表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
131/143

進軍⑧

第131話 「進軍⑧」始まります m(__)m

 階級カードを示すことで、当たり前の事をしたんだよ。だから礼はいらないよ。と言った積りであったが、逆に尊厳され土下座までしてしまう始末。

 藤治郎は呆れ階級カードをしまうと、


「確かに礼は受け取りましたので、立ち上がって下さい」


 民に訴えると、彼らは立ち上がり、


「ならば食事でも奢らせて頂きたい」


 彼らの想いを無下にしたくないと思い。藤治郎達は彼らの御馳走になる事を選んだ。 



「ならばこっちです」


 藤治郎の手を掴み店に入っていった。藤治郎の配下達も近くの民達に掴まり店に押し込まれ、料理や飲み物、さらに酒がテーブルに所狭しと引き締めあって、民を酔い潰すことで解放された藤治郎達は、翌明け方旅館に帰って来た。

 部屋に着いた藤治郎達は浴衣に着替えると、引かれて居た布団に倒れこんだ。

 疲れが溜まっていた事もあって、実に丸一日寝ていた藤治郎達。朝起きると全回復していた。


 そして、今何故かきぬがさ城本丸御殿にいる。藤治郎達は上段中段にいて下段の方を向いていた。下段には城代家老以下留守居役の城兵達が平伏していた。  

 その城代家老が宿の主人、権太郎であった。

 今朝出立前、その権太郎にお城でも行こうかなと告げると、


「でわ、某が御案内いたします」


言ってきたのであった。門番と知り合いで通してもらえるのかな。ぐらいにしか思わなかった藤治郎。が

 本丸御殿までするする上がって行き、室内に入ると藤治郎達を上座に座らせ、彼は下座の最前列の一列前で此方を向き一人座ると、頭を下げ額を付けたのであった。


 そして、今静粛した空間で、何かを待っているように思われた。藤治郎はその事を察し言葉上げた。


「皆の者、面を上げよ」


 一斉に平伏していた体を起こす城兵達、


「何の真似だ。答えよ」


 起こした身体を再び再び平伏す。


「申し訳ありませんが暫しお待ちください」


 藤治郎は正面の奥の方を見た。其処には甲冑を着込んだ若武者が立っていた。

 彼は真っ直ぐ藤治郎の前、権太郎の隣までくると胡坐をかき親指を突き立て頭を下げた。


「木下吉政帝王陛下、御機嫌麗しく再び御拝謁できました事嬉しく存じ上げます。

 我ら藤蒲家一同再び帝王様の手足となりまする。何卒御命令を」


 藤治郎は疑問に思った事を睨め付けて聞いてみた。


「確か此処の城主は、頭成茶々政教の筈だが」

「奥方達に来て頂いてくれ。そして中を空けよ」


 忠太郎は身体を起こすと、後ろに向かって叫んだ。すると真ん中に一筋の道が出来上がった。

 そこへ、忠太郎の腹から返事がする。


「忠太郎、話は付いたか」

「まだで御座います」

「暫し待て、今行く」


 藤治郎は静観していると、出来た道を通り抜け、彼の前までやってきて、三つ指を突いて頭を下げた。


「殿下久しゅう御座います。今は頭成茶々政教が妻、藤蒲権太郎が次女、三虎みこと申します。」


 三虎はそれ以上言わなかった。敗軍として言う意味がないからだ。

 藤治郎は彼女の覚悟を見て、深心を視る。


「暫し、やっかいになる」


 藤治郎は、安全を確認すると一言返した。


「はい、有り難き御言葉」


 三虎は微笑み返した。それは藤治郎の全幅を得たと、言う事に他ならない。




次回 「進軍⑨」 お楽しみに

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ