なっ考えすぎだろ
第18話 「なっ考えすぎだろ」ばじまります。
翌日、
吉政は由紀を連れて、屋敷の隣にある図書館に来ていた。
「ねぇ、藤ちゃん弥生は?」
「弥生かぁ」
どう言うか悩んでいたら、
「もしかして避けた?」
由紀は何故そんな事言ったのか、弥生は何故避けようとしているのか、吉政は昨日を振りかえながら考える。
今朝起きると「私ちょっと由紀と会いづらいのだからマートンと出掛けてくる。で、内緒ね」と作り笑いをして足早に出掛けていったのだ。
「いやそんな事無いぞ、用事が出来たから出掛けてくるって言ってたしな」
悲しそうに問う由紀に、頭を撫でながら答えた。
「由紀は避けられるような事したのか?」
「昨日、藤ちゃんが闘っている時、弥生を化け物みたいに言ったの」
「で何て言ったの?」
「[一体何者なの]って言っちゃったの」
「で、何でそんな事言ったの」
「わかんない。でも怖かったの。何もかもが」
「そっかぁ、でも酷い事言ったのは、自覚しているだね。
じゃ謝ろっか、でも今帰っても弥生は夜まで居ないから余につきあってくれるね」
由紀はゆっくり頷いた。
「じゃ、取り敢えず学力上げるよ。弥生とはきっと解り合えるよ」
後数ヶ月で高校入試である。由紀や弥生はエスカレーター式なので入試は無いが、余には受けて受かる必要がある。中学校出て六十八年念願の高校に入るチャンスがあるのだ。しかも姉と一緒にだ。絶対受かって供に行く。
夜、家に帰ってきたら、弥生はさっさと部屋に閉じ籠もってしまった。
はぁ、弥生は厭、姉貴は何やってんだか。ちと話してみるか。
『弥生、で、何で避けているのだ?』
『えとね、説明出来なくて解答を探している所』
返事が出来ないから逃げるって駄目じゃん。
『取り敢えずさ、仲直りだけでもしてくれるか?』
『うん、わかった』
念話が終わり暫くすると、弥生がリビングの柱から半分顔を出して見ている。
余が手招きをすると、下を向きながらゆっくり入って来て、余と由紀の前に座る。
「弥生、酷い事言って御免なさい」
「ん、何?何の事」
「弥生怒って避けてたんじゃ」
「あーーー、ないない、ある訳無いやん」
「なっ考えすぎだろ」
吉政は由紀の頭を撫でていた。
何にせよこれで解決だな。
次回「不思議な世界」 お楽しみに