進軍⑤
第128話 「進軍⑤」始まります m(__)m
翌日、古津を出発葦津に到着し、その次の日、繖城城下までやって来た。
街は領都だけあって賑わいを見せている。街人らは藤治郎達が数万の兵で来たにも拘らず、いつものように暮らしていた。
「おーーーおっきいなぁ」
藤治郎は感嘆し目を輝せていると、
「此処は初めてかい。どっから来なさった。よかったら泊まっていきなされ」
「御主人は」
「儂はここの宿、暁停を営んでいる権太郎でございます」
小柄な男は目の前の他とは異なる趣のある建物を指で指し答えた。
道沿いに建てられた石垣に、白く塗られた壁、奥に見える数本の松、玄関までの通路の両側に桜の並木。
「ほう。これは立派な宿じゃ、此処で泊まるとするか」
「ありがとうございます。ではこちらへ」
藤治郎達は権太郎の後に続いて入っていった。
「御客人じゃ」
権太郎の言葉で玄関先に整列する女中達。
「いらっしゃいませ。ようこそおいでになりました」
親指を隠して両手を合わせ下に降ろし腰から曲げて御辞儀する女中達。
「どうぞ此方へ」
掌を玄関に向け左を向き先導する権太郎に続く藤治郎達。
「これは」
藤治郎を含め数人が目を向きなが驚愕する。
外から見れば、戦国の世にしては趣のある上流階級が利用しそうな旅館、厭旗本宿と言った処か。
しかし、扉の前に立つと自動に開く扉、足洗の桶があるのは良しとしよう。何故赤の絨毯なんだ。高級さを出そうとしたんだろう。だからこれも良しとしようが、何故スリッパがある。
入って右の方に受付があるが、何故informationって書いてあるのだ。和と洋が入り混じっているじゃないか。
しかし初めて利用する者達にとっては目の見張る物があるのだろう。
受付で鍵を受け取り、女中たちによって、各部屋に案内される。
部屋の扉は横開き式だ。
次回 「進軍⑥」 お楽しみに m(__)m