
次回 「反撃⑦」お楽しみに。