進軍⑨
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第132話 「進軍⑨」始まります。m(__)m
繖城に滞在して四日義父のマイティ・カサエル大公爵から待望の知らせが藤治郎の許に届いた。
「野尻城落としました。ダォカォ館に兵二百で治安維持更に北へ進むとの事。
そして全面降伏した。サッチャー佐々木とその子カインを送るとの事。
そして、できれば儂にくれと言っておりました」
使者は平伏し伝える事によって、使命を果たした。
「佐々木親子はどうしている」
「はっ、マイティ・カサエル大公爵様の指示により、此方へ来るかと」
「でわ、来たら此処へ通せ、下がって良いぞ」
使者が下がった所で藤治郎は、皆に問う。
「皆どう思う」
「大公爵様がしたいか、によるかと」
家老のカールは安全策をとる。
「親子に会ってからだよね」
ミツエは、皆に同意を求めながら言う。
「ですね。何もかもが解らないので保留が良いと思うわ」
「わたしも賛成です」
霞の言葉に由紀が賛同する。藤治郎は大きく頷き、
「会ってからにする。少し寝る」
そう言うと、隣にある部屋の隅に行き丸まった。
数刻後。
「藤・・・、・治・様、起きて・・・・」
夢現の中で甘い声がする。誰・・・。
「藤治郎様起きてください」
うん、今度は、はっきり聞こえた右の耳から。我妻である由紀の声だ。
よし起きよう。でも何故か起きたくない。このまま居たい。
今、俺の頭は何か柔らかい物の上にある。少し目を開ける。
この桜色の着物は彼女の物だ。しかも今着ている物だ。
「藤治郎様起きてください」
再び呼ばれる。厭起きたくない。本能が拒否をする。だってさ膝枕だよ。うんもう一度寝よう。
バッシーーン。
イタ! 叩くことねぇだろ。
「じっちゃん。起きよか」
身体を起こし後ろを見ると、両膝を付いて仁王さんになり、張扇を持って腕組している姉である孫の弥生が居た。
「起きたから、仕舞いなさい。何かあったのか」
呼ばれたからには何かあったのだろう。
「佐々木親子が来ました」
由紀が答える。起こすように言ったのは俺だし行くか。
元の広間に顔を出し、壇上中央に座り前を見ると、平伏している親子がいる。佐々木親子だ。
「面を上げよ」
佐々木親子は揃って姿勢を正した。
藤治郎はまず彼女を視て、そして彼女の息子を見ると、目を瞑り大きく息を吐いて、
「その方らよくぞ耐え忍んで参った。安心するがよい悪いようにはせぬ。処遇については、暫しの間余の客として取り扱う。皆も心せよ。接待役として三虎に命ずる。下がってよいぞ」
親子が下がっていくと、藤治郎は後ろに手を付き、空に向かって再び大きく息を吐いた。
霞が心配して寄って来た
「とうちゃん大丈夫?」
「あぁ」
藤治郎の返事に霞が、
「弥生、由紀さん部屋に連れて行って」
二人の付き添いで別室に移動したが突然眩暈をおこし倒れた。
次回「進軍⑩」お楽しみに m(__)m