困惑する吉政
新年あけましておめでとうございます。
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第148話 「困惑する吉政」始まります。
藤治郎がトーン・ラン城の城下町にいる頃、彼の先駆けとしてセントラル魔王城に来訪を告げていた。
そして、その頃家老のジャン・イテンジチャップは副王である小里田勘十郎の元に走り、登城の催促をして、半日かけて説得して、登城してもらい。当主である小里田信政を起こしていた。
「オチオチと寝やしてくれん奴らじゃ。で結果は」
「まだ報告されてません」
勘十郎はマベラスの事だと思い答えた。
「報告があれば起こせと言ったはずだが」
信政の怒りを顕わにしだすと、ジャンはすぐ止めに入った。
「謂え起こしたのは申し上げありませんが、緊急事態です。」
頭を擦りつけて謝るジャンに。
「言え」
信政は一語で片付けると睨めつけた。
「マーベラスの指揮の元、東へ兵を進めた総大将伊勢氏政率いる百二十万が峰山で敵十万と激突敗走した次第、氏政は討死、シュンボルトとブロームテンプルが何とか兵を纏め川尻まで戻ったとか、現在兵三十万で敵の進行を防いでいるそうです」
汗を拭いながらジャンは答えた。
「兄上、後三点御報告があります」
真っ直ぐ目を当主に向けながら話したのは、当主魔王信政の弟でもある勘十郎である。
「まず一つ目、頭成茶々政教が率いる鬼兵六十万がほぼ壊滅、頭成茶々政教、ムータカ・ウェーブン他討死、針田権六家勝、大井五郎信直、悪山次郎政秋、右田五郎隆房他寝返り。
政教は今川家に挑んだつもりだったのでしょう。
ですが話しを聞くと赤の五三太閤桐の旗を上げていたの事。 推測されるに、敵総大将は木下吉政様」
信政の目が開いた。
「真か、」
「おそらく関連あるかと思われますが、飛山から毘天寅美が兵十五万で南下中、
あと今朝、草の報告で彦山に兵五十万、亀塚に兵三十万、海上に大舟が引き締め合っていると、連絡がありました。兵の動向は解りません」
信政は過去を思い出し、
「あははははは、又やられたわ」
信政はそう言うと、目を部屋隅に向けると、壇上を下り今まで座っていた方向くと、
頭を下げた。
「皆の者、我に倣え」
勘十郎達は信政に倣い頭を下げた。
「お久しぶりです。殿下、壇上にお上がりください」
勘十郎達は、誰も居ない所に話す殿を見て、訳解らず考えていたが、
部屋隅から足音が壇上へ移って行き、足音がやむと服の掠れる音がした。
「吉爺も達者じゃのう」
子供の声がしたかと思うと、
「面を上げよ」
女の子の声がして、信政達は姿勢を正した。
信政は正面を見ると、昔見た懐かしい顔が座っていた。
「殿下には御機嫌麗しく」
「全く麗しくないわ。余の国に攻めてくるとは良い度胸じゃ」
吉政の圧に、再び頭を下げた信政達。
「吉殿、頭を上げなされ。話が出来ませぬ。で、返答はいかに」
ミツエの威圧に畏怖気味である魔王国の小里田家。
「当家は、宿敵である今川家を攻めただけで御座る」
やってしまった事は仕方ない。今後どうするかが問題である
と考えた信政は、
「たまたま配下が攻めた所に、殿下が居られた。それだけで御居ます」
「魔王殿、それに大儀はあるのか」
藤治郎は確認したが、信政は睨み返すと、
「我は魔王である」
ミツエは、全力の三割の威圧にした。それに耐えきれず。信政以外の者は倒れてしまう。信政自身も倒れ、睨み返すのが精一杯の反抗と言えよう。
「これぐらいで無様よのぅ」
藤治郎は、ミツエに抑える指示を出すと、
「其方が攻めたるは秋津大帝国の国王。此の余の家臣の領土である。ゆえに降伏しない者の軍は余自ら滅してやった。」
「で、管理不足其方の責任はどうする」
信政は暫し考え、
「マザー領を割譲」
「惚けているのか。其処はもう余が攻略しておる」
「伊濃領」
「其処も我が領土だ。それに陸道も攻略した」
「では」
割譲する物が無い信政は、頭を垂れた。
「そうそう、とある店を余の物にしたら面白い物が手に入っての小里田信政殿、戦との別件で、残りの家臣のも含めて千五百万貫返済されたし」
信政は驚愕し落胆した。
「全面降伏いたします」
「うむ、よく言った。この借用書はお返しいたそう」
藤治郎は満面の微笑を見せた。
「そうだ東国には、余自ら助けに行く。三日後出立する準備せよ」
信政は胸の閊えが取れて、改めて平伏すると、
「御意」
一言だけ発した。
次回「困惑する吉政②」お楽しみに ^^) _旦~~