応戦③
第36話 「応戦③」 始まります。
そして一刻、南方に黒い影がボツボツと見え出した。
大きさによるからだろう。背丈が大きいのは五メートルを越えるかもしれない。
敵が近付くにつれて、その数、大きさを実感してきて、恐怖心が出て来たのか、顔が強張るものが出て来た。
「いくかな」
敵が五キロに近付いてきた時、館長は呟くとゆっくりと立ち上がった。
彼はゆっくりと前線に出ると前方に腕を伸ばし掌を開けた。
「火球砲」
掌から出た。この世界には存在しないが、野球に使うボール位の火で出来た球を、敵に向かって放った。
球は敵の中でも前方に落下、周囲を吹き飛ばした。
それを五・六十発繰り返したが、多勢に無勢数千飛ばしただけであった。爬虫族や両生族は、仲間の屍を越えて、各々の速度を保ったまま進んでくる。
そして、半刻経つと敵がはっきりと見えてきて、上級冒険者でも届く距離になっていた。
届くということは、
ドッカーーーン
後方にある高見台が吹っ飛んだ。
そう、敵とっても射程内であるってことだ。
兵たちが青ざめていく。そんな時、兵の後方から声が聞こえる。
「アイスレイン」
その言葉とともに敵に向かって氷の雨が降り注ぐ。ウィルソンが広域魔法を放ったのだ。
前方から聞こえる呻き声に、こちらの陣から歓声が上がる。
次回「応戦④」 お楽しみに。