応戦⑤
第38話「応戦⑤」始まります。
『藤次郎、目覚めなさい』
「誰だ」
吉政は周囲をキョロキョロと見渡すが、声の主と思われそうな人物は居ない。
『藤次郎、目覚めなさい。我が血を受け継ぎし者よ』
「誰なんだ君は?」
『我は八重』
名前を聞いて納得した吉政であるが、目覚めたところで何が変わるのか解らない吉政。
彼は俯いたまま尋ねた。
「どうしたらいい」
『念じなさい。そして唱えるのです。[我求む魔法の力を、水を大地に空に風をに、天空に輝く星のように、信じる心を此の胸に纏え我が聖なる甲冑、]と、そして思い出すのじゃ若し日を』
吉政は首を傾げる。
どっちにしても唱えれば解るか、そんな思いをしながら唱えた。
「我求む魔法の力を、水を大地に空に風をに、天空に輝く星のように、信じる心を此の胸に纏え、我が聖なる甲冑」
吉政が唱えた途端に身体が光り出し、周囲の人々は何事かと注目している中、光が弾け紫色の粒になり、彼の身体へと吸収されたかと思うと、彼の身体には、こんがり輝く紫色の甲冑が装着されていた。
この世の物と思えない輝きに、周囲はウットリしていた。
そんな彼が急に両手を頭に押しつけて苦しみだした。
「うわぁぁぁぁ」
そんな彼に弥生は近より、前から被さるように抱きしめた。
次回「応戦⑥」お楽しみに。