進軍⑬
第136話 「進軍⑬」始まります m(__)m
藤治郎達は旅姿で北上、約一八〇キロ先あるトーン・ラン城まで五日かけてやって来た。
「やっとついたねぇ、で どうするの」
そう呟いたのは弥生である。
「そうだね、好きにして良いよ」
どうせムータカ・ウェーブンの配下の城だし要らないしな。
「そ、消して良いよね」
弥生の言葉に待ったが掛かる。
「そうだ石垣は残した方が良いかも」
ミツエが言うと弥生は首を傾げる。
「弥生さん、何でもかんでも要らないからって壊すんじゃありません」
エミリーは両手を腰に当てて言い放った。
「吹き飛ばしたらいいな?廃材も使えるかも知れないし」
「それなら良いでしょうって、もしかして出来るの。そんな事」
エミリは弥生の返事に呆れながら聞いた。
「んーーと、わかんない。でもやってみたい。いいでしょ治っちゃん」
弥生は藤治郎に嘆願した。
建設費用も莫迦にはなんないからなぁ。此処は任せてみるのもいいかもしれない。
「任せた」
満面の微笑を浮かべた弥生は、
「危ないから下がってて」
その言葉で後方に下がる藤治郎達、
「我求、総ての物を吹き飛ばし給え、ロクソイン・ニャー」
弥生は両手を伸ばし掌を前面に広げた。手の先には空気の渦が発生しており、少しずつ大きくなってきて、奥へと進みだした。数分後には前方の門を壁を壊しながら進む姿が、上部の風の流れで遠目からでも目視できるようになっていった。
藤治郎達は、城前にある茶店で団子を食べながら、野次馬の姿と共に眺めていた。一刻後には石造りの土台だけ残し木材や壁、屋根などの瓦礫の山となった城跡があった。
次回 「進軍⑭」お楽しみに m(__)m